自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2011/03/12
「神の力を受けて」ヨハネ20:19-22 寮長 信田 智
わたしは、君達をこの敬和から、のぞみ寮から社会に送り出す事に大きな憂いを感じている。
主イエス様が、「わたしはあなた方を遣わす。それは、オオカミの群れに小羊を送り込むようなものだ。」と言われたような、まさにそんな思いに駆られているからです。今わたし達が置かれている社会、日本を取り巻く状況は、日本の存亡に関わる危機をはらんでいる。
この時代、どのような人が求められているのだろうか。強いリーダーシップを持った英雄が現れるのを待っている人達も多い。しかし、日本を動かす政治家の中に、本当のリーダーシップを持った政治家は皆無と言ってもいい。党利党略、私利私欲に走り、自己保身のみを考えている人たちが多すぎる。
このような時代だからこそ、「神を畏れ敬い、神以外の何ものも恐れない」そのような人が求められているのではないか。しかし、神を恐れたところで何になると考えている人は、それよりも自分の力で難局を切り開いていくことこそ大切ではないのか、と言う。如何にも勇ましく、かっこいいように聞こえる。しかし現実は、「神を恐れない人は、神以外の全てのものを恐れて」本当に困難な局面を乗り切る力を持てないでいる。
「敵を知り己を知り百戦危うからず」という言葉がある。自分とは何者か、自分の力、自分の能力を正しく認識し、自分の闘う相手の力を正しく知ることによって、闘いにかつ事が出来るのです。我々が戦う相手は、時には社会の体制であったり、国家の権力であったり、悪の力であったりする。闇の力は計り知れないほど強く、恐ろしい。何にも頼らず、自分の力で勝てると思うほど現実は甘くはない。謙虚に自分と向き合う事が必要だ。
謙虚に主に従う者達に、主イエスは今も「私はあなたを遣わす。聖霊を受けよ」と、語りかけてくださっているのです。神の霊、すなわち神の力を受けて、それぞれの遣わされた学びの場、証しの場に出て行き、敬和スピリット、「神を畏れ敬い、人と平和に過ごす。」その生き方を証して行こうではありませんか。これこそ、今の時代に求められている大切な働き人なのです。
恐れる事はない。敬和で今まで、あなたと共にいてくださった主イエスは、あなたがどこにあっても共にいてくださる。そして、神の力を与えて、私たちの思いや願いをはるかに超えた大いなる御業をあらわしてくださるのです。神の力を受けて、良き証し人として活躍される事を祈っています。
2011・2・28 修了礼拝説教より
寮生リレー通信 (第 86 回)
めぐみ館
『扉の話』 S.K.(1年生:山形県鶴岡市)
「のぞみ寮」と言う門をくぐってから、もう1年が経とうとしています。本当に毎日が矢のように過ぎて生きました。
私が振り返るべきことは山ほどあるのですが、やはり一番印象深いのは、めぐみ館43回生のみんなと始めて顔を合わせた日の事だと思います。未知の空間、のぞみ寮。自分で決めたことだとは言え、突然見知らぬカゴの中に入れられたハムスターのような気分になったのは、言うまでもありません。
入寮礼拝の日。一人7室でぼんやりと片付けをしていると、トントンと言うノックの音。「今、ラウンジで大富豪やっているんだけど、一緒にやらない?」まだ顔も名前も分からない友達が私を誘ってきたのです。私は返事をしながらも、ラウンジに出向いていきました。そこで、私はラウンジの扉を開きます。しかし思い出すと何故か不思議な気分になるのです。私は元々の性格のためか、人付き合いが苦手です。あの瞬間だって、正直今までにない位、怖くて仕方ありませんでした。しかしあの瞬間、私はラウンジの扉を開くのと同時に、新しい自分の人生の「扉」を開いてしまったのではないかと、今になって思うのです。
私は、あの日の出会いにとても感謝しています。そうでなければ、今の私はここにいません。扉を開いていなければ、大好きなみんなに出会う事はなかったし、何より1日1日のこの瞬間を生きていくことの大切さをこれ程までに実感させられることはなかったのかも知れないからです。
「寮生活を送る」と言う決意をした瞬間から、私達の目の前には幾つもの扉が立ち並んでいました。それは人差し指でも押せるような軽い扉でもあったり、またいくら体当たりしてもびくともしないような鉄の扉だったりします。しかし、それを一つ一つ乗り越えていく事で見つかる「新しい私」を知ることができました。私はこれからもこののぞみ寮で、たくさんの扉と出会いたいと思います。
