自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2017/10/19
10月4日(水)~6日(金)、2泊3日の日程で今年も敬和学園は全校修養会を行いました。49回生である2年生は7コースに分かれて、農作業や畜産業の手伝いをさせてもらい、また講師の先生の話に耳を傾けました。「いのちに向き合う」ことを通して、「いのちを大切にする」ことの意味を改めて学んでいたようです。
49回生学年主任 土屋由紀夫
「おくりびと」という映画を知っていますか?アカデミー賞外国語映画賞を取ったことで話題になった映画です。納棺師という人間の死を扱う職業にスポットを当てた映画でした。主人公は、プロのチェロ奏者として東京のオーケストラに職を得ますが、ある日突然楽団が解散、高額のチェロを購入していたために、借金を背負ったまま、自分のふるさとに帰ることにしました。職を探します。「旅のお手伝い」という新聞広告を見て、旅行代理店の求人と思い込んで、面接に行くと社長はろくに面接もせず、主人公を採用します。あとで、死んだ人を棺桶に入れる納棺が仕事内容だと知り、やめようとするが社長に押し切られる形で就職することになります。
この「おくりびと」という映画は、人生のマイナスというものが、自分にどのような影響を与えるかということを考えさせてくれる映画でもあります。死というものについて、考えさせられます。人間は死に直面するときに、真剣に命というものについて、考えるのだなと感じました。この修養会のテーマは、「いのち」に向き合うということです。
今度の修養会で、みなさん方が行くところは農作業するところです。今、私たち49回生は豚を飼っています。みなさんは、豚のうんこを処理し、汚いものに触れなければなりません。命を育てるというのは言葉としてはきれいですが、現実にはそんなにきれいなものではないということは、少しずつ実感してきているのではないでしょうか。私たちは、スーパーに買い物に行くと形が同じ整った野菜しか見ません。私たちのほとんどの人は形が整っていない野菜は価値のないものとして扱われるということを知りません。豚肉も、切り身しか見ないので、それに命が宿っていて、豚が一匹一匹違う形の命だったということを知らずに、命をいただくありがたさも感じずに、ただ好きか嫌いかのこっちの勝手な好みで、切り捨てられてしまうそのような価値観とか世界観しか持てなくなっている社会に生きています。私たちが生きている経済優先社会においては、形が揃っていないものは切り捨てられ、価値のないものとして捨てられていくのが当たり前です。いのちを大切にするということは、形が違っていてもいいのではないのかということを問うことにつながると思います。今回みなさんが自分自身にそのような問いかけをする、そんな修養会になることを期待しています。また、全てのいのちを大切にする農業というものは存在するのだということをもしかすると体験できるかもしれないという意味において、画期的な修養会になると期待しています。また、いのちを大切に育もうとしている大人の人に出会うことで、何かを学ぶことができたらと願っています。
萩屋農園コース
十日町地域おこしコース
長野共働学舎コース
白根の養豚農家「小林農場」コース
NPO法人「湯沢みどりの会」コース
環境保全自然栽培 上野農場コース
有機栽培「雪割草の郷」コース