のぞみ寮通信

のぞみ通信

2022/11/04

のぞみ通信 2022年10月31日 第275号

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題字 めぐみ館3年 H.Sさん

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芸術の秋 「のぞみ寮陶芸教室」

 

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 週末、帰宅して「アニメ『SPY×FAMILY』を見ることが楽しみ」というAさんに影響されて、この夏休みに12話まで一通り観てみました。

 夏休み明けにAさんと話す機会がありました。私の「SPY×FAMILYのどこが好き?」に対して、Aさんは「ロイドの声」と。近くにいたBさんは「ロイドの優しさ」と話しくれました。私ははっとしました。2人は、主人公ロイド・フォージャーに寄り添ってアニメを見ていたのです。2人とも主役でかっこいいスパイ役のロイドに惹きつけられるのは理解できるのですが、私は超能力者で家族の全てを知っている娘のアーニャの視点でこの作品を鑑賞していたので、ハッとさせられたのかもしれません。

 私には陶芸家の伯父がいました。私が陶芸をするようになったきっかけでもあった人ですが、彼の本業は不動産業でした。私は幼い時からこの伯父が苦手でした。近寄り難い怖い雰囲気があったからです。その彼の晩年、突然私にこう言いました。「俺、陸軍中野学校だったんだ」と。驚きました。日本の戦時中のみ存在した陸軍のスパイ養成学校で、陸軍内でも極秘とされた特殊機関でした。そのスパイ教育を受けた伯父の観察眼や洞察力は、スパイを彷彿とさせる所がいくつもありました。

 『SPY×FAMILY』は、主役でスパイのロイド・フォージャーが語り手となり、その彼の使命感が明確に語られていくことによって物語全体に安心感を与えています。それは「全てはより良き世界のために」。このより良き世界とは、ロイド曰く「戦争のない、子どもが泣かない世界」で、それを作るために「俺はスパイになった」と自らの使命感を、作品の随所で語っていきます。私たちは、自分の人生の随所で、自分の使命感を確認しているでしょうか?私は、何のために生きているのか?ロイドは、そのためなら、仮初の家族、偽りの妻子とも生活をしていきます。そんな生活するのは、彼の究極の使命を達成するためなのです。

 今日の聖書マルコ1章38節「そのためにわたしは出てきた」は、イエスの使命感が語られるところです。だから、イエスはどんなにその地域の人々にちやほやされても、同じところにずっと留まることをしません。「西のウエスタリスのスパイ黄昏(たそがれ)」が、ウクライナのスパイだったら、プーチンの野望をもっと早く阻止できたのかも……。このアニメは「自らの使命を自覚し、そのために命がけで生きることの大切さ」を教えてくれます。皆さんには、黄昏の言う「俺の使命」はありますか?(全体礼拝より)

 

 

 

 

♢10月16日(日)新潟教会で、みぎわ館3年生K.Hさんの「洗礼式」が行われました。♢
♢Kさんが信仰告白でお話した内容をご紹介させていただきます。♢

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新潟教会 お話の様子

 

「導き」 K.H(みぎわ館3年・茨城県)

聖書「命の泉はあなたにあり あなたの光に、わたしたちは光を見る。」(詩編36編10節)

 私は、クリスチャンホームで育ちました。教会に通い、聖書のお話も讃美歌も何の違和感もなく生活に溶け込んでいました。小さい頃はCS(こども礼拝)で仲の良い友達と会えることが楽しくて日曜日は、教会へ通っていました。引っ越し先の教会には子供がいなかったので当然CS(こども礼拝)がなく、楽しくなくなった教会に行くのがだんだん面倒になり、クリスマスですら行かないこともありました。

 同時に、小、中学校の友達と関わる中でクリスチャンホームであることが恥ずかしくなり、隠すようにもなりました。みんなと違うことと、「宗教」という言葉になんとなく偏見があったのです。でも不思議と教会を嫌いになることはありませんでした。毎年参加していたキャンプやセミナーがあったからです。そこでは学校とは違い、とても居心地が良かったので、教会に毎週通うことが面倒だと思っても、教会の人や聖書が嫌いだと思ったことは一度もありませんでした。本当に嫌いだったのは、教会ではなく、教会の良さがわからない学校の友達だったということに最近気が付きました。

