自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2024/06/26
題字 めぐみ館3年 T.Tさん
2024年度フェスティバル ~桜梅桃李~
「24時間 共感」 寮長 野間 光顕
『…全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ。喜び祝い、主に仕え喜び歌って御前に進み出よ。知れ、主こそ神であると。主はわたしたちを造られた。』(詩編100編1節~3節)
6月第2週末、敬和最大の祭典「フェスティバル2024」が開催されました。コロナ後に迎えた2度目のフェスティバル、準備から当日までの取り組みがほぼコロナ前と同様となり、これ以上ない快晴の下、会場となったチャペルやグラウンドは、躍動する生徒の「輝き」で満たされました(奇しくも今年のフェスティバルを牽引した55回生の学年テーマも「輝き」です)。そして今回、18年ぶりに寮側の視点からフェスティバルを見つめる中で、改めて見えてきた、気付かされた「真理」がありました。
それは「大きな『輝き』の背後には、それに比例する『困難』が必ず存在している」という事です。寮生の日常を見つめていると、4月下旬の連合決めから、本番までの約7週間、連日のように壁にぶつかり苦しむ生徒の姿がありました。1年生は、ようやく慣れてきた敬和生活の中で迎えることになったビッグイベント、右も左も分からず飛び込んだ4月の寮祭とは準備期間も関わる人の数も大きく異なります。去年のオープンスクールから憧れてきたフェスティバルを、今度は自分が本当にやれるのか…?と日毎に近づく本番に困惑している人がいました。
2年生は、クラス替えから生じた新しい人間関係の中で迎える2度目のフェスティバル、毎年同じことをしているようでも人が変わると全く別物になるフェスティバル特有の不思議さを前に「来年は自分たちがどんなフェスを作るのか…?」そんなゴールの無い自問自答を繰り返す人も多くいました。
そして3年生。こちらは言う間でもなく差し迫った本番を前に、想定通りに進まない事への苛立ちと後悔、1日が何時間あっても足りないと感じる程の焦りと積み重なる疲労に「もうフェスなんてやめたい…」と涙に暮れる背中を多く見かけました。
しかし、そのような困難の先には、必ず呼び起こされるものがある…それが「共感」です。不安や悩みを抱える後輩の傍らには、昨年自分も同じ苦しみを経験した先輩が付き添い、その悩みを丁寧に受け止めていました。喜び勇んでチーフになったものの、理想と現実の狭間で崩れそうになる3年生に対しては、ある時は寮の仲間が、ある時は寮教師が、そしてまたある時は差し入れを届けて下さる保護者が、それぞれ違った形で寄り添い続ける・・・。そんな風に困難から呼び起こされた「共感」が、より強く一人ひとりを結びつける「連帯」を生み出し、本番が近づくにつれて集団が共感を土台とした「共同体」へと生まれ変わっていく…。その最も分かり易い具体例が、結果発表の後に行われた本部長挨拶に表されていたように思います。発表された順位に悲喜交々…の時間が過ぎた後、最後に本部長の口から発せられた掠れた声の「ありがとう」は、間違いなく皆が紡ぎ出した1つの頂点であり、グラウンドに集う者の心を更に強く結び付ける力を持っていました。そんな風に互いに研き合い、成長し合うために必要な「共感」が24時間行き交っている場所、それがのぞみ寮なのです。
「『私も何かのチーフになりたい』という思いから」 3年 T.H(新潟県)
私は今年、ダンスチーフを務めました。1年生の頃から総合チーフに憧れて、総合チーフを決める時は、迷わず手を挙げました。しかし、それは叶いませんでした。もし、総合チーフになれなかったら、今年のフェスティバルでは何もしないで、ただ当日だけを楽しもうと思っていました。それでも、クラスでチーフを次々に決めていくうちに、「やっぱり私もチーフになって最後のフェスティバルで思い出をつくりたい」という気持ちになり、ダンスチーフになりました。
ダンスチーフの相方Mさんは、ドイツからの留学生なので、日本語ですべてを伝え合うことは難しく、フェスティバルのルールや話し合いをすることは正直大変でした。それでも、二人で何度も話し合いをしました。また、ダンスメンバーのみんなに教えたり指示を出したりすることも大変でした。「私じゃなく、違う人がダンスチーフをやった方がいいのかも。もうやめたい」と何十回も思いましたが、みんなが優しい言葉をかけてくれて、支えてくれたのでなんとか当日を迎えることができ、ダンス部門1位を獲ることができました。
フェスティバル期間を通してとても辛く、もうやめたいと思ったことも、終わった後には大きな達成感と感動に変わりました。きっと寮生活も同じだと思います。卒業した後は、大変だったあんなことも良かったと思う日が来ると思っています。後残り少ない寮生活を楽しみたいと思います。
ダンス部門、蔵王連合が見事1位に輝く!
「悔やむつもりなんてなかったのに」 3年 S.N(新潟県)
合唱チーフとして迎えたフェスティバル期間、僕は乗り気になれませんでした。元を辿れば2年生に進級し新しい教室の席に座った時、「このクラスで2年間か」そう思わずにはいられませんでした。
2年生のフェスティバルも賛美歌発表会も、良いとは思えない結果で終わりました。そのクラスで僕は合唱チーフに立候補しました。でも、立候補したのは他にやりそうな人がいなかったからという理由。やる気もそこまで無く、「この連合では無理だろう」と始まる前から諦めていました。「結果が悪くてもこの連合じゃ悔しむ事も無いだろうし、それなら自分の好きなようにやろう」と勝手に決めていました。
微塵もない期待を持って練習を始めるも、やはり目の前にあったのは真面目に参加しない3年生の姿。「予想していたけどやっぱりだめか」と感じました。「もう練習なんてやめてやろうか」とも思ったパート練習。しかし、そんな中で自分を勇気付けてくれたのは奇しくも参加態度の悪い3年生達でした。「なんか可哀想だから次はちゃんとするよ」と言われ、感心しました。周りを見れば楽譜を持って成果を報告してくれるパートリーダーと自分の選んだ曲を口ずさむクラスメイトがいました。その時、初めて自分の立場と影響力、そして責任を自覚し、よい結果を諦めていた自分勝手さを後悔しました。そこから僕は「できるだけ良い結果を残そう」と励みました。「自分が楽しめればよい」と自分のために合唱をしていた僕は、いつの間にか「皆でよい結果を掴みたい」と確実に他者のために合唱をするように変化していました。
そして迎えた本番、結果は5位。「どんな結果でも悔やむことはないだろう」と思っていた僕の目は、少し潤んでいたと思います。始まる前から駄目だと決めつけていたクラスと連合に、自分は大きな期待を寄せてしまっていたということを初めて気付かされました。初めて自分のクラスを好きになって、立場を持つ責任を知れて、様々な経験ができたことを、僕は一生忘れずに生きていきたいと思いました。
合唱チーフの仕事に精一杯力を注いだS君
「今までの自分とフェスティバルの取り組み」 2年 W.J(新潟県)
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?フェスティバルでは、去年も今年も僕らの連合は悔しい結果でしたが、個人的にはすごく満足しました。去年は初めてのフェスティバルでかなり興味深いと思いましたが、今年は勝敗がかなり拮抗したので、今年のほうがより夢中になりました。
1年前の僕はやる気もなく、先生に叱られまくったり、その場の状況を乱したりと、本当に良くないことばかりだと思いました。しかし、進級して2ヶ月経ち、先生に褒められる場面が多くなり、いろんなことが出来るようになって、進級して急な成長を感じています。ただ、僕が出来ることはまだたくさんあるので、いろんな場面で活躍しつつ、その先の一歩を歩みたいです。
最近は、悩みがあることが多くなったので、寮の先生によく相談しています。1年生の頃は叱られてばかりで、先生のことが好きではなかったのですが、今は常にそばにいてほしい大切な存在です。
僕は授業だったらやる気があって、すごく懸命に取り組めるのですが、フェスティバルや修養会や寮祭の出し物の準備をするなどといった行事に関する活動がすごく苦手です。しかし、これから活動する機会が多くなるので、それらをしっかりと克服していきたいです。来年は最高学年になるので、さらにフェスティバルを盛り上げていきたいと思います。「自分がどのように引っ張っていけばいいのか?」ということをしっかり考えながら活動していきたいです。
「2回目のフェスティバル」 2年 T.R(新潟県)
私が今年、フェスティバル本部員になって経験したことは2つあります。
1つ目は、責任感をもつことの大切さです。本部員は「意外と」大変でした。フェスティバルの本部員になんとなく入った私は、本部の仕事の多さにとても驚きました。私はダンス部門と競技部門の担当になりました。チーフの人たちに、どんなことをするのか、何をしたら減点になるのかなどの説明をし、たくさんの提出物の期限を守ってもらわなければいけませんでした。先輩たちに伝えることは少し怖かったけれど、私が伝えなければチーフの人たちに迷惑がかかってしまうと思い、責任感をもって仕事をしました。
2つ目は、無理をせず楽しむことの大切さです。フェスティバルが近付くと、仕事の量も増えて初めてのことが多くなり、私を含めてみんな疲れていました。そんな時は休憩することを大切にしながら頑張りました。また、私が仕事でミスをしてしまい落ち込んでしまった時は、本部の仲間が励ましてくれたことがありました。あの時はとても嬉しかったです。
その他にも、本部員のメンバーには今まで関わりの少なかった人たちが多かったけれど、フェスティバルの準備期間で、関わりの無かった人と話しをすることが増えて、たくさんの人と関わることができて本当に良かったと思いました。
本部員の仕事は本当に忙しかったけれど、その分楽しい仲間の本部員と関わることができました。もし、本部に入っていなかったら、友人関係の広がりはなかったと思います。最高のフェスティバルでした。
前列:フェスティバルを支えためぐみ館2年生の本部員
「次に繋がるフェスティバル」 1年 G.H(東京都)
まずは無事にフェスティバルが終わり、ホッとしています。フェスティバルの準備が始まったのは、5月中旬で入寮・入学の1ヶ月半しか経っておらず、新しい環境と新しい人間関係に疲れを感じていた時でした。合唱練習は、いつもの6限の後に7限という形で設けられました。授業は45分に短縮されたので、寮に戻る時間は変わりませんでしたが、やはり授業の後に歌うのは大変でした。また、テストの直後で個人的にテストが上手くいかなかったこともあり、精神的にも疲れを感じていました。しかし、悪いことばかりでもなく、フェスティバルに向けて準備を進める3年生の姿を見られたことは、今後の生活にプラスになってくると思います。大勢の前でも堂々とみんなを引っ張っていく姿が、特に印象的でした。
そして、フェスティバル1日目。僕は合唱部門で歌うだけでしたが、チーフの派手な登場にはテンションが上がりました。合唱では少しでも良い合唱ができるように、なるべく綺麗で大きな声で歌いました。2日目は大縄跳び・騎馬戦・綱引き・選抜リレーの4種目に出場しました。その中でも選抜リレーが心に残っていて、本番は不安でいっぱいでしたが、無事に1位を取ることができて、とにかく嬉しかったです。
フェスティバルを通しての感想は、「とにかく大変だったなぁ」と思いました。フェスティバル準備では集中力が切れ、3年生に怒られてしまうこともありましたが、終わった後の3年生の姿を見ると「頑張ってよかったなぁ」と思えました。来年は先輩になるので、この経験を活かしていきたいと思います。
選抜リレーで大活躍!一気にトップへ躍り出たG君
「ありがとう」 3年 H.A(新潟県)
敬和生活最後のフェスティバルは本部長としてやり遂げました。みんなに一番伝えたいことは“ありがとう”です。私を本部長にしてくれてありがとう。支えてくれてありがとう。一緒に歩いてくれてありがとう。
この期間はずっと不安で、毎日の生活が私にとっては大きな壁でした。何度も“逃げたい”、そう思いました。でも、周りにはたくさんの支えてくれる人がいました。少しでも暗い表情をしていると「大丈夫?」と心配してくれる人、落ち込んでいる自分にそっとお手紙やお菓子をくれる人たちがいました。何気ない会話でさえ笑いが止まらなかったり、愚痴を言い合ったり、どんな気を許せる相手が周りにいることに気付き、自分は幸せ者だと実感しました。フェスティバル当日、みんなから「本部長がAで良かった」「今までで一番楽しかった」という言葉をもらい、「諦めずに頑張って良かったな」と思いました。
学校生活だけでなく、寮生活を通して挑戦し続けることの楽しさや達成感を覚え、逃げることばかりを選んできた私が、今では自分から近付いてみたり向き合ったり出来るようになりました。何もかも諦めていた自分に、敬和での時間は少しの勇気と自信と幸せをもたらせてくれました。これから進路に向かって進んでいきますが、今以上に大きな壁が出てきます。そんな時、今のように隣ですぐに支えてくれる人がいないかもしれない・・・・・・。だから、この環境が当たり前ではないということを自覚して、今に感謝して進んでいきます。
フェスティバルの「要」はやっぱり本部員!
