のぞみ寮通信

のぞみ通信

2022/10/06

のぞみ通信 2022年9月28日 第274号

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題字 めぐみ館3年 H.Sさん

 

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チャペルの鐘が多くの方の献金により修繕され、4年ぶりにキャンパスを包み込んでいます。

 

 

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 ロシアによるウクライナへの「軍事作戦」開始後、7か月が経ちました。プーチン大統領にいかなる理由があったにせよ、一方的な軍事力による現状変更は現代の国際社会において到底許されません。問いたいのは「世界一広い国土を有するロシアが、なぜさらに隣国ウクライナの領土を奪いたいのか?」です。ロシアだけではなく、アジアにおいても最大の国土を有する中国の東シナ海への動きもそうです。

 18世紀に独立宣言したアメリカ(現在世界第位の面積)は、領土を大西洋岸の東部から西部へ、約百年かけて拡大し続け、1848年に領土は太平洋岸にまで達します。さらに海を越えてハワイ、日本にまでやって来ます。日本だって(当時は大日本帝国ですが)20世紀に、朝鮮半島、満州から中国、東南アジアへ侵略していきました。物や領土って、所有すればするほど所有欲は増大するのでしょうか?

 「フランスの経済学者トマ・ピケティ氏らが運営する「世界不平等研究所」(本部・パリ)が発表した。世界の上位%の超富裕層の資産は2021年、世界全体の個人資産の37.8%を占め、下位50%の資産は全体の%にとどまった。」(2021/12/27『日本経済新聞』)驚くべきことにこれは現代のことらしい。18世紀のフランスは「旧制度」と言われるほど社会体制が古く、人口の約%しかいない特権階級が、全国土の約40%を独占し、さらに免税特権ももっていたという。これを改善しようとしないブルボン王朝はフランス革命を招き、やがて国王らは処刑されていきます。

 当時のフランスと現代の世界、似ていませんか。さらに、今日の経済格差は、一国だけでなく世界に拡大し、しかも上位%が世界全体の個人資産の約割を独占しているというのです。先日の情報番組によると「マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らが、資産の半分以上を慈善事業に寄付するよう、世界の大富豪達に呼びかけて来た」そうです。現代の「特権階級」が、自ら富の再配分を考えなければ、世界的な「第三身分」による「革命」が起こるかも……。

 「空の鳥をよく見なさい」(マタイ6章26節)

 イエスは、空の鳥を例に、地上のことであれこれ「思い悩むな」と言われます。天の父は、あなたがたの必要をご存じなのだから「まず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる」と。領土であれ、お金であれ、富めば富むほど貪欲になるくらいなら、日々の必要を与えて下さる神様を信じ感謝して、空の鳥のように、無一文でも、軽やかな人生を送りたい。

 

 

 

♢7月24日(日)中条教会で、光風館3年生T.S君の「信仰告白式」が行われました♢
♢証しとして8月28日(日)の主日礼拝で高橋君がお話した内容をご紹介させていただきます♢

証し「8.6を体験して」 T.S(光風館3年・新潟県)

 「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。人がその友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。」

ヨハネによる福音書 15章:12~13節

 私は、家がクリスチャンホームでしたが、高校に入るまで教会に行くのも年に数回で、あまりキリスト教について、触れることもなくすごしていました。敬和学園高校に入ってから、学校でキリスト教について触れる機会が多々あり、キリスト教について学ぶ機会を持ちました。そこで自分を形成する1つの要素として、キリスト教の考え方に賛成する意思を自分に示すために信仰告白をしました。

 夏休みに行った広島の平和学習で感じたことについて、お話ししたいと思います。それは、被害者や遺族に対しての哀れみの念でなく、原爆がもたらした人々の平和への考え方の違いです。

