のぞみ寮通信

のぞみ通信

2021/11/23

のぞみ通信 2021年11月15日 第266号

題字 めぐみ館2年 Y.Kさん

 

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 2020年6月、みぎわ館の生徒の声から始まった礼拝のお話への「感想カード」。あれから1年半、ついに今月から全館で行われることになりました。

 昨年度は、コロナ禍で始業が2か月遅れ、6月1日に3か月ぶりに寮生が帰寮し、開寮礼拝を行いました。感染症対策のため一同に会した礼拝ができない中、初めての放送礼拝で私は、目の前にいない生徒に対してメッセージをいつものように語りました。それに対して、みぎわ館の当時の3年生や礼拝委員が、「お話を聞いた感想を伝えよう」と思いついてくれて、翌日、罫線や飾り模様のついた小さな緑色の画用紙に生徒の感想が書かれた沢山のカードを、礼拝委員が持って来てくれました。敬和学園に赴任して初めてもらう礼拝の話に対する感想カードです!全員の感想を読みながら、生徒の聴く力、個性的な言葉の魅力に感心したのを覚えています。

 あれから1年半、みぎわ館から始まったこの感想カードは、途絶えることなくめぐみ館、大望館、そして光風館に伝道されていきました。私は、これが文化なのだと思います。教師からの提案でこれを課することも出来ましたが、私は、それはしたくありませんでした。本当に生徒達がこのことに価値を見出しているのなら、必ず他館に伝わるはずと思って、待ちました。待って良かったと本当に思います。

 この「お話」に対して、「感想カード」によって個人が応えるという行為、つまり呼びかけと応答の精神は、聖書にある真理の一つの性格です。使徒言行録9章には、復活の主イエスの呼びかけに対し、弟子アナニアが誠実に応答している姿を見ることができます。当時、キリスト者を迫害することに情熱を燃やしていたサウロを訪ねるように求められたアナニアは、命の危険を感じつつも主の呼びかけに誠実に応答し、サウロを訪ねて声をかけます。そして、サウロは偉大な伝道者パウロとなっていきます。

 今、私たちの生きる日本社会の根幹にある精神は、民主主義です。本当の生きた民主主義は、自由責任を自覚した個人が、呼びかけ応答という対話を経なければ成立しません。民主主義を生きたものにする。その大原則をこの生徒達は生きている。この事実に心から励まされ、深い希望を与えられた出来事に感謝しつつ、今日も目の前の生徒と共に生きていきたいです。

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礼拝後、感想カードを書く光風生

 

 

 

♢のぞみ寮 テーマ発表♢

「スイッチOFFしていこうぜ」

のぞみ寮ブロック長長           K.C(光風館2年・兵庫県)

 最近、寮でリラックスできていますか?「家に帰りたい」という声をよく聞きます。家と聞いて最初に思い浮かぶのは「落ち着く場」ではないでしょうか。人それぞれ家庭環境が違うので、これ以外のことを思い浮かぶ人もいると思います。ですが、これを思い浮かべる人は、多いと思います。「学校や部活で疲れて寮に帰っても落ち着けない。」「寮に帰るのがつらい。」そんな声もありました。なので、私は、寮が「家」のようにどこか心温まる存在にしていきたいと考えました。そんな中、できた寮のテーマが「スイッチOFFしていこうぜ」です。疲れた体や心を休ませて、心が温まる寮にしていきたいという願いを込めました。

 ですが、スイッチOFFと聞いて、学校で疲れたから寮でははめを外して迷惑をかける。もしかしたら、ルールを破る、そんな考えに至る人もいるかもしれません。そうではなく一人一人で心を落ち着かせお互いのことを考えて生活をしてほしいです。

 これは、私達だけがやることではありません。のぞみ寮生全員が進む道標です。協力して、今よりより良い目指すべきのぞみ寮を作っていきましょう。

 

 

☆のぞみ寮4館 テーマ発表☆

 

【光風館】「プライドポテト」

 K.C(光風館2年・兵庫県)

 私達光風館生は、光風生としてのプライドを持って生活しています。そんな気持ちを持ち続けてほしいという願いを込めて「プライドポテト」というテーマを作りました。光風館生としてのプライドを忘れずに生活する「プライド」。垢抜ける前の人のことを「芋くさい」とよく表現されますが、光風館の現状を垢抜ける前の芋と見立て、光風生全員で垢抜けようという「ポテト」。フライドポテトが好きな人がほとんどだと思います。逆に苦手という人は少ないはずです。熱々に盛り上がり、誰に聞いても光風館生が好きと言える「フライドポテト」ならぬ「プライドポテト」にしていこうと思います。