「自分の個性を隠す必要はない」 3年 F.A(岡山県)
僕の祖父は広島県で保育園の園長をしています。今年の春休みに僕は保育園のお手伝いに行きました。春休みの居残り保育はみんな年齢がバラバラで、いろんな子どもたちの面倒を見ていました。その中で、僕はある子を見つけました。その子の右手の指は2本しかなかったのです。僕はそれを「かわいそうだなぁ」と思ってしまいました。ですが、その子は指が2本しかないということを感じさせないくらい、みんなと仲良く遊んでいました。僕はそれを見てとても不思議に思いました。なぜ、周りの人はその子を不思議に思わないのか?なぜ、その子は指のことを隠そうとしないのか?僕がその子であれば、みんなと違うところがイヤになって、隠そうとしてしまいます。あまり聞いてはいけないことだとわかってはいましたが、僕は好奇心が勝ってしまい、「指が2本しかなくてイヤじゃないの?」とその子に聞いてしまいました。その時、僕は絶対にイヤな顔をされて答えてくれないと思っていました。でも、その子の答えは僕にとって予想外なものだったのです。その子から返ってきた答えは「全然、不便じゃない。みんなと違っていい」でした。僕はこれを聞いてとても驚きました。僕はそのことを欠点だと思っていたけど、その子にとっては欠点ではなく、むしろ長所になっていたのです。他の子にも、その子の指をどう思っているのか聞いてみると、いい意味でまったく気を遣っておらず、その子を受け入れ、みんなと同じように遊んでいたのです。僕は「子どもってすごいなぁ」って思いました。みんなと違う人を差別せず、受け入れ、同じように接する。みんなと違うところを嫌がるのではなく、むしろそのことに喜びを感じる。僕にとっては考えられないことでした。
僕が伝えたいことは「みんなと違うからと言って、自分の個性を隠す必要はない」ということです。それにより本来長所であったところが、欠点として消化されてしまうかもしれません。それはとてももったいないことだと思います。なので、みんなと違うところがあっても、恥ずかしがらず、どんどんアピールしてみてください。敬和では、どんな人でも、受け入れてくれる最高の仲間たちがいます。
「賜物を生かす」 2年 H.N(茨城県)
みなさんは自分の長所が何か答えることができますか?また、それを活かすことができていますか?
私は、みんなの前に立って物事を進めたり、みんなに声をかけたりできるところが長所だと思いました。しかし、今の自分はそれを「活かしきれていないな」と思っています。
自分の長所を活かすことはとても勇気のいることだし、活かす場面を見つけることも難しいです。長所を発揮するチャンスは自分で探す必要があることに気づかされました。そして、そのためには自分が挑戦できる環境が大切です。背中を押してくれたり、失敗しても励ましてくれたりする仲間がいて、遠慮せずにチャレンジできる環境が、どこよりものぞみ寮にはありました。これが、のぞみ寮がつくる敬和学園の良さの1つです。
私は、自分が想像していた敬和生活と現実との違いに、「敬和で何をすればいいの・・・・・・」と、マイナスな気持ちになっていました。しかし、自分の長所を生かせる環境が身近にあることに気がつくと、「何をすれば・・・・・・」から、「敬和で何をしよう」と、前向きな気持ちになってきました。
フェスティバルが終わり、少しずつ世代交代も近付いてきます。この敬和生活で、「自分の長所・賜物(たまもの)を生かせた」と自信をもって言えるように過ごしていきたいです。
めぐみっ子でたこ焼きパーティ ~フェスティバルお疲れ様会~
「寮務教師の一言」 寮事務 瀧澤 さやか
日増しに暑さが増してきました。体調を崩している方も多くなっています。体調が悪いと心細いもの。寮の先生方も心配して声をかけていますが、わたしも昼食の用意や、食欲のない人に何か少しでも食べられるものを、調理の方からもらったりします。少しくらいわがままを言っても良い時ですが、生徒の皆さんは遠慮することも多いです。安心して過ごせるところを目指していきたいです。
また、物産展では、皆様のご協力でたくさんの献品が集まりました。ありがとうございました。品物一つひとつに、保護者の方々の気持ちがこもっていると思います。昨年より売り上げが大きかったです。感謝申し上げます。
2024年度のぞみ寮物産展の様子