自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2010/05/21
待つこと 寮長 信田 智
私はせっかちな人間で、待つ事が苦手です。子供を連れて遊園地に行って、乗り物に乗るにも、行列をして待つ事がいやで、結局行列の少ないアトラクションに行くことになる。スーパーのレジに並ぶのも、一番早そうなところをすばやく見つける。車の運転をしていても、自分のペースを狂わされたくないので、追越をかけて、同乗の妻に叱られる。ゆとりを持ってじっくり待てば、どうって言うことはないのに、それができない。このレベルはまだいいが、子供の成長が待てないと、子供がかわいそうである。
「這えば立て、立てば歩めの親心」と言うように、親は子供の成長が楽しみで、先へ先へと、わが子の成長を願うものである。時として、その成長が遅れたり、何かによって妨げられたりすると不安になり、パニックを起こす事がある。私の恩師はよく言われた、「人生において、忍耐の学科を学ぶほど難しく大切な事はない」と。親が先回りし、子供の障害物を取り除き、子供が自分で考え、その事柄と向き合う前に解決しようとすると、子供は自分で考えなくなる。我々は、すぐに結果が出ないと不安になって、つい先走りしたくなる。しかし、それがどれだけ子供の成長を妨げることになるかを理解しないことが多い。
妻に手伝わされて多少園芸をする。花や木は直射日光を好むものもあれば、日陰を好むものもある。たっぷり水や肥料をやらなければならないものもあれば、やりすぎてはならないものもある。種を蒔き、水をやり、あるいは秋に球根を植え、春に花が咲くまで長い月日を待たなければならない。春になって芽が出てくるより早く、草がはえてくる。庭の草取りの時、折角芽を出し、葉を出してきた苗を、草と一緒に抜いてしまうことがよくある。私のような素人には、草と苗はある程度成長するまで見分けがつかない。草花を育てるのは難しい。
まして人間を育てるのはなお難しい。同じように育てたのに、なんで子の子はこんなになってしまったのだろうと嘆く親がいる。当然な事である。子供は一人一人皆違うのだ。同じように育てたら、それぞれの個性が摘み取られてしまう。手をかけなければ成長できないが、手をかけすぎてだめにしてしまう事もある。この子にはこの子の育て方があり、別な子には別な子の育て方がある。大輪を咲かせる美しい花もあれば、可憐な花で人を慰め、癒してくれる花もある。どの花にもそれぞれの美しさがある。まさに「人皆に美しき種子あり 明日何が咲くか」である。
それぞれの個性が、それぞれの個性を発揮するまでには時間がかかる。あせっても今すぐ親の願うようには行かない。何より、子供を親の願う型にはめ込もうとすること自体が、子供の豊かな可能性を封じ込めてしまう事になる。その子がその子らしく成長する事を待つのが、敬和の共育の姿勢である。我々は忍耐の学科を学びながら共に成長して行きたい。
<寮生リレー通信 (第 70 回)>
めぐみ館
『お楽しみ会』 M.M.(1年生・栃木県下野市)
入寮礼拝から1週間がたち、寮生としての自覚が芽生え始めた頃、43回生初となる寮祭の準備が始まりました。
1・2年生は劇の準備、3年生は屋台の準備と、それぞれの仕事をこなすためにのぞみ寮をめまぐるしくかけまわります。私たちめぐみ館の1・2年生は2年生が書いてくださった脚本を元に、着々と劇の準備に取り組んでいました。劇題は「ツンデレラ」。意見を出し合いながら寮祭に向けて毎日懸命に練習を重ねていました。
そんな慌ただしい日々はあっという間に過ぎていき、とうとう寮祭の日がやってきました。寮祭は午後から始まるのですが、私は朝から寮祭のことで頭がいっぱいで、授業中も先生の話を集中して聞いていられませんでした。
そして始まったお楽しみ会。もともと人前に出るのは得意ではなかったのですが、劇が始まってからは一生懸命声を出そうと努力し、いつの間にか劇は終盤…。ここまでちゃんと出来ていたのかなあ、と不安になりながらもめぐみ館全員でダンスをおどり劇は無事終了しました。
1つのことを最後までできたのは中学校の合唱コンクール以来かなあ、という簡単すぎる感想とともに、興味のないことは適当に、という今までの自分の考えに少し幼さを感じた寮祭でした。
光風館
『G.W.のバスツアー』 T.S(2年生・栃木県芳賀郡益子町)
5月3日、その日はとても晴れていました。春の陽気というよりは、むしろ少し汗ばむようなそんな暑い日でした。行きのバスの中では、いろいろと雑談したり、持参したスピーカーで音楽をかけて皆で歌ったりしました。そんなことをしているうちに、バスはあっという間に目的地に着きました。そこは、柏崎・夢の森公園という施設で、そこには家族連れを含めてたくさんの人がいました。その日はまさにスポーツ日和だったので、僕たち男子は広場でサッカーや野球をしたり、ダンスを踊ったりしました。女子はというと、おしゃべりをしたり、フリスビーをしたりして楽しんでいました。しばらくして、私たちは簡単な山登りをし、その頂上の広場でも遊びました。その後、元の広場に戻り、おにぎり、サンドウィッチ、お茶、デザートなどの昼食をとりました。
