自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2020/11/17
アフリカ大陸の西に位置する島国の一つにカーボベルデ共和国があります。
底が見えるほど透き通ったエメラルドグリーンの海。そして、あたり一面に広がる真っな砂浜。人口は54万人ほどで、合言葉は「ノーストレス」と、まさに楽園そのものです。
いまこの国から出られなくなった1組の日本人夫婦が注目されています。
片岡力也さん(29)、あゆみさん(30)夫妻です。2人は昨年の12月からハネムーンとして「世界一周旅行」をスタートし、今年2月にカーボベルデに到着しました。2週間ほど滞在して、スペインに向おうとした矢先に足止めに会うのです。
新型コロナウイルスが一気にヨーロッパで蔓延し、EUの空港がすべて閉鎖になってしまい、脱出できなくなってしまったのです。
片岡夫妻は悩んだ末、「カーボベルデに残る」という決断をします。
しかし、入国時に取ったビザは短期滞在用でカーボベルデには、1カ月しかいられません。 そこでお二人はどうやったらビジネスビザが取れるかを考えだすのです。
まずはこの国に還元することが必要だと思い、観光客に向けた動画など、この国の利益につながるような動画を作成するのが一番の近道だろうなと考えたのです。
ビジネスビザ取得のため、色彩豊かな島の特徴をドローンなどで撮影し、観光PR動画を作成します。
現地メディアに「紹介してほしい」とメールを送ったところ、思わぬビッグチャンスが訪れました。
現地のニュースメディアが興味を持ち、記事を公開します。
その直後、カーボベルデのオリンピック委員会の人がその記事を見つけ、話しをしていくうちに『カーボベルデのアンバサダーになってくれないか』という申し出を受けたのです。
片岡さんは一生経験できないような貴重な経験ができると思ったので、『やらせてください』と即答します。
カーボベルデで来年の東京オリンピックの親善大使という大役を担うことになったのです。
さらに、首相からは感謝状まで届きました。
まだビジネスビザは取得できていませんが、コロナ禍の特例で長期滞在も認められたそうです。
片岡さんは、動画クリエイターとして活動していますが、現地でいろいろなホテルから「うちの動画も作って欲しい」と頼まれているそうです。
しかし、ビジネスビザを持っていないため、お金をもらうことはできません。
そこで動画を作る代わりにそのホテルで長期宿泊をさせてもらうことになりました。
そのホテルは五つ星ホテルで1泊およそ500ユーロ、日本円にすると約6万円だそうです。
新型コロナウイルス感染症が広まって、全国的に第3波が到来したと報じられています。
この状況を、どうやって頑張るか、我慢してどう乗り越えるかという話ばかりをしてきたように思います。
人が人生を変えるとき、何かを我慢する努力よりも、新しいことを工夫してみることが大事だと分析する社会学者もいます。
片岡さんは自らの工夫で人生の次のステップへと進んだ良い事例だと私は思うのです。
片岡さんは我慢や努力ではなく『視点を変えてみよう』と試みました。
環境を変えることはできません。
しかし、与えられた環境で、いかに楽しむか、活用できるかと「視点を変える」ことはできそうです。
新婚旅行で世界一周中に身動きが取れなくなったことは、普通に考えたらアンハッピーな出来事です。
けれども視点を変えて工夫したことで、片岡夫妻はかなりユニークで愉快な経験をすることになりました。
さらに自分たちの利益だけではなく、カーボデルベに還元できるやり方で、出会った方たちにも喜んでいただけることを実行したということも大きなポイントだと私は思っています。
テモテへの手紙一 6:17-18では「善を行い、良い行いに富み、物惜しみをせず、喜んで分け与えるように。」と記されています。
「物惜しみをせず」とは物質的なことだけではありません。
ひとりひとりが神様から与えられている才能や特技、心遣いや時間もそうなのです。
物惜しみをせずにほかの人にも役に立つような気持のよいやり方で、喜んで分け与え合いながら、学園生活を重ねてまいりましょう。