 平和式典のとき、私は相生橋の上にいました。そこからは、原爆ドームが見えました。そのすぐ近くで、どこかの寺院の僧が原爆被害者への祈祷として、手持ちの太鼓を叩いていました。私は、もっと近くでドームを見ようと、橋をわたりました。そうして路面電車の駅が見えてきたとき、すぐ近くから何やら大きな拡声器の声が聞こえてきました。気になり、その方向へ目を向けてみると、そこにはデモ活動をしている団体がいました。

 何についてのデモなのか気になり、よく見ると後ろの方に掲げている旗や、団体が持っているプラカードには、「日本の核保持を許すな!」などの強い言葉でかかれているのが見えました。日本の核兵器禁止条約への不参加に対するデモでした。そこにいた人々は、先ほど述べたプラカードだけでなく、50年代の学生運動を彷彿とさせる、物々しい格好と、小さい旗のついた長い槍のような棒を天にかかげてもいました。

 それを見たとき、私は、「デモをするのは分かるが、なぜあんな服装をしているのだろう?」と疑問に思いました。また、そのすぐの所で別の拡声器の声が聞こえ、その方向をみました。そこには、これまた物々しい恰好をした人が三人程立っているのが見えました。人混みも激しく、1人のプラカードしか見えませんでしたが、そこにはこう書いていました。「ここは、祈祷場所です。デモ団体は帰れ!」それだけでなく、先ほどの団体に向かって、あまり聞き取れなかったのですが、とても強い口調でデモに反対しているのが、その場の雰囲気でわかりました。

 それを見たとき、私はなんとも言えない、感情になりました。それは、77年前の原爆という人類の争いの歴史の中で、最も悲惨な事件を忘れないための場所で、争いが起きていることに対する悲しみと怒りでした。ですが、原爆が落ちた時間である8時15分になると、辺りが一斉に静かになり、平和の鐘が辺りに響いた時に、ここにいる人々全員が当時の人々へ思いをはせているのを見て、そこにいる人たちの心が一つになるのを感じました。

 私は、それらを目の当たりにして、人々がなぜ対立しあうのか疑問に思うようにもなりました。今回の例では、2つのグループが出てきますが、どちらのグループも同じ平和を願っています。しかし、やり方が違うだけで、同じことを目指している人たちの間で、争いが起こってしまいました。どうしたらこのような事が起こらず、協力し合えるのか?考えていると、この2つのグループに共通してできていないことがあることに、気づきました。それは、互いの考えをしっかり見ずに、していることだけをみて、その情報だけで相手を強い言葉で攻撃してしまうことです。

 このことから、私は相手を知ることがいかに大切なのか学びました。今も世界では考え方の違いで対立が絶えません。これからの世界でもっと相手を理解することができる世界になるように願います。

 

 

 

♢寮生リレー 後期に向けて♢

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全体礼拝 祈り

 

 

「自分から行動する」 H.S(めぐみ館3年・新潟県) 

 のぞみ寮で生活をして来て、一番強く感じているのは、「私、めっちゃ変わったな」という事です。

 入寮する前の私は、基本的に家からは出ず、ゲーム三昧の毎日でした。そんな生活でしたので、人と会う事は全くといっていいほどありませんでした。

 そんな私がのぞみ寮への入寮を決意したのは、「こんな自堕落な生活はだめだ。変わらなきゃ!」という強い思いからでした。入寮してから、最初は上手くいきませんでした。みんなの輪の中に馴染めず、辛くなって引きこもってしまうこともありました。でも、上手くいかないからといって引きこもっていては何も変わりませんでした。結局の所、自分から行動しなくては、何も変わらないのです。誰かが変わるきっかけを与えてくれたり、自分で見つけても、行動が伴わなくては意味がないです。

 私の結果からいえば、以前より活発に動くようになりました。大勢の人が居る所でも辛くなる事も、格段に減りました。こんな事を考えるようになった事も、大きく変わったと感じる理由の一つです。

 「何を良し」として、「何を悪」とするか。「進む」のか、「止まる」のかを決めるのは全部自分です。

 ただ、きっかけとタイミングを見逃さないように、一つ一つを大切に生活していきたいです。

 

