のぞみ寮通信

のぞみ通信

2021/03/06

のぞみ通信 2021年3月1日 第260号

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(題字 めぐみ館2年 S.Aさん)

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みぎわ館 3年生ありがとうの会 (2021年2月4日)

 

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 51回生の皆さん、卒業おめでとう。皆さんにお話ししたいことは、3つ。

 失敗していい 自分の人生で最も大きな失敗は何ですか?それが今の自分にどんな影響を与えていますか?おそらくあなたはその失敗から何事かを学び、今の自分を作っていることに気づくはずです。聖書に登場する「偉大な人物」は皆、大きな失敗をしています。モーセ、ダビデ、ペテロ、パウロ……。失敗者に注がれる神様、特にイエスの眼差しのなんと優しいことか!自分が最も愛している人を、自分から裏切った経験ありますか?イエスの弟子ペテロは、最後の晩餐の時、「あなたのためなら死んでもいい」と言ったのに、すぐにイエスを3回も否定しました。そのペテロを復活したイエスは、ガリラヤ湖畔まで会いに行き、食事の用意をして「もう一度私の弟子になってほしい」と言うのです。イエスは、自分を裏切った弟子をあえて選ぶのです。私ならこんなリクルートしません!失敗は辛い、でも必要です。教育の目的は、「教育基本法」によると「人格の完成を目指し」とあります。では、どのような時に人格は作られていくのでしょうか?人格はもっとも辛い経験をしている間に形成されるのです。高校時代の失敗と挫折の経験が、未来の自分を作るのです。

 生きろ 太宰治は玉川上水で自殺しました。彼の最後の作品『桜桃』の冒頭に聖句が引用されています。「目を上げて、わたしは山々を仰ぐ」ここまでです。聖書の続きは「わたしの助けはどこから来るのか。わたしの助けは来る、天地を作られた主のもとから」とあるが、彼には「主のもとから助けが来る」という希望は持てなかった。「助け」は今は、見えないだけです。見えないけど、実際にはあるということが世の中には沢山あります。私たちは神様から赦され生かされていて、一人ひとりの存在には必ず意味があります。その意味は今は分からないかもしれないけど、その時が来れば歓喜の瞬間が必ず訪れます。人生の本当の意味は、生きてみた後で分かるものです。

 隣人になる  3年間、苦しかった時があったはずです。しかし、その苦難が私たちを作っているのです。苦難が私たちの感性を鋭くまた豊かにし、それによって自分の人生が豊かになるのです。そうして、同じ苦難の中にいる人に寄り添うことのできる「隣人」になることができる。隣人を愛することのできる若者を育てる。これこそ学園創設以来、ずっと願い続けていることです。その一人に皆さんが成ってほしい。3年間本当にどうもありがとう。(寮修了礼拝より)

 

 

 

 

<寮修了礼拝代表挨拶>

「祈りと出会いの恵みの中で」  みぎわ館3年 I.C(新潟県)

 「人は心に自分の道を思い巡らす。しかし、その人の歩みを確かなものにするのは主である」(箴言16章9節)

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 たくさん悩んだ3年間でしたが、今改めて振り返ると、私の歩みを神様が確かなものにしてくださっていました。

 入寮するまでの私は、とにかく周りからの評価が自分の評価だと考え、嫌われないようにと感情や気持ち、意見を表に出す事を恐れ続けてきました。ストレートに何も伝えられなくなり、不満や悩みがあれば母にすべてをぶちまけていました。母親しか私のことをわかってくれない。問題を解決する手段はそれしかないと考えていました。そんな自分を変えたいと願って入寮しました。

 入寮するだけで自分の何かが変わる気がしていましたが、当然、何も変わりませんでした。みぎわ館の人たちから嫌われないようにと、黙って作り笑顔で毎日を送っていたからです。「人を信じられない私」がいつも住み着いていました。寮生活のすべてが苦痛で、仲間と関わることを避け続けていました。ミーティングでも一歩後ろに座り、話を聞いている顔をして、意見は一切述べず、考えている振りをして、上手くやり過ごしていました。自分から発信しないことが誰かと対立せず、人間関係をこじらせず、傷つかない方法だと信じていました。

 しかし、生活にも慣れ、互いを知り始めてくると、みぎわ館での51回生のミーティングがより濃いものへとなっていきました。互いの意見を聞きたがりはじめたのです。「Cちゃんは、どう思う?」「何か意見はない?」「なんでもいいから聞かせて」など、頻繁に投げかけられるようになっていき、私は、どんどんしんどくなっていきました。

