自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2020/04/16
イエスは言われた。「わたしにすがりつくのはよしなさい。」
(ヨハネによる福音書20章17節)
12日はイースターでした。十字架刑で命を落としたイエスが復活し、弟子たちの前に姿を現した出来事を祝う日です。イースターというと卵を思い浮かべる人も多いでしょう。卵とキリスト教には直接の関係はありませんが、殻を破って新しい命であるヒヨコが出てくる様子が、墓を破って現れるイエスの復活に重ねられ、イースターエッグがつくられるようになりました。教会の方からイースターエッグをお借りすることができましたので、写真に撮っていただきました。卵の中身を全て出し、殻に彩色しています。写真のイースターエッグは東欧にみられるデザインで、一つひとつに意味が込められているのだそうです。もはや芸術品ですね。

「あなたは神に愛されている大切な存在、命だ」。イエスは当時、切り捨てられて当然とされている人々のもとへ出向き、このメッセージを伝えました。ところが、権力者たちにとって、イエスは自分たちの地位を脅かす邪魔な存在でした。愛されるには、それに値する条件を満たす必要があると考えていたからです。イエスが処刑された時、これで邪魔者は片付いたと胸をなでおろしたはずです。イエスと一緒にいた弟子をはじめとする人々は、失意のうちにほとんどが姿を消しました。ところが、この人々が「復活したイエスに出会った」という証しと共に再出発を果たします。「あなたは神に愛されている大切な存在、命だ」というメッセージは消え去ることなく、伝えられていきました。「敬神愛人」を建学の精神とする敬和学園高校もこのメッセージを大切にする人々によって建てられ、今も歩み続けています。
命が脅かされる危機が続いています。新型コロナウイルスは感染する相手を選びません。自らが増え続けるために。顔つきも変えていきます。異なった環境でもさらに増え続けるために。ひたすら「自分」のために増え続けるコロナは実にやっかいです。わたしたち人は振り回さるだけでなく、次第に歪んだところ、醜いところが露呈するようにもなっています。誰が悪いのかと犯人探しをし、責任を転嫁し、差別し、排除しようとします。それで問題が解決するわけではないのですが、「自分」を守ろうとして、そうした行動をとってしまいがちです。今に限ったことではなく、命を脅かされる大きな危機が訪れるたびに、これまでも同じようなことが繰り返されてきました。
一昨日の新聞で、絵本作家の五味太郎さんがこんなことを語っておられるのが目に留まりました。
――急に学校が閉められて先の見通しも立たず、大人も子どもも心が不安定になっていると感じます。
それじゃ、逆に聞くけど、コロナの前は安定してた? 居心地はよかった?
普段から感じてる不安が、コロナ問題に移行しているだけじゃないかな。こういう時、いつも「早く元に戻ればいい」って言われがちだけど、じゃあその元は本当に充実していたの?と問うてみたい。
(『朝日新聞』2020年4月14日(火)朝刊)
ドキッとしました。コロナは、わたしたちの歪んだ、醜いところを引き出すだけでなく、これまでの課題を逆に見えないように隠してしまう働きも持ち合わせているのではないか、と。今回のコロナのように、世界規模の命を脅かす危機ではないとしても、どこかの誰かの命が脅かされるということは続いてきました。存在が軽んじられると言い換えてもいいかもしれません。それはごく身近な場面においても起こっています。「自分」だけに固執していたら、気づかないまま通り過ぎてしまうかもしれません。
イエスには12弟子以外にも多くの弟子がいました。マグダラのマリアもその一人だと考えられています。彼女は朝早く、イエスが葬られた墓に向かいました。ところが墓は空っぽです。イエスの亡骸にさえ会えない。立ち尽くし、泣くしかないマリアは自分の名前を耳にします。そこには復活したイエスが立っていました。マリアはイエスにすがりつきました。もう二度と会えないと思っていた方に出会えたのです。また以前のように一緒に日々を過ごせます。自分の存在を包み込んでもらえます。ああよかった、これで元通りだ。ところが、復活したイエスはこれまでの関係に戻ることを望みませんでした。これまでとは違った形で彼女を支えることを約束し、マリアが仲間たちと共に、自分と他者の命を脅かす危機に向き合っていくようにと促すのです。
改めて、自分は何に価値を置いてきたのか、何を大切に考えているのかを問い直しています。わかっているようで、曖昧にしてしまっているところがあるのではないか。今はじっくり考える時間が与えられています。

【黎明館】
皆さんの教室が入っている校舎の名前です。「黎明」は、「夜明け」のことですね。聖書の中にも、「夜明け」が入っています。
「神はその中にいまし、都は揺らぐことがない。夜明けとともに、神は助けをお与えになる。」(詩編46編6節)
【創生館】
調理実習室、被服実習室、音楽室、そして「田園」「樹海」という名の教室が入っています。「創生」は「つくりだすこと」。この世界は、神が創ったと聖書にはあります。
「初めに、神は天地を創造された。」(創世記1章1節)
ん? 何かいるよ?


【友愛館】
のぞみ寮本部、ランチホールがあります。「友愛」、ギリシャ語でいうと「フィリア」ですね。
…何か楽しそうにしている…猫?
「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。」(ヨハネによる福音書15章13節)