のぞみ寮通信

のぞみ通信

2022/05/31

のぞみ通信 2022年5月31日 第272号

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題字 めぐみ館3年 H.Sさん

 

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GWのピクニック(西蒲区角田浜にて)

 

 

「ここは、どこだ?」 霧島クラス担任・数学科 中山 希祐

 私が敬和に来たのは5年前です。来て驚いたのは、生徒が生き生きとして、教師との距離が近いことです。さらに、男女の仲が良いことにも驚きました。他にも、多様な価値観を認め、個性的で他人と比べず、他人と違うことに誇りを持っている点や互いに尊重しあって生活を送っている点などたくさんのことに驚かされました。私が通っていた高校は競い合って、受験勉強に向けて頑張るような高校でしたので。そんな私からすると、敬和生の敬和生活は考えられないことだらけで羨ましいなと感じました。

 5年前の今日もこうして寮祭が行われました。敬和に来て1か月。寮祭を拝見して敬和のエネルギーの秘訣がわかったような気がしました。寮の存在はとても大きいと思いました。現在、私は53回生の担任をしていますが、寮生に助けられることが多くあります。事務的な仕事で助けられることもありますが、実は精神的に助けられることの方が多いです。忙しいとき、心が疲れているとき、辛いとき、寮生の笑顔とエネルギーは何よりの励ましになります。いつも寮生からエネルギーをもらっています。本当に感謝しています。

 そんな私も大学生のとき、4年間寮生活をしていました。キリスト教青年会の学生寮です。寮生は全部で13人。13人というのはイエスとその弟子を合わせた数になっているようです。寮長・会計など全てを学生が担当していました。キリスト教の寮ということで毎朝、朝拝(朝の礼拝)を行いました。讃美歌を歌って、聖書を読み、祈ります。明け方まで話し込んで、徹夜明けで朝拝を行なったこともありました。異様なテンションで半分意識が飛びそうになりながら、賛美歌を歌いあげました。お祈りをしながら気絶したりもしました。

 寮生活の中で、高校にいたときと比べ物にならないほど多様で変わった考え方の人と出会い、生活しました。多くの時間を同じ空間で過ごす中で、自分と違う人を受け容れることの大切さを経験したように思います。自分とは違う存在を受け容れることで、人とは違う自分という存在を受け容れてもらえることも学びました。

 寮生の繋がりの中でいくつかアルバイトを紹介してもらいました。ある日、工学部の先輩から研究室の実験に参加するバイトを紹介されました。前もって知らされた音響研究室へ行ってみると、韓国からの留学生が実験について説明をしてくれました。真っ暗な部屋の真ん中に座り、左右からピーという電子音を流され、それが左右のどの辺りから流れているように感じたかを1~10の番号で答えてほしいとのことでした。

 何も分からない状態で、真っ暗で音のしない部屋の真ん中に座らされ、小一時間ほど実験が行われました。初めのうちは余裕でテンポよく返答していましたが、しばらく経つととても大きな不安に襲われました。聞こえる音は一辺倒な電子音で一切の光が遮られた部屋の中、私は気が狂いそうになりました。目を開けていても閉じていても景色が変わらない感覚は異常でした。部屋が開き、光を見たとき、とても安心したことを覚えています。貴重な経験でした。

 光の見えない暗闇は本当に恐ろしいものだと思います。出口のないトンネルほど不安なものはありません。小さな光でも見ることが出来ればそのトンネルを抜けようと力を発揮できそうです。

 私は数学を教えていますが、数学の発展に欠かせないのが「存在問題」です。その問いに答えがあるのかどうかという問いです。答えがなければその問いに向き合う必要がないわけです。ちなみに幸か不幸か、高校数学のほとんどの問いには答えがあることが前提です。唯一、2次方程式を解くことが可能か不可能かを判定する「判別式」という項目(数学Ⅰ)がありますが、この発想が非常に大切なように思います。答えがあることがわかれば、あとはチャレンジあるのみです。

 暗闇の先に小さな光さえあれば、どんな絶望の中にあっても希望を持つことが出来るはずです。

 敬和学園がテーマにしている自分探し。一筋縄ではいきません。聖書には書いてあります。『いつも喜んでいなさい。』と。しかし、寮生活、楽しいことばかりではありません。私たちは不完全な存在として創られているからです。間違ったり、失敗したり、うまく行かないこともあるでしょう。しかし、そこにこそ学びがあり、新しい自分との出会いや発見があるのだと思います。決して希望の光を失わないでください。私たちが失わないように祈り、求めましょう。(寮祭の礼拝より)

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礼拝でお話ししてくださった中山希祐先生

 

 

 

 