 そんな思いを持ちながら過ごしていた2年生の秋に同室の先輩から「早天祈祷会へ行こう」と誘われました。そこでは、共に聖書を読み、お話を聞き、一人ずつ順に祈りました。私にもみんなの前で「祈る」という場が与えられました。ドキドキしながら、小さな声で自分の今日や明日のことを願い祈るのと同時に、他者の幸せや健康を祈ってみました。祈り終えた時、みんなが「アーメン」と言ってくれました。私の祈りにみんなが共感してくれた喜びを感じました。先輩に誘われて断れず参加した早天祈祷会が、私の心に希望を与え、1週間が前を向いて過ごせるものとなったのです。それを機に、一人でも参加し続けた早天祈祷会。今年度はコロナの影響で中止となってしまい、私に力を与える場が一つなくなり、また、毎日を送ることがしんどくなっていきました。金曜日の朝のたった30分。その時間がいかに私にとって宝物だったか思い知らされました。

 その話を51回生の仲間に話せたのが、ついこの間の10月です。「じゃぁ、お部屋でお祈りしてから寝ることにしよう!」と言ってくれ、お部屋の仲間と祈ってから寝るということが始まりました。心穏やかに眠りにつくことができるようになり、もっとみんなで祈り合いたい!そう願うようになりました。とてつもなく大きな勇気が必要でしたが、思い切って「みぎわ館で早天祈祷会をやりたい」と言葉にしてみました。それ以来、毎週金曜日の朝6時半から15名ほどの仲間が集まり、早天祈祷会が行われています。私の喜びの時間です。

 ほんの小さな私の一言をみんなが拾い上げ、実現させてくれました。改めてみんながいつも私のそばにいれてくれていたことを知りました。

 私が一歩を踏み出す時が来るのを一緒に待ち続けていてくれました。温かく優しい仲間の中でうつむいて過ごし続けてきたことに、ようやく気づかされました。

 私はみぎわ館の51回生達が大好きです。ミーティングでは毎回意見が合わず喧嘩ばかりだったけど、それもみんなの率直な心のぶつかり合いだったし、蛇行しながらもまとまっていくのが私たちのスタイルなのだと今は思えます。私たちは今、相手を想いあって、依存せず、喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣ける、誰にも自慢できる仲間になっていると断言できます。みんなと共に過ごした3年間は、私にとって、濃くて、深くて、幸せすぎて、お腹がいっぱいです。ありがとう。

 51回生の寮生を代表して保護者の皆様には、今日この時まで支え続けて下さりありがとうございましたと伝えたいです。ホームシックで泣いたり、人間関係の悩み事を電話口で沢山話したり、時に喧嘩もして数え切れないくらいのわがままと迷惑をかけてしまったけれどそれでも応援し、大丈夫だと信じ祈って寮へ送り出してくれてありがとうございました。私たちはここで素晴らしい仲間と出会い、寮生活を共に送る事が出来て、たくさんのかけがえのないものを得る事ができたと、今、胸を張って言えます。
 コロナ禍の中、また大雪に見舞われ寮の先生、学校の先生方、施設の方、厨房の方、事務の方、多くの方がより良い生活を送れるようにと私たちを想い、支えて下さったおかげで充実した生活を送れ、「寮修了の日」を迎える事ができました。心から感謝いたします。

 私は4月から看護師を目指して歩み始めます。のぞみ寮で与えられたみんなとのすべての出会いを、これからを生きる力に変えて、隣人を愛し、様々な課題に向かう時も仲間を信じ、逃げず、立ち向かい、失敗しても、ずるい事をせず、たくましく歩んでいきたいと思います。3年間、心から、ありがとうございました。

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<保護者の言葉>

 I.Kさん(めぐみ館修了生保護者様)

 

 卒業式を終え、子供と一緒に、この三年間を振り返りました。

 

親:寮に入る時のことを覚えている?

子:家族と離れ、知らない環境へ行く不安があった。でも、入寮前に先輩から手紙をいただき、入寮時には先輩が出迎えてくれて嬉しかったし、不安が和らいだことを覚えている。寮祭を通して同じ学年の人と友達になり、先輩も安心させてくれる空気を作ってくれたから、打ち解けることができた。

親:寮生活で自分に変化はあった?