 最後にプライドポテトであいうえお作文を作りましたので、お聞きください。

 (プ)プライドを持って、(ラ)楽な道は選ばず、(イ)挑み続け、(ド)どんな時も、(ポ)ポキっと心が折れても、(テ)手を取り合い、(ト)共に歩もう。

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光風館 ブロック長選挙

 

 

【みぎわ館】「だから、大丈夫」

 S.R(みぎわ館2年・新潟県)

 みぎわ館の館テーマは、「だから、大丈夫」です。

 話し合いの中で、どうやったらみんなの気持ちがひとつになるのか考えた結果、「だから、大丈夫」になると全員が感じたので、この館テーマにしました。

 悲しいことがあったり、失敗しても、受け入れて背中を押してくれる仲間がいる。だから、大丈夫。わたし以上にわたしのことを考えてくれる人がいる。だから、大丈夫。頼もしくかっこいいお姉ちゃんがいる。だから、大丈夫。いつもたくさんのパワーをくれる、かわいい妹がいる。だから、大丈夫。常に寄り添ってくれる、ちーちゃんとこすーげがいる。だから、大丈夫。帰ればみんなが笑っている。だから、大丈夫。ひとりじゃない。だから、大丈夫。みぎわ館に愛がある。だから、大丈夫。

 みんな、みぎわ館が大好きで、安心できる場所にしたいという想いが強いです。なので、このテーマに、たくさんの愛とみぎわ館の温かさ、そして、誰かがひとりぼっちになることなく、心をひとつにみんなで歩んでいく、そんな想いを込めました。

 ポスターは、全体的に温かい色でぼかし、ハートを書くことで両想いという気持ちを表現しました。さらに、愛のあるエピソードを書いて入れられるポストも作り、ポスターと同じように全体的に温かい色で仕上げました。

 このテーマにふさわしい、みぎわ館になっていけるよう、みんなで歩んでいきたいです。

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みぎわ館 テーマ発表

 

 

 

【大望館】「ホーム・アーロ―ム(裸の家)」

 I.K(大望館2年・京都府)

 大望館のテーマは「ホーム・アーロ―ム(裸の家)」です。映画「ホーム・アローン」とかけています。「アーローム」とはヘブライ語で「裸」を意味します。直訳すると、「裸の家」となります。裸の家、大望館の2年生は「ありのままの自分でいられる家」と言い換えます。ありのままの自分でいることとは、自分を偽らず、さらけ出すことです。

 私たち人間は、見たものによって人を判断してしまいます。悪い行動をしている人は、悪い印象となってしまいますし、良い行動をしていると良い人だと認識します。しかし、これは浅い関係の場合に過ぎません。関係が深くなればなるほど、偏った見方ではなく、様々な面を見るようになります。大望生は目で受ける情報だけでなく、深い関係性の中で、その人のありのままの姿を受け入れられる館でありたいと思います。

 大望生が目指す大望館、それは学年による垣根を越えて、苦しんでいる人にそっと寄り添い、楽しみを全員で共有する、共に歩める館です。しばしば「家に帰りたい」という言葉を耳にします。個人の想いとしては「家より寮にずっといたいと思ってほしい」と願います。なぜならば、集団での生活では、様々な気付きが与えられるからです。関係が深くなればなるほど、そばにいてくれる存在がどれほど重要なものであるか気付かされます。一人ですべて出来るようであるけど、なかなかやってみると難しいものです。そんな時、手を差し伸べられる集団でありたいと願います。

 創世記を見ると、人間は善悪の木の実を食べたことによって、恐れを覚え隠れます。今日の聖書箇所で出てくる「裸」とは、もともと「神の栄光に包まれている」ことを表すそうです。それが約束を破るという罪を犯すことによって、神の栄光を失ってしまい、恥じることとなります。私は願います。大望館の家族が苦しんでいることを隠してほしくないと。これから大望館は「ありのままの自分でいられる家」を目指し、新たな歩みを始めたいと思います。

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大望館 テーマ発表

 

 

【めