のぞみ寮通信

めぐみ館

2012/11/07

めぐみ通信 (2012年10月31日)

「話しができる面白さ」

 先日事務室で、ある3年生と受験の手続きの確認をした後に、他愛もない話しをしていると、「そういえば、あんなこともこんなこともあったよね。」と昔のことへと話題が移りました。
 以前、彼女は、確認不足から大きな間違いをしてしまい、私たちに叱られたことがありました。「あの時、めちゃくちゃ怒られて、本当に寮が嫌で帰りたくなかったけど、お父さんに『逃げるんですか。』と言われて『帰るし!』って帰って来た。でもあれから、色々気をつけてるよ。そう思うでしょ!」
 「うーん・・・。そうだねえ。寝坊は減ったかなあ・・・」と思い起こしてみると、確かに大きく変わったところがありました。以前は、何か注意されると、ふてくされていただけだったのに、今は素直に「ごめんなさい。」を聴かせてくれます。「朝食前に、同室の子に起こしてもらって、一回起きたんだけど、また寝てしまって。皆が掃除している音で目覚めて、青ざめた。先生に怒られるかなって思ってドキドキしてたけど、その日は怒られなかったよ。(笑)ふう〜。」と、後日談まで話してくれます。お互いに快くないやりとりしかできなかった寮生と、こんな風に話しができるようになることは、完璧に何でもこなせるようになってくれることよりも、嬉しかったりするのです。
 入寮当初は、全くホームシックにかからなかったという彼女。時間が経つにつれ、寮生活で人とぶつかるたびに、家や家族が恋しくなっていったそうです。「家族みんなで一緒にごはんが食べたいな。しかも、お父さんの手作りのやつね!毎日、自分のことと離れた家族のことをお祈りしているんだよ。」そんな可愛らしい言葉と笑顔にジーンときてしまいました。

 思春期真っただ中の寮生たち。その一人一人が持つエネルギーの強さは半端ではありません。自分自身の心はもちろんのこと、周りの仲間の心も、私たち教師の心もグラグラ揺さぶってくれます。色々な出来事に喜び傷つきながらも、こうして話しができるようになる日を与えてくれる寮生活。なんて面白いのでしょう。自分自身の考え方や、心の変化を言葉にできるようになるのは、本当に大きな成長です。毎日のように色々なことがあるけれど、話しができるようになる日を心待ちにして、グラグラ心揺さぶられることも楽しみながら関わっていきたいと感じさせられました。 (冨井)

 

 

 

 

 

 

< 礼拝のお話し >

3年 S.K.
 皆さんは、宇宙について考えたことはありますか。宇宙と聞くと、何だかすごく遠くて、ひどく抽象的で、そら恐ろしい存在のように感じるかもしれません。実際に、私たち人間が、本当に宇宙について解き明かしていることは、宇宙全体のたった5%にしか過ぎません。あとの95%は、暗黒物質という、宇宙全体を動かすエネルギーが働いている、とも言われています。本当に宇宙は謎だらけ。だからこそ、いろいろな考えを巡らすことのできる、未知の空間があるのです。
 さてここで、宇宙について思いを巡らせた、ある人の話しを紹介します。皆さんは「超新星」を知っていますか。超新星は、その名の通り、超新しい星・・・ではなく、星が死ぬ時に起こす大爆発のことを言います。その大爆発が、新しい星が生まれるように見えることから超新星と呼ばれています。死ぬ時に輝いて、初めてそこに星があったのだと気付く時もあるくらいです。しかし、その爆発した星は、ここから何億光年、何百億光年と離れていて、地球にその光が届くまで同じ年数のタイムラグが生じています。今「超新星が輝いている」と叫んでも、見えているものは何億年もの過去の姿。つまり、今はもうとっくに無くなっていて、同時間軸には存在しないのです。
 大切な友達や家族を亡くして、初めて大切さを知ったと言う人も少なからずいるでしょう。やっと気付いた。やっと出会えた。思い出にはタイムラグがあるけれど、眩しいくらい光り輝いているはずです。
 しかし、その人によると、人は皆生まれたときが、実は超新星の始まりなのだそうです。星のように死ぬ時とか、別れた時が超新星なのではなく、生まれた時、誰かと出会った時が超新星の始まりだということです。
 人の一生をロウソクに例えることがあります。ロウソクの火が消える時を一生の終わりに例えたものです。ロウソクの火を消さないためには、どうしたらいいのでしょうか。火を始めからつけなければいいのです。火をつけなければ、風が吹いて突然消えたり、燃え尽きるということもないのです。では、そのロウソクを星に置き換えてみます。火を付けた時が新星、燃え尽きた時が超新星。つまり、燃え尽きた後に、タイムラグを越えて、その人の思い出が明るく光り輝くということなのです。
 だから、その人には、今生きている誰もが大爆発の最中に見えたのだそうです。お父さんも、お母さんも、好きな友だちも、嫌いな友だちも、みんな。
 みなさんはどうでしょうか。太陽よりも明るく爆発しているでしょうか。恐らく自分では分からないものなのでしょう。私自身、自覚しろと言われてもできません。燃えているロウソクに「お前は今燃えている最中なんだ」と言うようなものです。ロウソクはロウソクとしての機能を全うしている最中なのですから、今更何を、という感覚です。
 そのロウソクの火—大爆風の光は、色も形も違う周りの星の爆風に吹かれることで、更なる輝きを放つのだと思います。つまり、星が密集していればいるほど、ロウソクは揺らされ、誘爆も繰り返していけるのです。
 果たして、私は他の星を誘爆できたのでしょうか。この3年間、どのくらい、他の人のロウソクを揺らせていたのでしょうか。正直あまり自信がありません。他の輝きを見て、触れて、混ざって。だから、私は白いものを身につけるのが好きなのかなとも考えたりします。
 思い出には、必ずタイムラグがついてきます。その時の思い出—超新星は、爆発している最中に、いかに周りの星の爆風に振れ、誘発されるかで、そのタイムラグ後の輝きが変わります。できることなら、人の中でいつまでも明るく光り輝く超新星でいたいものですね。

 

 

 

 

1年 Y.N.
 今回は、「自分と重ねて考える」というテーマを元に、一つの本を紹介します。『だからあなたも生きぬいて』という本です。これは、一人の女性が、いじめの苦しみで非行に走り、極道の妻となったが、ある男性の一言によって新しい道を歩むというお話です。私は、この本と中学3年生の時に出会いました。その頃の私は、親が大嫌いで、部屋に閉じこもり、携帯で友達と話してばかりいました。そんなある日、家庭教師の方が、「これ、読んでみない?」と渡してくれました。読んでいるうちに、自分自身のことが書かれているような気持ちになりました。4月になり、親が嫌いなままめぐみ館に入りましたが、ここでの生活を通して、親に感謝する気持ちを持つようになり、今では、一番大切な人となりました。
 この本の著者が一人の男性の言葉で変わったように、私もめぐみ館での出会いの中で、親に感謝することを知りました。この本の出来事と自分自身を重ねて変われたように、これからも、もっと色々なことに自分を重ねて、色々なことを知っていきたいです。
 皆さんも、何かと自分を重ねることで、何かを見つけたり、何かを知れたりするかもしれません。ぜひ、一度でも試してもらえたら幸いです。