子:変化があった。中学校までは家事が面倒で、言われてから嫌々やっていた。寮は、自分からやらなくてはいけないことがたくさんある。面倒なことも、仲間から「ありがとう」「おつかれさま」と言われると、人のためにやる仕事が少しずつ好きになっていった。もう一つは、友達関係。変わったことは、喧嘩した後、自分自身に“これでいいのか?”と向き合うことが必要だと分かった。

親:人とうまくいかないと、自分の中で壁を作って意地を張るところがあるもんね。

子:だから、人から言われたことを、素直に受け入れることは大切だと思うようになった。そのために、人のことをよく知ろうと思うようになった。先生に相談したり、周りの人とコミュニケーションをとったりするようにした。友達から「人に『ごめんね』『ありがとう』とすぐに言えるようになったね」と言われ、友達の方が私の変化に気付いて伝えてくれた。友達との関わりを通して、自分を知ることができてよかったと思う。

 

 貴重な経験と素晴らしい環境を与えていただきました。寮の先生方を始め多くの人から支えていただき、ありがとうございました。

(修了にあたり、寄稿していただきました)

 

 

 

 

礼拝のお話 3年生ラストメッセージ

「私の成長」    めぐみ館 3年 M.H(大阪府)

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 この三年間で私が成長した所はどこでしょう。思いついたのが、「人見知り」です。私は人と話すのが苦手で、中学時代は色々あり、人が怖くなり他人との交流を避けていました。他人を避けすぎたせいで話しかけにくいイメージが付いてしまい、誰とも交流がないまま中学時代を終えました。

 高校では寮にも入り、コミュニケーションが生活の基盤となるので関わらないわけにはいきませんが私にとって苦痛でしかありませんでした。誰かと関わることに苦痛を感じていたのは最初だけで、今は誰かと話したりはしゃいだりすることがすごく楽しく感じます。そんな気持ちになれた一番の理由は、めぐみ館の皆が私の心を開かせてくれたことだと思います。私は話すのが得意ではないし、上手く答えることも出来ないし面白くもない私だけど、皆がそんな私を受け入れ、話しかけてくれたから自分の中でこんなに温かく接してくれる人がいるんだ、自信持ってたくさん話してみようかなって思い始めました。自分は昔から思っていることをその場で口に出せないことが多く、嫌なことも我慢していたり、何でも他人に合わせたりしていました。でも、今では嫌なことも楽しいことも口に出せるようになり、時には言いすぎたり、ネガティブ発言を連発したりと感情が表に出るようになりました。昔の自分では言えなかったことなので、敬和に来て、そしてめぐみ館に来て、みんなと出会えて良かったなって思います。感情を表に出せたこと以外にも人を好きになれました。中学ではいじめが多くて、自分も嫌なことされたり言われたりしていた時期があり、人が怖くなり人を信じられなくなり、人を好きなれなかったりと辛い時があったけれど、めぐみ館に来てから明るく笑顔で接してくれる先輩がいて、自分に優しく話しかけてくれる可愛い後輩がいて、いつも支えてくれる仲間がいて、褒めてくれたり時には叱ってくれる先生がいたり、そんな人たちに出会えて自分は幸せだなって感じます。中学では気付かなかった人の温かさや優しさを今となって気付きました。私はきっとみんなの存在がなかったら、大切なことに気付いてなかったし、素の自分を出せてなかったです。だから本当に感謝してもしきれません。本当に三年間のめぐみでの生活が私を大きく成長させました。誰かのために一生懸命になれたし、信頼できる友達も出来たし、人と話す楽しさや誰かと笑える日々を過ごせたし、自分の居場所を見つけることが出来ました。

 話が少しおかしくなったかも知れませんが、最終的にみんなに伝えたかった事は、めぐみ館のみんなの支えがあったからこそここまでやってこれました。ありがとう。めぐみ館は本当に居心地のよい場所です。私に温かい居場所をくれてありがとう。私の敬和生活は、自分の思い通りにいかず悩んだり一人で泣いたりすることが多かったけれど、それ以上にみんなのおかげで笑顔になれたし最高の学校生活になりました。

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「祈り歩んで行く」  光風館 3年 H.K(長野県)

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 私はこの学校に期待を持って入学をしましたが、自分の期待していた通りというわけではありませんでした。しかしながら、今思うと自分が考えていたことと違ったことでも、学べたことが数多くあります。

 これは聖書の授業からの学びですが、神様は人間の考えつかないような方法でアプローチしてきます。初めはキリスト教がどうした?神様が7日で世界を作った?イエスキリストが五つのパンと二匹の魚を増やして5000人の人をお腹いっぱいにする?何を言っているんだ。ふざけるな。ずっとそう思っていましたが、今になってやっとキリストの教えを理解できました。私はこれからも礼拝などに行きたいと思っています。

