自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2020/09/28
きのこごはん・サケ塩焼・小松菜おひたし・塩ちゃんこスープ・牛乳・オレンジ
サケの塩焼きほど我々の中に深く浸透している食もあるまい。あまりに密着しすぎていて、その存在は空気と化しているかもしれない。家庭の食事、定食屋の王道、あるいはコンビニのおにぎりの中にまで入り込み、日本食の最大勢力であることは疑いない。
一方この状況が、ある秘密組織の陰謀によって作り出されていることは知られていない。その組織は日本の中枢まではびこり巧みに宣伝をしている。あらゆるテレビドラマの中にさりげなくサケの塩焼きを登場させ、あるいは無関係の番組の中に瞬間的に映し出すサブリミナル効果を利用し購買意欲を高めている。大量のサクラを雇い、電車の中や街角でサケに関する会話を行う、スーパーの中に無関係なサケのポップや料理のチラシを置く、ゆるキャラを作成するなど枚挙に暇がない。我々は巧みに誘導され、「なんだかサケの塩焼きを食べたいな」などと思ってしまうのである。
私はランチに一定周期でサケ塩焼きが登場することから疑念を持ち、長年の調査を行ううちに組織の存在に気付いた。そして世間に告発すべくこの文章を書いているが、おそらくこれを読む多くの人はフィクションであると考え、信じないだろう。そしてこう考えるのだ。「なんだか、読んでいたらサケの塩焼きがたべたくなってきたな」と。
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