毎日の礼拝

毎日のお話

2026/02/25

與那城 初穂(聖書科)

【聖書:ヨハネによる福音書 8章 7節】

しかし、彼らがしつこく問い続けるので、イエスは身を起こして言われた。「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」

 

 

 「ボクのおとうさんは桃太郎に殺されました」という2013年の広告は、英雄譚を鬼の子の視点から問い直すものでした。聖書のダビデとゴリアトの物語も、勝者の側から読めば痛快な物語ですが、別の視点に立てば、そこに別の人生と悲しみが見えてきます。受難節に覚えるイスカリオテのユダも、長く「裏切り者」とされ、その否定的イメージは歴史の中で反ユダヤ主義という深刻な差別を生み出しました。関東大震災の流言も同様に、偏見からの差別が人々を傷つけ殺しました。私たちはしばしば、誰かを悪者にすることで安心し、自分を正しい側に置こうとします。しかしイエスは「罪のない者だけが石を投げよ」と語り、他者を裁く前に自らを省みるよう促されます。敵か味方かという単純な構図を越え、別の視点にも心を向ける者でありたいと願わされます。