光風館
『41回生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。そして・・・』
K.A.(2年生:兵庫県神戸市)
寮修了礼拝第二部は各館の三年生が同じ館の後輩たちに最後のメッセージを伝え、そして後輩たちもお世話になった先輩にメッセージを送ります。この想いの詰まったメッセージの伝え方は、各館でまったく違います。ダンスを踊ったり、歌を歌ったりする館もあれば、一発ネタやコントをする館もあります。いずれも各館で個性あふれる出し物になっています。
僕たち光風館の出し物は、お世話になった先輩一人一人に感謝の気持ちを込めてメッセージを送りました。二年生全員で三年生の思い出やイメージを出し合い、それをまとめてメッセージを考え、一、二年生全員が一言ずつ、三年生に向けてメッセージを送りました。また、三年生の成長を振り返るために、スライド写真を同時に写しました。このスライドは、入寮してきて間もない時の自分から、現在の自分がはっきりと分かるように作りました。それは自分では気付かないほど、成長している姿を三年生に見てほしかったからです。
そして、もう一人このスライドを見てほしかったのは、この光風館の寮担任として僕たちを成長させてくれた寅さんです。今年の三月で寮の教師を辞め、学校の教師になる寅さんに是非、光風館で自分の子どものように育ててくれた、そんな僕たちの成長した姿を見てほしいと強く思ったからです。
41回生のみなさん、そして寅さん。今まで本当にありがとうございました。
みぎわ館
『非日常の3年目』
T.C.(2年生:新潟県妙高市)
もう2年が経つんだと、内心驚いています。入寮礼拝でみぎわの仲間と出会い、ウェルカムボードを持った先輩たちに歓迎されて私の「のぞみ寮生活」はスタートしました。それは、まるで昨日の事のように感じられます。
敬和に入ってから、私の生活の時間が過ぎるのは一段と速くなりました。その中での時間は、悩んだり・打ちのめされたりする事が多かったように思います。敬和に来るまで、向き合おうなんて考えたこともなかった自分自身と、向き合わざるを得ないチャンスが山の様にありました。気ままに過ごす自分に正面からぶつかってきてくれる友達が出来ました。時に、向き合わされる事がしんどくて、ここから逃げたくなった時もありました。でも、こんな仲間がいる敬和だからこそ乗り越えることが出来てきたし、みんなからしんどくともすごいチャンスを与えられて、大切な事に気付かされました。言葉では表現できないほど苦しかったけど、それ以上に幸せな事やかけがえのないものがありました。
ここでの多くの同世代の仲間との共同生活や、そこで繰り広げられる全ての事柄、こののぞみ寮という世界そのものは、他の人からしてみれば「ありえない!」っていうものかもしれません。でもそんなありえない世界で過ごしている私は、フリーの日常では絶対に味わえないとてつもなく貴重な時間を毎日経験しています。当たり前であって、当たり前でない世界、その世界の住人でいられるのは、たったの3年間という限りがあります。この3年間と言うタイムリミットを意識しつつ、今ある日常を大切に、出会いやつながりを大切に、残りの1年をしっかり歩んでいきたいです。
大望館
『41回生へ感謝をこめて』
I.K.(1年生:新潟県新潟市)
41回生のみなさんご卒寮、ご卒業おめでとうございます。3年間おつかれさまでした。
僕が大望館に入寮したとき、3年生を見てすごい人がたくさんいるなぁと思いました。3年生との思い出は、楽しいものが多くフェスティバルのときは1、2年生を引っ張っていき、讃美歌発表会では1、2年生とは違う高いレベルの讃美歌を歌って、大望祭ではみんなを楽しませてくれました。そして、寮では自分のためになる事を教えてくれたことが忘れられません。
大望館には音楽の才能がある人やダンスが上手な人、サッカーが得意な人、バスケットボールが得意な人、僕にはないものを3年生はたくさん持っていてすごいと思いました。
修了礼拝では、3年生のかっこいい姿を見て、2年後には僕も3年生のようにかっこよくなりたいと思いました。だから、3年生のように部活や勉強や寮生活を頑張っていきたいと思います。
3年生がいなくなって寂しいですけが、これからは、42回生、43回生、44回生で今まで以上の大望館をつくっていきたいと思います。今まで本当にお世話になりました。
寮修了礼拝 41回生代表挨拶
大望館 Y.T.
