お知らせ

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2023/02/06

今週の校長の話(2023.2.6)「夢をあきらめない」

【聖書:マタイによる福音書 7章12節】

「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」

 

先週、1年生はスキー教室でした。

1年生は、今のクラスで行う最後の宿泊行事でした。

楽しい思い出ができたでしょうか。

1年生は、これからの敬和生活でも、心に残る経験を一つひとつ積み重ねていって欲しいと思います。

 

2年生は進路デイズが行われました。

その中に、「3年生のお話しを聞く」というプログラムがありました。

5名の3年生が、それぞれの進路をどのように決めたお話してくれました。

5人ともよく準備してくれたよいお話しでした。

何よりも後輩のことを考えて、準備してくれたことが伝わってきました。

2年生にとっては繰り返しになる部分もありますが、1年生にも聞いて欲しいので、今日は彼らのお話しから、印象に残った言葉をいくつか紹介したいと思います。

 

Aさんは「自分の夢や、やりたいことはあきらめないで欲しい」と語ってくれました。そして、次のように続けます。

今はまだ難しいことかもしれませんが、一日一日の積み重ねを大切にしてください。必ず誰かが見ていてくれます。それが、神様かもしれない、友達かもしれない、先生かもしれない、これから出会う誰かかもしれません。積み重ねたものは、あなたの頑張りは、あなたを裏切ることはありません。

特に「積み重ねたものは、あなたを裏切ることはありません。」という言葉が印象的です。

生徒会長としてがんばってきたAさんの姿と重なり、とても説得力のある言葉でした。

 

Bさんは、「私には『この職業に就きたい』という明確な目標がまだありませんが、私には『このような人になりたい』という目標があります。」と話してくれました。そして、次のように続けます。

それは「誰かに希望を持たせることができる人になりたい」という目標です。世の中には様々な理由で日々苦しんでいる人がいます。

苦しみのあまり生きる希望さえ失ってしまう人も少なくありません。

私は、苦しみ悩んでいる人に希望を与えられることができたらな、と考えていました。

 

Bさんは敬和に入学して初めてキリスト教に触れました。

聖書を読んでいくうちに心に残った聖書の言葉に出会いました。

それが「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という言葉です。

そして、この聖書と同じ「Do for Others(他者への貢献)」を教育理念とする大学を見つけ、進学を決めたといいます。

「何をしたいのかよりも、どういう人になりたいのか。そのことを大切に進路を決めた。」という言葉が印象的でした。

 

今回、何人かの3年生が、親とよく話し合うことの大切さを話してくれました。

Cさんは、「将来の夢は自分で決めることができますが、お金に関しては親と話さなければ決めることができません。」と、率直に話してくれました。

進路を決めるためには、自分が育った家庭環境など、自分では変えることの難しい現実とも向き合う必要があります。

これは、自分の努力だけでは、どうにもならない現実の壁と向き合うことを意味します。

 

この壁を乗り越えるためには、親とよく話し合うことが大切であると、彼らは話してくれました。

現実から逃げるのではなく、勇気を出して、しっかり向き合うことをとおして、私たちは、大人への一歩を踏み出します。そのことをあらためて教えられました。

 

このように人間には、自分の力で変えられるものと、自分の力では変えられないものの両方があります。

今日は、ラインホルド・ニーバーという人による、ある有名なお祈りを紹介します。

1950年頃、アメリカの教会で祈られたものとして伝えられているものです。

 

「神さま、変えることのできるものについて、それを変える勇気を与えてください。

変えることのできないものについては、それを受け入れる冷静さを与えてください。

そして、変えることのできないものと、変えることのできるものとを見分ける知恵を授けてください。

一日一日を生き、この時をつねに喜びをもって受け入れることができますように。」

 

このようなお祈りです。

私たちには、自分の力で変えることのできないものがたくさんあります。

どの国に、いつの時代に生まれるか、どのような家庭環境のもとに生まれるか、男性として生まれるか、女性として生まれるか、これらは全て自分では選ぶことができませんし、変えることもできません。

自分の身長や容姿、様々な能力も親からの遺伝によるものが多いでしょう。

また、自分は悪くないのに、あるとき、突然、事故や災害、病気などに襲われることもあります。

時として、それを受け入れることは、難しく、苦しいことかもしれません。

しかし、前に進むためには、どうしてもその現実を受け入れなければならない時があります。

だから、神様に受け入れるための心の冷静さ祈り求めるのです。

 

そして、変えることのできるものについて、それを変える勇気を与えてください、と祈ります。

自分の力で変えることのできるものは、簡単にあきらめてはいけない。

それに挑戦するための勇気を祈り求めるのです。

 

そして、最後に、「変えることのできるものと、変えることのできないものとを見分ける知恵を授けてください。」と祈ります。

私たちは、自分の力で変えることができることを簡単にあきらめていないでしょうか。

また逆に、変えられないことを、その現実と向き合うことがいやで、受け入れることから逃げていないでしょうか。

ですから、この両者を見分けるための知恵を祈り求めるのです。

 

では、そのような知恵は、どのようにして与えられるのでしょうか。

それは、自分に与えられた現実を、感謝をもって受け入れ、愛と勇気をもって、人に仕える生き方へと歩みだすことです。

それは今日の聖書、「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」という言葉によって導かれる生き方です。

そのとき私たちには、両者を見分ける知恵が授けられるのです。

その恵みに感謝して、今日の一日、共に歩む者でありたいと願います。

 

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今朝の敬和