 

 

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大望館 食事当番

 

 

「後期で頑張りたいこと」 U.M(大望館2年・新潟県)

 私が寮で後期頑張りたいことは2つあります。

 1つ目は、人とのコミュニケーションを良くしていくことです。私は中学生の時、コミュニケーションが苦手だったため、頼み事をしたくても言えず、正確に説明が出来ませんでした。敬和学園に入って、たくさんの人とコミュニケーションをとることによって、苦手を克服することが出来ました。しかし、時々人間関係のトラブルが起きてしまいます。私は相手の気持ちを考えないで話してしまうことがあるので、改善していきたいです。今回の世代交代で生活規律委員になったので、そういうことを考えつつ、注意をして活動したいと思います。

 2つ目は、悩んでいる人を助けることです。2年生になって寮のことについて悩んでいる人を見かける機会が多くなりました。よく聞く言葉が「寮を辞めたい」です。辞めたい人達は、「スマホが使えない」「つまらない」などです。私はそれを聞いても辞めたいとは思いません。なぜなら、たくさんの人とコミュニケーションをとれたり、行事を楽しむことができたりするからです。私は寮が好きです。だから私は、そういう人を助けていきたいです。スクールカウンセラーのようにうまくできるか分かりませんが、自分なりに考えて頑張っていきたいです。

 このようなことを、寮生活だけでなく、学校生活や部活動でも発揮出来るように頑張りたいです。

 

 

「後悔のない毎日を過ごす」  T.Y(みぎわ館1年・新潟県)

 「もう9月だよ」最近この言葉をよく耳にします。約5ヶ月前、先輩の「もう先輩だよ」とお話しているのを聞いてびっくりしていた姿を覚えています。

 寮生活に慣れるまでは、毎日覚える事があって、常に誰かと一緒にいて、たくさんの決まり事があって、上手くいく事が少なくて、人間関係も上手に出来ず、1日、1日が長く感じていました。 

 ですが、のぞみ寮で過ごして気づいた事は、覚えるまで何度も丁寧に先輩が教えてくださり、間違えや、出来なかった事を、優しく出来るようになるまで関わってくださいました。

 人間関係が上手くいかない時は、相談に乗ってくれる仲間、先輩方がたくさんいて、とてもうれしいと思うと共に、1日、1日が充実して生活出来ていることに最近気付けました。充実しているからこそ1日が早く感じます。

 後期はより一層、この充実している1日、1日を大切に過ごしていきたいと思います。「辛くても今しか出来ない事」「後悔のない毎日を過ごす事」を目標として寮生活を過ごしていきたいです。

 

 

 

 

寮教育の現場から

「味わう」 女子寮 小菅 真子

 夏から秋へ季節の移ろいを感じながら過ごす9月。稲の刈り入れが始まり、実りの秋を迎えた新潟。食事には、早々に新米が提供されています。バラエティー豊かなメニューに旬の食材を取り入れ、バランスの良い食事をのぞみ寮で出会った仲間達と共に食卓を囲む私たちは幸せです。また、食欲旺盛な姿はうれしいことです。

 しかし、食べ方の偏りは見られ、残食の多い日は胸が痛みます。共に食べる食事の時間ものぞみ寮教育の大切なひとつです。「心と体を作る食事を大切にしてほしい」「食事に繋がる人たちの思いを大切にしてほしい」と繰り返し生徒達に発信しています。もちろん、食事の量は、個人差がありますので、調整しながら、「味わう」選択をしてほしいと願っています。

 9月は、各館で、世代交代の選挙が行われました。3年生から2年生へバトンは受け継がれます。「他者のため、のぞみ寮のために力を尽くしたい」と2年生から語られています。のぞみ寮生活でしか「味わう」ことの出来ない時間を存分に感じ、希望を持って歩んでほしい、共に歩んでいきたいと思います。