 でも実際に関わってきたのは神様だけではなく、多くの同期、先輩、後輩、先生などです。私は高校で出会ってくれたすべての人に感謝をしています。特にのぞみ寮、光風館の51回生にはとても感謝しています。個性が強い人が多すぎてめちゃくちゃ大変で辛かったですが、何より記憶にあるのは楽しかったことです。みんながいてくれたおかげで今の自分があることを本当に実感しています。三年間本当にありがとう。そして三年間も時間があったのにまとめられなくて本当にごめん。

 最後になりますが、ブロック長らしいことを言っていないので言っていきたいと思います。後輩達。光風館の中に課題はまだまだ多くあります。その問題を誰かが解決してくれるのだろうと何もせずにいるだけではなく、自発的に行動していきましょう。そして面倒くさがらず何回も何回もミーティングを重ねていきましょう。そのミーティングで言い合いをしてぶつかり合うのではなく、受け止め合いが出来る人間になりましょう。そして何より大事なのは寮生活を通して悩み、考え、苦しむことです。恐らくそれは人間関係のことが多いでしょう。しかし苦しい時は周りを見てください。こんなにも多くの仲間がいます。とても心強い先生がいます。もう一つ。私が自信過剰だと思った事がある人はいませんでしょうか。大半の光風生が思っていると思います。私が自信過剰なのは自分に言い聞かせることでそれに近づくことが出来、自信をつけることが出来ます。なので皆さん私のような自信過剰を目指して生きていってください。そしてこれらを忘れずにこれから生活をしていってください。

 そして卒業生。これからはそれぞれの道へと進んでいくことになりますが、自分に自信をもって生きていってください。あなたはたった一人しかいないかけがえのない大切な存在です。さらに私が関わった感じではみんな本当にすごい人たちだと思います。また、この先今までより苦しむことは絶対にあります。その時に思い出してください。この光風館で過ごした大事な仲間たちを。そして楽しかったこの三年間を。

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「感謝の気持ち」  大望館 3年 S.R(新潟県)

 みなさんは感謝の気持ちをどう表現していますか?僕は話すことが苦手ということもあったので、短い言葉やジェスチャーなどいろいろな方法で気持ちを伝えています。そうすれば「伝えくれてよかった」と互いに良い関係が出来ます。小さなことでも、何気ない時でも、感謝の気持ちを伝えることで「また助けよう」と支えてくれる人が増えていくと思います。寮生活では苦手なことをほかの人が補ったり、自分が出来ることを人にしてあげたりすることで支え合うことが出来ます。学校生活では、毎日の授業や行事など忙しい日々を過ごしていたと思います。例えば学校を休んだとしてもすぐにノートを貸してあげる、それは寮生だから出来ることだと思います。通生は住んでいるところがそれぞれでそんなことは簡単には出来ません。そう考えると寮生活は不便なところはあるけれど、便利だと思えました。登校時間は0分、たくさんの仲間、美味しいご飯など良いこと尽くしです。こんな生活が出来ているのは、生活を支える寮務教師、毎日三食作ってくれる調理員さん、学費や寮費を払ってくれる保護者の存在があるからです。ひとつでも欠けたら生活は成り立ちません。感謝の気持ちを忘れてはいけないと思います。また、学びの場を作ってくれている教職員もそうです。先生がいるから勉強が出来ているのです。先生は毎日の授業を通して生きる知恵を教えてくれています。社会に出ても困らないようにダメなことは叱って正したり、身だしなみを厳しくしたり、ひとり一人に寄り添ってくれています。その気持ちに応えることが一番の感謝ではないかと思います。

 僕が伝えたかったことは「感謝を忘れないでほしい」ということです。僕はいろんな人に支えられてここまで来ました。みなさんひとり一人にいる仲間を大切にしてほしいです。自分だけではないということも、頭の片隅に置いてほしいと思います。きっと自分を必要としている人がたくさん出来るかもしれません。その時は助けてあげてください。苦しいこともつらいことも乗り越えることが出来るでしょう。これからもいろいろと試練があると思いますが、頑張ってください。

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<教師からの一言>  男子寮 山﨑 飛鳥

 激動の2020年度でした。全てを一度見直し、目の前が中々見えづらい状況の中で、それでもがむしゃらに共に歩み続けました。共に笑い、共に泣き、共に苦しんだ。51回生との歩みは、決して楽ではない3年間と同時に私の誇りになっています。本当にありがとうございました。

 そして、これまで寮教育にご理解をいただき、のぞみ寮を支えてくださった51回生保護者の皆様に、心よりお礼を申し上げますとともに、お子様のますますのご活躍をお祈りいたします。ご卒業おめでとうございます。