 いつの頃からか、二つの居場所に差を感じ、学校に通うのが辛くなっていました。学校だけでなく、家での居心地も良いものではなかったため、寮生活のできる敬和を受験しました。合格が分かればその後は一度も登校せず、卒業式にも出席しませんでした。家では日の光も浴びず、生活のほとんどの時間、自分を責めることに費やしました。制服が可愛い地元の高校も受かっていましたが、敬和を選んだ理由はきっと、誰も知らないところに行きたいというだけでなく、「敬和でなら自分と同じような仲間に出会えるかもしれない」と心のどこかで期待していたのだと思います。

 私の期待は大当たりで、敬和はやっぱり魔法がかかったようなすごいところです。毎朝毎晩行わる礼拝では、友達がいて楽しいだけではない喜びと、学びがありました。家族と離れて過ごすこと、仲間と毎日笑い合うことで愛を知りました。苦しいことも私に与えられた試練だと思い、大切にできるようになりました。

 おとぎ話のような聖書の物語や言葉に何度も救われ、勇気をもらいました。そんな敬和の魔法で、私はこの場所に帰ってくることができました。今では毎日日光を浴びて、生活のほとんどの時間を仲間と笑い合うことに費やしています。

 思えば、敬和のオープンスクールで校長先生の授業を聞いたあの日あの瞬間、すでに神様に出会っていたのかもしれません。いやきっと、生まれる前からずっとそばにいてくれていたのです。聖書科の與那城先生から、「洗礼を受けているということはどう考えても教会と繋がっています。ずっとついてまわる。離れても、何度でも戻って来られる。」と教えていただきました。

 私にとって家のような教会と、教会でつながる大好きな人たちと、神様と、これからも関わり続けていきたい、離れることがあっても戻って来られるように、私は今日、洗礼を受けます。

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新潟教会 記念写真

 

 

 

♢のぞみ寮テーマ発表・各館テーマ発表♢

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ブロック長・副ブロック長によるポスター作り

 

のぞみ寮ブロック長長  Y.S(光風館2年・茨城県)

 今年ののぞみ寮のテーマは「ピース」です。このピースには、2つの意味があります。1つ目が「平和」としてのピース。2つ目が「パズル」としてのピースです。

 1つ目の平和としてのピースには、これからののぞみ寮を今よりも、もっと優しく、思いやりのある寮にしたいと思い、このような意味を込めました。何か失敗してしまったとき、とても腹がたったとき、悲しいことがあったとき、心身共にボロボロになってしまったとき、この寮に帰ってくれば間違いを気づかせてくれる、話を聞いてくれる、一緒に泣いてくれる、そんな寮にしたいです。

 そして、2つ目のパズルとしてのピースという意味についてです。こののぞみ寮には、全国から人が集まってきています。それぞれ得意なこと、苦手なこと、好きなこと、嫌いなことがあって、自分なりの形があると思います。だからパズルのピースという意味にしました。とてものぞみ寮にあっていると思います。お互いのピースの形をよく理解し尊重していき、寮で何かをするときには、たくさんのピースががっちりとはまり、大きなパズルを描きけることを目指して行きたいです。

 これから1年間、54回生でのぞみ寮を引っ張って行きます。平和とパズルのピース。この二つの思いを大切にして、頑張っていきたいです。

 

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みぎわ館 テーマ発表

 

「これから」 I.M(みぎわ館2年・東京都)

 2023年3月で、1度休館になるみぎわ館。そのラストにふさわしいテーマとは何か。私たち54回生は、どんなみぎわ館にしていきたいのか。「みぎわらしさ」そして、「私たちらしさ」ってなんだろう。みぎわ館を思い出にはしたくない。みぎわ館は、私たちの中にずっとあるから、思い出になんかならない。「それにまだまだ、これからでしょ!」というみんなの想いからこのテーマに決まりました。

 そして、先輩方の想いも大切につなげていきたいという思いから、52回生テーマ「color~」、53回生テーマ「だから大丈夫」、そして54回生のテーマ「これから」につなげていこうと思います。これから私たち54回生が後輩たちを引っ張っていく番。

 みぎわ館とは、お別れだけど、私たちはみぎわ館を忘れない。どんなことがあっても、みぎわ館で出逢った人たちがいる。だから大丈夫。

 2023年度からの新しい生活に不安な事もあるけれど、新しい出逢いを楽しみに、私たちは「これから」を作っていこう。そして何より、「これから」もみんなで仲良くいよう!そんな思いをテーマに込めました。