入寮礼拝で大望館のG君がお話ししてくれた日から早くも3年がたち、私たち41回生は卒業、そして卒寮の時を迎えようとしています。
3年生になると高校生活を振り返る機会が何度もあります。そのたびに思う事は、この寮という居場所がどれだけ特別な場所かということ、そしてこの寮生活で自分がどれだけ成長できたかということです。
当たり前のことですが、寮ではいつも周りに友達がいます。一緒にご飯を食べ、一緒に風呂に入り、同じ部屋で寝る。今ではこんな日常が当たり前のことのようになっています。しかし、入寮したての僕にとってはすべてが苦痛でした。そして寮が嫌いで、ずっとやめたいと思っていました。そんな時に大望館41回生での初めてのミーティングがひらかれました。そのミーティングでみんなが同じような気持ちだという事を知り、その時に自分は一人じゃないんだという気持ちが強くなり、寮が嫌いじゃなくなりました。そのおかげで3年間寮生活を送ることができました。
しかし、3年間楽しい事ばかりあったわけではありません。後輩の指導のことで悩んだり、学年の事で言い合いになることもあったりと、壁にぶつかることは大望館だけではなくどの寮でもたくさんあったと思います。それでも、その壁から逃げずにみんなで力を合わせて乗り越えたからこそ、今の成長した自分たちがいるんだと思います。過去のつらかったことを今笑って話せるのは、自分たちが成長した証拠だと思います。
このような3年間を送ったからこそ、とてもたくさんの事を学ぶことができました。その中でも1番学んだことは、感謝することの大切さです。この3年間、私たちはたくさんの人に支えられて過ごしてきました。いつも兄弟のように元気をくれた先輩、後輩。楽しいことも辛い事も一緒に分かち合ってきた友達、親のようにいつも自分たちの事を心配してくれた学校や寮の先生、いつもおいしいご飯を作ってくれた調理員のみなさん、そしてこの寮生活で辛い時も苦しい時もいつも背中を押して励ましてくれた家族、このようなたくさんの人たちのお陰で辛い事が多くても乗り越える事ができました。また、いつも笑っていることができました。
僕たちはこれからそれぞれ別の道へ歩み出します。きっと今まで以上に辛い事もあると思いますが、この3年間の寮生活を糧にして、感謝の気持ち、自分らしさ、そして一つ一つの出会いを大切にしながら生きていきたいと思います。
この寮生活でそれぞれが学んだ事は、一生の宝物です。いままで本当にありがとうございました。
最後に後輩たち、今までこんな僕たちについてきてくれてありがとう。これからののぞみ寮をみんなの力でより良い所にしていってください。
寮修了礼拝 保護者代表挨拶
A.C.