昼食後、車で少し移動し、柏崎のフィッシャーマンズ・ケープというところへ行きました。そこにはお土産屋さん、浜焼き屋さん、鮮魚売り場などが連なっている場所でした。僕たちはソフトクリームを食べながら、いろいろな魚を見て回りました。見たことのない魚がたくさん並べられていたので、とても興味深く、良い経験になりました。帰りのバスの中では、ほとんどの人が疲れたせいか寝ていました。これまでに接点のなかった人とおしゃべりできましたし、友達とは更に仲を深めることができたので、ともてよいゴールデン・ウィーク中の行事になりました。
みぎわ館
『共に食べる』 I.Y(2年生・新潟県新発田市出身)
休日の夕方でした。実家から寮へ戻り、部屋の戸を開けるなり見慣れた顔触れに「あ~!おかえり~!」という聞きなれた声。数か月前はぎこちなかった寮の仲間との生活も、今ではすっかり当たり前となり、見慣れた日常の一つです。そのいつもの休日の風景の中に、一本の放送が入りました。その日に予定されていた寮行事・バーベキューの準備をしています、というものでした。その後すぐに会場である寮広場へ向かうと、鉄板にガスバーナー、野菜、肉。部屋で着替えをしているうちにほぼ準備は終わっていたらしく、やがて食材の焼ける音が聞こえてくると、白米の盛られたお皿片手に、鉄板の周りは人でいっぱいになりました。あちこちから「肉焼けた~?」の声。それに対して時折「野菜もたべなさ~い!」と言った声掛け等、にぎやかな雰囲気とおいしそうな匂いに食欲がそそられました。
私は肉よりも玉ねぎが好きだったので、友達が私の皿から肉を取る代わりに、私が友人の皿から玉ねぎを取ったり、鉄板から玉ねぎを探して、焦げないうちに…と懸命にお皿に乗せていたのを思い出します。
今思うと、私の胃の中は肉というより玉ねぎが3割、食後に出たアイスクリーム6割、その他1割という割合だったように思います。合間に友人たち7~8人とバレーボールで遊んだり、後片付けを皆で協力して行ったりと、いつもの夕食とは少し違ったゴールデン・ウィーク中の楽しい思い出の一つとなりました。
食事をする上で、誰かと一緒に食べるということはとても重要だと思います。どんなに美味しい物も、孤独な気持で食べては台無しになってしまうと思います。そう言った意味でも、共に食事ができる人がいることは幸せなことで、感謝すべき事だと改めて実感できる機会となりました。
大望館
『ガーデンパーティで…』 S.H.(3年生・大阪府大阪市)
自分は今回の寮祭ではのぞみ寮運営委員会の一員としてガーデンパーティーに臨んだ。その中、食事委員は当日の司会が主な仕事だった。以前、自分は寮クリスマスで司会などを経験していたので、今回はそんなに大変な仕事ではないだろうと思っていた。しかしそうではなかった。今回は出店のような形をとった夕食なので、メニューの紹介、各ブースのアピールなど、常にマイクを持って喋らなければならなかった。自分は人の前で話すのが苦手で、どうも口がまわらなくなり、マイクを持って固まってしまうことがしばしばあった。だが、先生のサポートや他の委員会のみんなが自分達のブースのアピールをしてくれて、今回の寮祭はなんとか乗り切ることができた。一応、こなすべき仕事は大きな問題なくできたのである。しかし、この度の寮祭、この食事委員会の仕事以外のことでは問題だらけだったと言っていいだろう。
事は当日、準備をしている時の会話から始まった。Rが「おい、女装しろよ。」、自分「ゑ?」。いろいろと準備している中、いつのまにか持ってこられていた女物の服。着々と着付けをされていく自分。それはもう、寮祭の最中に現生徒会長が本当に女性と見間違う程の出来栄えだったらしい。
寮祭にいらした保護者の方々、非常に目に毒な自分がガーデンパーティー時に広場を闊歩していたことを、ここにお詫び申し上げます。
<スタッフから一言>
暖かな日が続いたG.W。帰省していた生徒の穏やかな表情から、自宅でたっぷり栄養をもらってきたことが良くわかりました。帰省できなかった生徒も、柏崎へのバスツアー・バーベキュー・二夜連続の映画鑑賞会などのイベントを楽しむことができました。
いつもの賑わいを取り戻した連休明け。寮の暖かさとは裏腹に、「春はどこへ…。」と言いたくなるような寒い日が続き、気温の変化に体調を崩す生徒が多数いました。風邪をこじらせ不調が続く者、じっと休んで一日で回復する者、学校は休みたくないと休日に治してしまう者と、様々でした。日ごろから体調管理に気をつけることはもちろん、体調を崩した時に自分と仲間のために自制することの大切さを改めて感じました。
いよいよフェスティヴァルです。心と身体を大切にして、仲間と共に、大いに楽しんでほしいと願います。
女子寮担任 冨井 愛