お知らせ

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2022/06/20

今週の校長の話(2022.6.20)「7年一貫教育」

校長 小田中 肇

 

【聖書:イザヤ書 40章 8節】

「草は枯れ、花はしぼむが わたしたちの神の言葉はとこしえに立つ。」

 

先日、敬和学園大学の3人の先生が、高校にお願いしたいことがある、とのことで来校されました。

来校されたのは宗教部長の下田尾先生、高校と大学の連携を担当されている川又先生、そしてまちづくりや組織論について研究されている堀野先生です。

 

お願というのは次のようなことです。

堀野先生のゼミでは敬和学園高校の卒業生が活躍している。

それで大学生と高校生が一緒に何か活動できないだろうか、という相談です。

堀野先生のゼミの中心になっているのは49回生、50回生ですが、先生はその学生の名前をあげてくださいました。

その名前を聞いて驚きました。なぜなら高校のころは、人前で話すことが苦手だったり、自分から積極的に行動することのあまりなかった学生の名前が何人もあがったからです。

堀野先生に確認すると、実際その通りで、プレゼンを見た他の学生が「あいつは大学に来て変わった」と言っています、などとニコニコ笑いながら話してくれました。

それぞれには定められた時がある、と旧約聖書にあります。

彼らにとって本当に自分が変えられ、自分を出すことができるようになる時が大学生の時だったのだと思いました。

 

私は、敬和学園大学はすごい大学だな、と思いました。

堀野先生は高校からの進学者が自分のゼミで活躍しているのは、その下地を高校で作っているからではないか、だから、現役の高校生と一緒に何か取り組んでみたい、と言われました。

堀野ゼミではまちづくりのための組織論を学ぶそうですが、具体的には次のような活動をしています。

 

①イベントの企画・運営。例えば「99秒でプレゼンコンテスト」=99秒間で自分の好きなこと、夢中になっていることをプレゼンするコンテストの企画・運営です。

②新発田市の課題を提案するまちづくりドラフト会議に学生として参加。これまで「コミュニティーセンター」の活用方法、SNSの活用やコンテナハウスの設置などを新発田市に提案しました。

③新発田市の廃校となった小学校を清掃しながら、新たな活用方法を考える活動。

④子どもたちと一緒にキャンドルを作ったり、KAPLAや鬼ごっこをして遊ぶ活動。

 

これらの活動に高校生も一緒に参加できたら楽しいだろうな、と私も思いました。少しずつでも何か実現できれば良いと思います。

堀野先生は若々しい先生です。そして学生をとても可愛がり、熱心に教育されている方だと感じました。

そうでなければ、わざわざ、高校にまで、このような提案をするために訪問したりしないと思います。

そして高校からの学生が、堀野ゼミで変えられた理由が少し分かりました。

先生の学生に対するあたたかい思いと真剣に教育・研究に取り組む姿に触れて彼らは変えられたのです。

彼らは敬和学園大学に進学して本当によかったと思います。

高校での経験が土台となって、それが大学で力を発揮しているからです。

 

去年は高校で菅原先生の英語特講を履修した学生が、大学で新しいサークル「敬和ピースプロジェク」(KPP)を立ち上げました。

核兵器の問題など、世界の平和のために自分たちに何ができるかを考え、行動するサークルです。

サークルを立ち上げたのは、高校の50回卒業のIさんです。

Iさんは3年生のとき、広島の原爆について英語で学ぶ科目「英語特講」を履修しました。

Iさんは、始めの頃は、被爆された方の写真を見ることさえできなかったそうです。そんなIさんが変わったのは、8月に実施される「ヒロシマ碑巡りの旅」に参加してからです。

ヒロシマでは、現実から目をそらさないで、全部、自分の目で見ようと心に決め、それを実行しました。その後、平和の問題に、より積極的に取り組むようになったといいます。

今、メンバーは8名ですが、敬和高校以外の高校生が4名います。高校で学んだことを大学で発展させ、他の高校からの学生も巻き込んで活動しています。

これも高校での学びをさらに大学で発展させた良い例と言えます。

 

敬和学園大学は1991年4月に開学しました。今から31年前です。

その間、高校から大学には毎年30名から40名が進学してきました。

大学の先生方は高校の教育をよく理解し、しっかり見てくださっています。

今、高校と大学合わせて7年間の「一貫教育」が実現しつつあります。

ですから私にとって敬和学園大学は、敬和生にとってもっとも信頼できる進学先です。

高校からの入学者は全員、入学金が免除になり、特待生の制度もあります。

進学先の候補と考えて欲しいと思います。

 

敬和学園大学は、高校と同じ建学の精神「敬神愛人」に基づいて研究・教育に取り組んでいます。

先日、大学の山田耕太学長から、敬神愛人の意味についてお聞きする機会がありました。

山田学長は現在、日本新約聖書学会の会長をされており、日本を代表する聖書研究者の一人です。

500年前の宗教改革マルチン・ルターに遡って説明されましたが、敬神愛人は「神を敬い、人に仕える」と解釈するのが望ましいと言われました。

わたしたち高校は、大学から学ぶことはたくさんあると思います。

 

今日の聖書です。

草は枯れ、花はしぼむが

わたしたちの神の言葉はとこしえに立つ。

 

草は枯れ、花はしぼむように、この世のすべてはやがて滅び、消えて行きます。

しかし、神様の言葉だけは永遠に立つ、というのです。

私たちの敬和学園は、神様の言葉を土台にして創られた学校です。

敬神愛人=「神を敬い、人に仕える」という言葉です。

そこに立つ限り、私たちの学園が揺らぐことはありません。

その恵みに感謝して今日の一日をともに歩むものでありたいと願います。

 

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