毎日の礼拝

毎日のお話

2026/06/25

大塚 忍(聖書科・労作科)

【聖書:マルコによる福音書 12章 17節】

イエスは言われた。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」彼らは、イエスの答えに驚き入った。

 

 

 イエスは大工として働きながら、貧しさや病、差別に苦しむ人々の姿を見続けてきました。一方で、本来そのような人々を支えるべき宗教指導者たちが、人を裁く側に立ってしまう現実も見ていました。そのような中で、イエスは洗礼者ヨハネのもとを訪れ、自らの生き方を問い直します。そして、「人が人を抑圧しない世界」を実現するために歩み始めました。

 今日の聖書では、ユダヤ教の指導者たちが「ローマ皇帝に税金を納めるべきか」とイエスに問いかけます。どちらと答えても不利になる巧妙な質問でした。しかしイエスは、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と答えます。

 イエスが問うたのは、税金の問題ではありませんでした。「あなたの存在の根拠は何か」「あなたは何に従って生きようとしているのか」という、人間の生き方そのものを問い返したのです。

 この問いは、二千年を経た今も私たちに向けられています。

 「あなたは何を大事にして生きているのか。」

 日々の忙しさや周囲の空気に流されてしまうことは誰にでもあります。しかし、時に立ち止まり、「本当にそれでよいのか」と問いかけてくる声が聞こえてくることがあります。その問いに耳を傾けることが、私たちの生き方を形づくっていくのではないでしょうか。