お知らせ

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2023/05/08

今週の校長の話(2023.5.8)「憲法記念日」

【聖書:創世記 1章 27節】

神はご自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。男と女に創造された。

 

連休が終わり、学校生活が再び始まります。

今年の連休は多くの観光地が賑わいました。

皆さんも家族や友達と連休を楽しんだことと思います。

また、今日から長く続いたコロナによる制限が大幅に解除されます。

しかし、今日も季節外れの寒い一日になりますので、今まで同様、体調管理を心がけてください。

 

さて、連休ですが、それぞれ何の祝日か知っていますか。

5月5日が「子どもの日」、これはすぐに分かります。

4月29日は「昭和の日」ですが、私が子供の頃は「天皇誕生日」と呼ばれていました。

昭和天皇の誕生日だからです。

5月4日は、なぜか「みどりの日」と呼ばれます。

自然に親しむ祝日だそうですが、本当は、飛び石連休を避け、ゴールデンウィークを作るために設けられたようです。ありがたいことです。

 

では、5月3日は何の日でしょう。

憲法記念日です。

日本国憲法が定められ、公布されたのが1946年(昭和21年)の11月3日でした。

その半年後の1947年5月3日に施行されました。

日本が民主主義国家として生まれ変わるために、アメリカの主導によって生まれた憲法ですが、多くの国民が歓迎しました。

 

大正デモクラシーの立役者になった吉野作造さんは、国はおにぎりに似ていると言います。

何を芯にして一つになるか、そこが大切だ、と。

おにぎりの中心には梅とかサケとかいろいろな具があります。

それでは、国は何を中心にして一つになるのか。

 

ふつう国は、民族や言語、文化などによって一つになろうとします。

しかし、いずれも違う。

国は憲法によって一つにならなければならない。

つまり、憲法はおにぎりの具のようなものだ、と。

吉野さんは言います、「人びとの国に対する意志と願いを文章にまとめたのが憲法なんだ。」

 

私たちの日本国憲法は、基本的人権の尊重、国民主権、戦争の放棄を基本理念としています。

ロシアによるウクライナの軍事侵攻、中国と台湾の緊張関係、北朝鮮によるミサイル発射など、今ほど平和の尊さを感じることはありません。

その一方で、平和を守るためには、憲法を変えて日本も強力な軍事力をもたなければならない、と主張する人々が急激に増えてきているのも事実です。

これは私たちの将来に関わる大きな問題です。

成人年齢も18歳になりました。

皆さんには、このような問題に関心を持ち続け、今、世界で起きている現実と過去の歴史に学び、自分の考えをもって欲しいと思います。

 

ところで、先ほど憲法の基本理念として、基本的人権の尊重をあげました。

基本的人権とは、人が生まれながらにもっている権利のことです。

第97条には次のように定められています。

「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

 

かつて、人類の歴史において、基本的人権が保障されたのは、王様や貴族など一部の権力者やお金のある資産家だけでした。

しかし、その権利は、人類の長年にわたる努力によって、すべての人に対して獲得された、それを国民の永久の権利として憲法が保障するというのです。

日本国民にとって、それは、80年前の戦争において多くの犠牲を払って獲得された権利でもあるのです。

私は、この基本的人権の尊重こそが日本国憲法の中心にある理念だと思います。

 

さて、今日の聖書です。

神様が6日間で世界を創造し、7日目に休息を取られる天地創造と呼ばれる場面です。

神様は1日目に光を、2日目に空と海を、3日目に大地と植物を、4日目に太陽、月、星を、5日目には鳥、魚、爬虫類を、そして6日目に動物と人間を創造します。

人間の創造は次のようなものでした。

「神はご自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。男と女に創造された。」

 

神は、ご自分にかたどって人間を創造された、といいます。

これはどういうことでしょうか。

人間以外の植物や動物、月や星などの天体はそれ自体で神様の働きを私たちに感じさせてくれます。

たとえば、山奥に咲いている花をイメージしてみてください。

誰に見られることもなく静かに咲いています。

それ自体が神の働き、神の栄光をあらわしているように感じられます。

空を飛ぶ鳥も夜空に広がる星も同じです。

 

しかし、人間だけは違います。

植物や他の生き物のように、直接、神の栄光をあらわすことはありません。

ふだん人間は自分を神として生きているからです。

そのため、神様の働きが見えなくなっています。

 

人間は神と共に生きるときに神の栄光をあらわします。

それとは逆に、神から離れ、自分中心に生きるとき、人間は動物以下の惨めな状態に陥(おちい)ります。

なぜなら、人間は本来、神にかたどられ、神と共に生きるように創られた特別な存在だからです。

毎日のように報道される、残酷な殺人事件や今も世界のさまざまな所で繰り返される非人道的行為は、人間が神から離れ、神をあなどった結果陥る、動物以下の惨めな姿を伝えています。

 

私は日本国憲法が保障する基本的人権とは、旧約聖書の天地創造の記述までさかのぼることができるものだと思います。

つまり、基本的人権とは、神が、それにかたどって人間を創造された「神ご自身(の形)」のことです。

人権とは、私たちに生まれながらに備わった神様の姿(すがた)・形(かたち)です。

それは全ての人に、永久に保障されなければなりません。

人が神と共に歩むことを選び、隣人を自分のように愛する生き方へと導かれるとき、それは神の栄光に輝きます。

私たちも、その恵みをおぼえて今日の一日、共に歩む者でありたいと願います。

 

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今朝の敬和