 「これから」の事なんて誰も知ることは出来ないけれど、その未来にたくさんの希望を持って歩んでいけるみぎわ館にしていけるよう頑張って行きます。

 

 

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大望館 テーマ発表

 

「銀河~ビッグバン~」 I.T(大望館2年・新潟県)

 大望館のテーマは「銀河~ビッグバン~」です。

 銀河には、数え切れないほどの星が存在しています。星は、様々な種類があるので多様性として考え、「大望生=銀河の星々」として考えました。

 サブテーマの「ビッグバン」は、人と人が出会い、新しいものが生まれることを意味しています。人が出会い、ぶつかり合いながらも、お互いを成長させる熱い友情などが生まれています。これからも生まれてほしいという想いや願いを込めて、このテーマに決めました。

 このテーマから伝えたい大望館の良さは、たくさんありますが、その中から厳選して二つ紹介します。

 まず、1つ目の良さは、「大望生の明るさ」です。どんなに大変なことがあって暗い雰囲気になっても、たくさんの人がその場を明るくしてくれます。僕が落ち込んでいる時、大望館のみんなが元気付けてくれたり、励ましてくれたりしました。この大望生の明るさが、星の光のように感じました。

 2つ目の良さは、「一人一人の個性の強さ」です。その強い個性を持っている人たちが共存していることが大望館の魅力だと思います。僕たちは良いところはどんどん伸ばし、改善すべきところを具体的に考えていく、大望館を目指します。

 コリントの信徒への手紙Ⅰ15章41節「太陽の輝き、月の輝き、星の輝きがあって、それぞれ違いますし、星と星の間の輝きにも違いがあります。」この聖書箇所のようにテーマに沿って、自分たちも輝き、大望館を良くしていきます。

 

 

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めぐみ館 テーマ発表

 

「あつまれ!めぐみの森」 T.S(めぐみ館2年・大阪府)

 任天堂スイッチの「あつまれどうぶつの森」というゲームを知っているでしょうか?何も無い島から、自分の島を作っていき、住民達と仲良く生活をしていく、というゲームです。他のゲームとは違い、ルールは無く、自由なことが特徴です。住民とは動物のことで、様々な動物がいます。猫とネズミは相性が悪かったり、タコとダチョウが同じ場所に住んでいたり、現実の世界ではありえません。しかし、このゲームでは、そのようなことは関係なく、様々な動物が仲良く過ごしているのです。

 めぐみ館のテーマは「あつまれ!めぐみの森!」です。無人島から素敵な島を作っていくように、めぐみ館を素敵な館にしていきたい。できないからといってあきらめたくない、どんな形にでもなれる。そんな想いを込めました。

 一見、ゲーム名に館の名前を入れただけで単純だと思う方もいると思います。でも、これにも意味があります。今年度でめぐみ館は最後。最後の締めくくりに、「めぐみの森」と、テーマの中にあえて「めぐみ」を入れました。

 「あつまれどうぶつの森」は、自然がいっぱいで自由なゲームです。館を作っていく「自立」だけでは無く、自由だからこそできる「自分探し」をして欲しいと思っています。どうぶつの森の世界では、どんな動物も平等で個性があります。それぞれ個性があるめぐみ館の人達で、たくさん交流をしていって欲しいです。そして、来年みぎわ館のみなさんが来た時に、あたたかいと思ってもらえるような、アットホームな館にしていきたいです。

 

 

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全体礼拝 祈る光風生

 

「光風ボディービルブラザーズ」 Y.S(光風館2年・茨城県)

 今年の光風館のテーマは、「光風ボディービルブラザーズ」です。

 皆さんは筋トレご存じだと思います。やっている人は多いのではないでしょうか。ですが、筋肉は簡単につくようなものではないですよね。長い時間をじっくりとかけて、自分の体に負荷をかけ続けることで、ようやく手に入るものだと思います。

 私たちは、寮も一緒だと考えました。何か問題が起きた時、何が問題なのか全員でしっかりと理解し、何が必要なのかをみんなで考える。長い時間をかけてやっていく。それでようやく解決に向かっていく。

