自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
小西二巳夫(校長)
東北楽天・田中将大投手
プロ野球パリーグの東北楽天イーグルスの田中将大投手が24勝0敗という成績を残しました。一度も敗戦投手にならずに、勝率10割で一年間を終えたということです。数字上はあり得ることですが、誰も現実に起こるとは考えなかった出来事です。実際プロ野球の長い歴史の中でも20勝以上上げて、それを達成した人はいません。4月から10月までの長いシーズンですから、登板日に向けてきちんと調整してもボールが走らない日や変化球のキレの悪い時もあったはずです。田中投手はエースですから相手チームもエースが投げました。つまり得点を取りにくい投手が相手の試合の連続でした。一般的に本格派の投手は立ち上がりが悪いといわれます。その通り序盤に相手チームに先取点を取られること、大きなピンチを迎えることが何度もありました。不運なプレーが重なって失点した試合もあったはずです。それでも結局は一度も相手にリードを許すことなく完投するか、途中で次の投手と交代したわけです。ということを考えると、それは単に運が良かったということではなく、そこには見えない、そして言葉にできない何かが働いた結果だと思われます。
体幹を鍛える
私は10数年前からスポーツジムに通っています。今は主にランニングマシンで走ります。そのためにまず入念にストレッチをします。年齢が年齢ですから、これを怠るとアキレス腱や膝を痛めたりします。それからマシンに乗り、時速5.5㎞で20数分2㎞歩き、その後時速9㎞~10㎞で平均8㎞走ります。その後クールダウンをして再びストレッチをして終わりです。その日調子が良ければもう少し長く走り、悪ければ早目に切り上げます。それを判断するのは、走り始めた時の自分の「息づかい」です。スムーズな息づかいができる日は、速いスピードで長く走ることができるのです。トレーニングジムに通うのは、筋骨隆々になるためでも痩せるためでもありません。それは年齢的に無理です。忍耐力を養うためでもありません。ストイックな自分を目指してもいません。健康管理をまじめに考えというよりは、「日常生活を自分の過ごしたいように過ごすため」という一種のわがままによります。トレーニングで気を付けているのは内側の筋肉(インナーマッスル)、体幹(コア)を鍛えることです。内側の筋肉は見えませんが、これを鍛えると体幹がしっかりして体がシャキッとします。気力も湧いてきます。体幹を強くするために最も大切なことは呼吸です。体の中にしっかり空気を取り入れてしっかり吐く、これを連続させることで体の中心線である体幹がしっかりしていきます。
息づかい
田中投手が投げる試合で一度も負けなかったのは、元々彼が力もあり気持ちも強い投手であったからです。そこに加えて彼が投げると必ず勝てるとの思いを他の選手が持てたからであり、それが次第に彼を負け投手にさせるわけにはいかないとの強い気持ちがチームの中に生まれていったからと考えられます。いうなれば選手個人とチームの呼吸がうまく絡み合ったのです。それぞれの息づかいが一つになることによってチームの体幹が強くなったのです。
神の息
敬和生が写真やビデオ等で見せる表情にはいい意味でスキがあるといわれます。相手を警戒しないから、そして無意識の自信があるので、カメラを前にしても自分の内面を表情にして素直に見せることができます。そうした表情は見る側からすれば輝いて見えます。それは学年が上がるにつれてより鮮明になっていきます。敬和学園の学校生活は特別なものではありませんが、一日一日が強いられた雰囲気の中で過ぎていかないので、自分のリズムでゆったり息を吸ったり吐いたりできるのです。いうなれば、敬和学園は一人一人のインナーマッスルを強くする環境にあるということです。聖書は呼吸、息づかいを大切なこととして記しています。創世記2章には、人は神様の息が吹き入れられて、本当の意味で生きるものとなったと書かれています。この話から人がいきいきと生きるためには、そして人間的成長をするためには、しっかり呼吸のできる安心感と環境が必要だということです。敬和学園はキリスト教の学校ですから、間違いなく神様の息が充満しているのです。その中で三年間過ごすわけですから、内面的な強さを持ち、表情に輝きを見せる一人一人が育っていくことに、何の不思議もないのです。敬和生の持つ内面的強さと生きることへの自信は、神の息が充満している学校で日常生活を過ごす中から作られていっているのです。