♢寮生リレー・寮祭(お楽しみ会)♢

「一歩前に進めた我々大望生」 M.S(大望館1年・新潟県)

 我々、大望館55回生は寮祭が楽しみな人もいれば、不安そうにしている人もいました。それは一発芸がなかなかうまく出来なくて、悩んでいたからでした。一発芸に対して、「それは本当に必要あるのか?」という意見もありました。ですが、我々はその恥ずかしさに負けないため、仲間や先輩たちと共に協力し合い、失敗してでも前へ進もうと支え合いました。しかし、大変だったのは一発芸だけではありません。大望館はパプリカダンスを踊らなくてはいけませんでした。振り付けを覚えることが難しく、見られた時は恥ずかしいと思いましたが、先輩や仲間たちが練習に付き合ってくれました。そして、寮祭当日。緊張している自分たちがいましたが、最後まで笑顔で頑張り、成功することが出来ました。恥ずかしさに負けず、頑張って良かったと思いました。

 「我々は一歩前に進めた」という達成感と成長した喜びが溢れ出ました。少し緊張したけれども、最後まで仲間たちと先輩たちと協力してきたことは無駄ではなく、本当に嬉しかったです。仲間たち・先輩たち、本当にありがとうございました!

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「パプリカ」(大望館)

 

 

「出動!ドーナッツレンジャー」 T.K(みぎわ館1年・新潟県)

 私は寮祭で、仲間との協力と感謝することの大切さを学びました。仲間との協力は、ダンスの振りが分からない所や台詞が分からない時に教え合い、みんなで本番までたくさん練習を重ねました。本番では、今までで一番良い出来映えだったと思います。今年の寮祭は、3年ぶりに保護者のみなさんを招いての行事だったので、とても盛り上がりました。

 ステージに立つのは、緊張しましたし、恥ずかしかったですが、それよりも仲間と一緒に演じることができてうれしかったです。

 寮祭を運営してくださった3年生のみなさん、1年生が楽しく寮祭ができるように準備をしてくださり、ありがとうございました。

 2年生のみなさん、本番までの練習、当日のメイクまで、私たちのためにやさしく関わって下さり、ありがとうございました。本番を盛り上げてくださったことで私も楽しく、思い出に残る寮祭になりました。

 出会った仲間たちと一緒に、寮祭での活動を通して学んだことを、これからの学校生活や寮生活で活かして、がんばっていきたいと思います。

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「出動!ドーナッツレンジャー」(みぎわ館)

 

 

 

 

「不気味さ全開!!の裏側」 F.I(光風館2年・群馬県)

 「どうしよう……」。1回目のリハーサル後の夜、光風館生全員がホールに集まっていました。そう、リハーサルで披露したネタがボツとなってしまったのです。ダメ出しの理由は、「面白みに欠ける」、「一人ひとりの個性が出ていない」などでした。それを踏まえて新ネタを作らなくてはなりません。寝る間も惜しんでしたミーティングでは沈黙が続きました。そんな中、3年生T.N.さんが名案を出してくれました。それは「サザエさんダンス」です。サザエさんのお面を被って全身タイツで踊ります。ちなみに「全身タイツ」は光風館のオリジナルでしたが。

 光風館は、毎年寮祭の出し物で「不気味さ」を求めます。次の日からは猛特訓の日々でした。登校前の時間も練習しました。その結果、なんとか本番に間に合わせることができました。本番当日、チャペルは笑いで包まれました。大成功でした。これも傍で見守ってくれていた3年生、練習に付き合ってくれた2年生と、光風館生が一致団結したおかげです。これが光風館の良さです。絶望的な状況からここまでの出来になるとは思ってもいませんでした。本番後、舞台裏で1年生たちが「寮祭、最高~!!」と言っていました。55回生の光風館生、お疲れ様でした!!

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「サザエさんダンス」(光風館)

 

 

 

「2年目の寮祭」 S.S(めぐみ館2年・長野県)

 春休みも明け、2年生になり、ついに私達54回生が1年生に寮祭で行う出し物を教える番になりました。今年のめぐみ館は1年生が9人も入ってきてくれました。1年生が沢山入ってきてくれて、嬉しいと思うと同時に、私達にとっては聞き慣れない後輩の人数に困惑もしました。

 「4人で1年生に教えられるものは何だろう」と私達はまだ会っていない1年生に会うのを楽しみにしながら、2年生の中で話し合いを重ねました。そして、1年生が入寮し、練習期間に入りました。さすが敬和というだけあり、1年生9人はとても個性に溢れていました。最初は少し戸惑いましたが、練習をしていくうちにどんどん仲良くなり、1・2年生間の会話も弾むようになりました。寮祭前々日、本番間近で準備を万端にし、やる気に溢れていた1・2年生でしたが、その日の夜、寮内でとても辛いことがあり、2年生は上手く立ち直ることが出来ませんでした。ですが、次の日、サプライズで1年生が励ましの歌を歌ってくれました。1年生の心の温かさに触れ、また頑張ろうと思えてきたと同時に一層団結力も深まりました。そして迎えた本番では可愛い1年生達が楽しそうに発表している姿を見て、この期間頑張って良かったと思いました。この期間、楽しんで寮祭練習が出来たのは1年生のおかげです。本当にお疲れ様でした。