 ですが、問題解決するとき、新しいことを始めるとき、同じやり方ですべてうまくいくでしょうか。筋トレも同じメニューを繰り返して、全身まんべんなく筋肉がつくでしょうか。決してそんなことはないと思います。筋トレには、それぞれの筋肉にあったやり方があり、いろいろな部位を何度もやることで美しい肉体を手に入れることができます。寮だっていろいろな問題があって、それぞれに合った解決の方法があると思います。そういうことの積み重ねが、寮や館を良くしていくのではないでしょうか。

 来年度には、光風でやってきたことを大望でも、また大望でやってきたことを光風でもやっていき、館が合体しても、育んできた互いの思いを取り入れてやっていきたいと思います。

 

 

<寮生リレー・礼拝の話>

「出会い」 M.M(めぐみ館1年・新潟県)

 今日は「出会い」について話をしたいと思います。これを話すきっかけをくれたのは、Yさんの一言でした。

 私とYさんは、放課後に寮でよく二人で話すことがあります。内容は様々ですが、その日はYさんが突然、「うちらって寮生じゃなかったらこんなに仲良くなってなかったよね!」と言いました。その言葉を聞いてとても納得しました。

 私とYさんがもし寮生じゃなく通学生だったら。多分、呼び捨てで呼び合う仲にはならず、「Yちゃん」「Mちゃん」と呼び合っていたかもしれないし、もしかしたら、一度も話すことなく卒業を迎えていた可能性もある……。そう思うと、出会いってやっぱりすごいなと思いました。他の子とも寮生じゃなかったら、こんなに仲良くなっていないと思います。1年生のみんなのことも全部、私が寮生じゃなかったら知らなかったと思います。だからこそ、今の環境に感謝したいなと思いました。

 実は高校に入ってから、クラスの人間関係で悩むことがありました。時には学校に行きたくないなと思う時がありました。でも寮は、行きたくないと思ったことがありません。その理由を考えてみたのですが、寮は「家族」と思えるからだと思います。ここにいるだけでいい。私が私らしくいても大丈夫だと思える場所です。間違いなく寮は私を変えてくれた「出会い」です。

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友愛館 夕食

 

 

<寮務教師の一言>

「白い闇」 女子寮 豊田 千晃

 段々、寒さが際立つ季節になってきたなと感じているこの頃です。私の地元である妙高では10月末~11月頭ぐらいになると雪下ろしの雷が鳴り、山に雪が降ります。間もなく冬が来るという合図です。ホワイトアウトで天と地の境目がなくなり真っ白になる世界、重たく積もった雪が全ての音を吸収する静かな夜、澄んでいて近い星空、早朝のアルベド、歩く度に鳴る独特な雪の踏み音。小学生ぐらいの子供から大人まで、通勤・通学の為に、早朝から家や車の周りの雪をかき、道路が雪で埋まっていたりするので自分達の歩く道を歩きながら踏みしめて作ります。

 雪は扱い方を間違えれば命を落とす危険性もありますが、遊び相手になってくれたり、時々励ましてくれるあたたかさもあります。実際に住んでいると冬景色の美しさは当たり前になってしまいますが、自然の厳しさは、日常的に経験しながら自然との距離感を体感的に得ることが出来、上手な付き合い方を教えてくれます。太夫浜のような海沿いの雪国での暮らしとはまた違った冬ですが、生徒達にもこういう雰囲気の新潟の一面もあるのね、といつか知って貰えたらいいなぁと思います。(豊田)

 

 

<敬和の会報告とお礼>

 主の御名を賛美いたします。

 皆様のお支えの中、2022年度敬和の会が無事に終了しました。昨年から始めました、オンライン敬和の会。そして、久々に県外での敬和の会を開催することが叶い、本当に嬉しく思います。

 在寮生保護者の皆様、卒業生、卒業生の保護者の皆様から、お子様や自身の成長や経験など、貴重なお話を聞かせていただきました。敬和の会を通じて、本当に多くの方々から支えられていることを実感し、私達教職員が参加者の皆様からエレルギーをいただくことができました。参加してくださった中学生や保護者の皆様も敬和の会を通じて、敬和学園の雰囲気を実感していただけたかと思います。

 ご多忙の中、敬和の会にご参加くださり本当にありがとうございました。

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敬和の会 ビデオレター撮影の様子