毎日の礼拝

校長のお話

2018/06/20

「相手がいるということ」(エフェソの手紙 4:29)

ある洗剤メーカーの生活者研究センターが家庭科男女必修世代に着目して「中高家庭科必修世代の家事行動」を2006年、 2016年、 2017年にインターネット調査、 2017年に家庭訪問調査を首都圏で実施しました。

共働き世帯は引き続き増加傾向で、出産後も仕事を続ける女性が増えています。

現在の40歳以下は基本的に「男女ともに、仕事も家庭も」という教育を受けているその結果とも読み取れます。

 

2006年に首都圏の20~30代の夫が主に担当していたのはごみ出しや浴室掃除、資産・家計の管理などでしたが、2016年には全ての項目で担当割合が上昇しています。

夫が担当する家事はトイレ掃除も含め、掃除洗濯全般、食事の後片付けなどに広がっています。

20~30代夫婦では、まず自分たちがどう暮らしたいかを考え、「目指す暮らしのゴール」を夫婦で共有しているようです。

家事は明確な分担を決めるのではなく、お互いにさりげない思いやりでゆるやかにフォローし合い、できる人ができるタイミングでする臨機応変な家事シェア・スタイルであることのようです。

 

「家事は妻がやるべき」という意識はなく、洗濯でも掃除でもお互いのやり方をすり合わせたり、自動食洗機やロボット掃除機や家事サービスなどを上手に利用して家事負担やストレスを軽減するなど、“我が家スタイル”を決めることで効率化していることも特徴です。

夫婦でフォローし合う姿は「皆で一緒に暮らしているのだから、家の事をやるのは当たり前」という感覚を、自然に子供にも伝えていけるのではないだろうかと共通して各社が分析しています。

 

「家事の明確な分担を決めず、できる方ができるときに行い、手が空いているときは一緒に行うという、さりげなくフォローし合う臨機応変なスタイル」ですが、それにはまず、家事や育児について夫婦で意識を共有し、互いの家事のやり方をすり合わせて最適な方法を選ぶことが前提となります。

例えば、「子育てを重視したいので家事は無理のない範囲でよい」とか、「家事をサポートする家電を使ったり、家事を外注したりして、家事負担はできるだけ減らす」とか、家庭における方針を夫婦間で共有したうえで、家事のやり方をすり合わせて最適なやり方を決めておくなどです。

 

そうすれば、どちらがやっても不満が残らないし、急な用事で途中から交代しても問題なく終わることができます。

また、臨機応変のスタイルが確立すれば、担当だからと相手に押し付けたり、できていないことにイラ立ったりすることも少なくなるでしょう。

ただし、上手くいくときはよいでしょうが、相手にフォローを期待しすぎたり、どちらも時間がなかったりしたりして、家事の空白ができるというリスクもあるはずです。

 

つまり互いの状況を理解して、無理なくできる範囲を割り出して、カバーしあうという課題解決能力が備わっていることが求められるのです。

そしてなにより、互いに家事を行ったことに対する感謝の気持ちを表現することなど、思いやりの気持ちを持つことが重要です。

 

すりあわせをうまくすること、臨機応変に対応すること、課題解決まで道筋を理解し行うこと、これらの前提にあるのはコミュニケーションです。

自分の言いたいことだけを言い放つのはコミュニケーションではありません。人間は言いたいことだけを言って自分の聞きたいことだけを聞く性質を誰でも持っています。

ですから注意して聞く耳を持たなければなりませんし、発する言葉も丁寧に吟味しなくてはなりません。

お互いが気持ちよく過ごせるようにという気遣いがコミュニケーションをより豊かにしてゆきます。

第二定期テストが近づいています。

3年生は進路選択が迫ってきます。

自分が焦っているとき、追い詰められているとき、弱っているときは往々にして相手も余裕がないものです。

だからこそ言葉を選び、気持ちを込めて、丁寧に学校生活を送ってゆきましょう。