4年前37回生の次男が卒業し、今年41回生の娘、Sが卒業するAです。次男もSも寮生として3年間お世話になりました。
1年365日、3年間で1095日。寮で生活した日数は900日前後でしょうか。900日間、家族と離れての寮生活はどうでしたか?保護者の皆様も子供さん達もいろんな思いを持って3年間入寮したことでしょう。
私達家族は、次男の時もSの時も敬和を受験したいと言った時は、親と生活していく中で、父親が男の子に、母親が女の子に、親が体験したことを子どもに体験させ、親から子どもに伝えていきたいと思うことが沢山あり、寮に送り出すことを凄く迷いました。家族で話し合って、親から得ること以上に寮で学び、いろんなことを得て、成長しながら自分探しをしてくれるのではないかと考え、二人とも寮に送り出すことにしました。
しかし決して順風満帆に3年間来たわけではありませんでした。何度も家に戻りたいと帰ってくる娘にそっと寄り添い、話す悩みに耳を傾け、一緒に考えて、寮に送っていく。その繰り返しでした。考えていくうちに、寮での自分の居場所を見つけるようになり、毎週教会に通うようになり、目標に向かって歩き始めていました。
家にいる時とは違って、洗濯、掃除、食事の支度、短時間でいろんな厳しい寮のルールを覚え、守らなければいけない事、人間関係など、3年間大変でしたね。お友達とぶつかったり、先生とぶつかったり、そのたびに悩んだり、皆で考え自分達の意見を出し合い解決していく話し合いが持たれてきたようです。
私達家族は子どもに親の意見を押し付けるのではなく、いくつかの選択肢の中から自分がどうしたいのか探していくという事をしてきました。これは寮の話し合いと同じだと思います。今の若い人たちに足りないと言われているコミュニケーション能力が、寮で自然と養われ、身に付いていったと思います。
皆さんは900日間の寮生活を終えようとしていますが、一人ひとりが心にキラキラと輝く宝物を見つけることが出来たと思います。その宝物をもっと磨き続け、いつまでも輝きを消さない41回生であって欲しいと思います。
最後に寮長先生をはじめ、先生方、子ども達を3年間時間を掛けて暖かい目で見守ってくださり感謝しています。ありがとうございました。
<退任のご挨拶>
私、岩原は今年度をもって寮務の任を解かれ、新年度から教務(学校)への移動を命ぜられました。「寮務教師」としての在職期間は丸5年でした。「のぞみ寮生」と喜怒哀楽を共にする毎日は充実し、「教育」という営みに改めて「遣り甲斐」と「喜び」を感じる、そんな5年間でした。
「寮務教師」の職を無事終えられますのは、ひとえに「のぞみ寮生」保護者の皆様のお支えがあってのことだと深く感謝しております。これからは「のぞみ寮」卒寮生、元「寮務教師」の一人として「のぞみ寮生」のことを気に掛け応援して参りますので、「のぞみ寮生」保護者の皆様には、引き続き「のぞみ寮」へのご理解とご協力をいただけますようお願い申し上げます。
光風館担任 岩原寅太郎
<編集後記>
今年度も日々寮では様々なことが起こり、私たちはそれらの出来事を教育の一つとして捉え、生徒と共に考えて参りました。その様子や私たち寮スタッフの考え、生徒の感想や礼拝のお話などを伝え、保護者の皆様とお子様の成長を共有できるように、「のぞみ通信」や「各館の通信」を発行してきました。これら通信では発信できない生徒、または寮務教師の苦悩や課題は多くありますし、保護者の皆様が知りたいことや、不安を解消できないことが多々あることを承知しております。しかし、通信は寮で過ごすお子様の姿や寮の教育方針を知っていただき、生徒一人ひとりが敬和学園で生き生きと送るための大事な架け橋として、これからも大切にしていきたいと思います。
皆様には寮教育に日頃からご理解とご協力いただき感謝申し上げつつ、来年度も通信を始めとして、いろいろな形でご家庭と連携を密に取りながら、お子様の成長を見守っていきたいと思います。ありがとうございました。
寮務教師主任 帆刈 仰也