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「MGM55」(めぐみ館)

 

 

♢寮生リレー・ゴールデンウィーク♢

「はじめまして、みぎわ館!」 N.K(めぐみ館3年・新潟県)

 今年のGW期間、寮に残っためぐみ館生は、みぎわ館で5日間を過ごしました。そこで私は、人のあたたかさを沢山感じることができました。

 ちまきを作ったり、手作りドーナツを食べながら、皆で映画を見たり、屋上で星空を眺めたりと、少人数だからこそできることが沢山あり、楽しく過ごすことができました。

 みぎわ館の友人とは、同じ館で一緒に生活をしたことはありませんでした。だから、めぐみ館生とみぎわ館生が一緒に生活する機会はとても貴重なものでした。普段の学校生活では見ることのできないみんなの新たな一面を知ることができました。

 また、めぐみ館とみぎわ館では、館での過ごし方が違う為、初めてで分からないことだらけでした。お風呂掃除や挨拶一つにしても、全て教えてもらいました。そのおかげか、自然に会話が増え、学年関係なく仲良くなれた気がします。人数が少ないからこそできたことも沢山ありましたが、いつもの賑やかさが無い、寂しさも感じたGW期間となりました。

 一緒に生活できる人が周りにいること、そして皆と過ごせる今があること、それらがいかに幸せなことかを身をもって感じることができました。

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ピクニック(上関潟公園にて)

 

 

謎の洞窟との出会い」 M.Y(光風館3年・新潟県)

 今年のGWは、寮に残ってみました。色々な行事がありましたが、その中でも、寮のピクニックで角田浜という海に行ったことが心に残りました。

 角田浜に到着したところで、洞窟を発見します。寮の先生に話を聞いてみると、見つけた洞窟は、何かの重要文化財だということがわかり、行ってみようと思いました。

 私は日本史が好きで、その中でも特に鎌倉時代が好きです。見つけた洞窟は、源義経にゆかりがある洞窟だということがわかりました。兄の源頼朝から逃げていくときに、その洞窟の中に船を隠していたそうです。その場所に実際に行ってみて、なんとなく肌寒さを感じ、また「昔の人は、どうやって船を隠したのだろう?」と新たな疑問も生まれました。

 実際にその場所に行って雰囲気を感じることは、新たな発見ができる大切な行動だと思いました。また、こんなに近くに、重要文化財があるということに驚きました。今回のGWの行事をきっかけに、今後機会があれば、身近なところから、重要文化財に触れてみたいと思いました。

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GWピクニック(巻町文化財「判官舟かくし」の近くの洞窟にて)

 

 

〜寮務教師の一言〜

「大勢の関わりの中での成長」 男子寮 山﨑 飛鳥

 我が家に長男が生まれてから早いもので8か月が経ちました。首も座り、歯も生え、ずり這いやハイハイができるようになりました。今では、とにかく家の中を動き回り、家の中を散らかし放題です。

 そんな長男が、先日誤って、ビニールを誤飲してしまい、大騒ぎになりました。幸いにも、ビニールがのどに引っかかることもなく、病院から帰ってくる頃には、私の顔を見て笑えるぐらい元気な状態で帰ってくることができました。

 とにかく肝を冷やしました。我が子の成長の早さに驚かされると同時に、目の離せない日々を送っています。

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 長男をのぞみ寮生の輪の中に入れてもらう機会も増えてきました。1か月前に女子の寮生に囲まれたときは、笑顔をみせていたのですが、最近男子寮生に囲まれたときは、泣きそうな顔をしていました。人見知りが始まったのかもしれません。

 大勢の人の関わりの中で、何かをすることの大切さを、長男やのぞみ寮生の成長から改めて、学んでいます。今年度の寮祭は、3年ぶりに保護者の皆様をお招きして開催することができました。やはり寮祭当日の雰囲気が違いました。そして、そこにのぞみ寮生の成長がありました。保護者の皆様の参加を含めて、初めて寮祭が成り立つのだと、個人的にはそう感じました。そう考えると、敬和学園の行事の多さもうなずけます。

 のぞみ寮生と皆様との関わりの中で、共に歩ませていただけることに感謝です。

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GWのピクニック(角田浜にて)