自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2018/10/05
ごはん(のり佃煮)・牛肉コロッケ・ほうれん草ソテー・石狩汁・牛乳・ミニエクレア
コロッケを見るといつも、学生時代に住んでいた京都のアパートのそばにある肉屋を思い出す。地元の人々に愛された肉屋の作るコロッケの旨そうな香りが、帰路につく私の鼻を刺激するのだ。そばには有名な進学校があり、いつ見ても部活終わりの男子高校生たちがコロッケをうれしそうにほおばっていて、結局私は一度もその店のコロッケを味わうことはなかった。いったいどんな味がしたのだろう。今となっては知るべくもない。
コロッケとは望郷である。どのような人の内にも物語があり、優しい光を放つなつかしさ、それがコロッケだ。私がコロッケを食べるとき、眼前には美しい京都の夕焼けが広がっている。黒くそびえる東寺の黒い影と、橙から紫へと変化する空。妖しくも美しいその中で、褪せた肉屋の電燈がやわらかく光っているのだ。
(M.M)