毎日の礼拝

毎日のお話

2022/09/15

与那城 初穂(聖書科)

コリントの信徒への手紙一13章12節

 『クレッシェンド』(2019年、ドイツ)という映画を観ました。対立し紛争が絶えないイスラエルとパレスチナ出身の若者たちでオーケストラを結成し、和平のコンサートを開くために、練習を重ねる物語です。しかし、憎しみあう関係にありますから、全くうまくいきません。そこで、指揮者は合宿でお互いを向き合わせ、同じ音楽を奏でる仲間として認識させていきます。この物語は、実在するイスラエルとアラブの音楽家たちから成る管弦楽団に着想を得たといいますから、決して架空の話ではありません。

 「顔と顔をあわせるようになる」は、キリスト教では神と人、人と人との破れのない完成された関係を指し、今はそこへ向かう途上にあると考えます。だから、痛みが伴っても、互いに向き合うことにこだわります。今、準備が進んでいる修養会は、自分自身をはじめ、互いに向き合い、その中で気づき、考え、学んでいく場です。そこからきっと何かが始まります。