お知らせ

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2023/04/24

今週の校長の話(2023.4.24)「天地人」

【聖書:マタイによる福音書 4章 4節】

イエスはお答えになった。「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。」

 

 

新年度が始まり4週目を迎え、新緑がまぶしい季節になりました。

これまでの3週間、それぞれ大変だったと思います。

特に1年生は新しい環境に慣れるのに苦労したと思います。

5月の連休までがんばれば、学校のこともある程度、分かってきて、見通しが立てられるようになります。

この1週間を乗り切ってください。

 

先週、水曜日にはフェスティバル(学園祭)の連合顔合わせがありました。

今年のフェスティバルのテーマも発表されました。

「新時代 Blooming Revolution」

素晴らしいテーマです。

これから、コロナ後の新しい時代を造る皆さんにふさわしいテーマだと思ったからです。

With Corona から After Corona へ。

それは、単にコロナ前に戻ることではありません。

コロナで経験したことを活かして、コロナ後という、新しい時代を造るのです。

それはまさにBlooming Revolution =革命の花が咲く時です。

 

連合の決め方も見ていて楽しかったです。

大道具などの準備に時間をかけていることも伝わってきました。

私は1年生の後ろの席からみていましたが、1年生は、突然何が始まるのだろうと、わくわく、楽しそうにしているのが伝わってきました。

本部の皆さん、ありがとうございました。

 

先日、敬和学園の榎本栄次理事長が次のようなお話しをされました。皆さんにも紹介します。

榎本先生は、入学祝福礼拝の時、最後に祝福のお祈りをしてくださる先生です。

先生は、敬和が大切にしなければならないものが3つある、と言います。

 

1つ目は「人とのつながり」です。言うまでもなく、人と人とのつながりは教育の基本です。

しかし、理事長は学園全体のことを考える立場の方でもあります。

先生は、人とのつながりとして、敬和学園高校と敬和学園大学のつながりが大事だと言います。

7年一貫教育というビジョンをもって高大連携に取り組むことです。

高校だけではなく、大学と協力してこれからの新しい時代を造って行くことは、お互いにとって大事なことです。

 

この3月に卒業した53回生は、40名が敬和学園大学に進学しました。

大学に行って敬和の教育を発展させることを望んでいる生徒が40名もいるのは嬉しいことです。

敬和生にとって敬和学園大学は、もっとも信頼できる進学先です。

毎年、先輩がたくさん進学していること、大学の先生が敬和生をよく理解して受け入れてくださっていること、そして地元の企業への就職がよいことなどが理由です。

そして、大学に進学して楽しそうに大学生活を送る卒業生たちの姿を私たちはよく見ているからです。

 

2つめは「教会とのつながり」です。

敬和学園はキリスト教学校です。

敬和は、全国にある教会の祈りと支えによって建てられました。

そのことを忘れてはいけないと思います。

教会とのつながりは、神様とのつながりです。

敬和は、神様とのつながりを大切にしなければいけない。

 

3つ目は「地域とのつながり」です。

地域との関係を大切にして、この地域になくてはならぬ学校にならなければなりません。

地域とのつながりは「土地とのつながり」、とも言えます。

労作の授業では、土を耕します。

単なる頭だけではなく、身体を使い、汗をかいて土地を耕します。

これが土との関係を育みます。

労作は敬和の教育になくてはならないものです。

 

人とのつながり、神とのつながり、土地とのつながり、この3つを一言で言うと「天地人」となります。

天は神、地は大地、そして人です。

以前、新潟県出身の戦国武将、直江兼続(なおえ かねつぐ)を主人公にしたNHKの大河ドラマがありました。そのタイトルも「天地人」でした。

キーワードとして覚えやすい言葉です。

 

また、これら3つのつながりのどれか一つだけに偏(かたよ)ってはいけない、と言います。

例えば、ある人が、天とのつながりは大事にするが、人や地とのつながりをおろそかにするとします。

すると、その人は、言葉で言うことは立派だけれど、頭でっかちで、地に足がつかないものになる。それでは人から信頼されない。地域の人に相手にされない。

 

逆に、人や土地とのつながりだけを大事にすれば、人の顔色ばかり見ていて、周りに流されてしまいます。

だから時に天を見上げ、神様とのつながりを思い出せる人にならなければならない。

みんなが右に行っても、自分は左が正しいと言える人、つまり真理に立つ人にならなければならない、といいます。

「天地人」、この3つのつながりを、バランスよく大切することが必要です。

榎本理事長はこのようなお話しをしてくださいました。

 

今日の聖書です。

イエスが悪魔に誘惑を受ける場面です。

イエスは霊に導かれて荒れ野に行きます。

そこで、40日40夜、断食し、空腹をおぼえます。

すると、悪魔が現れ、イエスに言います。

「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」

そのときのイエスの答えが、今日の聖書です。

イエスは答えます。

人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。

 

このお話しには、先ほど紹介した3つのつながり「天地人」が示されています。

イエスは悪魔に石をパンに変えるように言われたとき、なぜそうしなかったのでしょうか。

もし、イエスが悪魔の誘惑に乗って、石をパンに変えていたなら、イエスは神の子ではなく、単なる超能力者になってしまいます。

そうしないでイエスは、私たちと同じ人間であることに留まります。

それは、イエスが人とのつながりを大切にしたからです。

 

そしてイエスは断食の後、私たちと同じように空腹を覚えます。

イエスはパンを食べたいと思ったはずです。

人はパン(食物)がなければ生きて行けません。

パンは大地の恵みです。それは私たちの命を支えてくれます。

 

しかし、人はパンだけでは生きられません。

子育てをイメージしてみてください。

子どもは、ミルクや食べ物を与えられるだけでは育ちません。

子どもが育つためには親の声がけ、言葉がけが必要です。

「かわいいね、いい子だね。」などの言葉です。

悪いことをしたとき、親は厳しく叱らなければなりません。

しかし、その言葉には親の愛情がこもっています。

草花でも、人間が声をかけるとよく育つという話を聞いたことがあります。

 

人間も同じです。

人間もパンだけでは生きられません。

人間には、神様の口から出る一つ一つの言葉が必要なのです。

その言葉には神様の愛情がこもっているからです。

神様とつながることによって、私たちも人間らしく生きることができるのです。

 

「天地人」、この3つのつながりを大切にして、この一週間を歩む者でありたいと願います。

0424eye

今朝の敬和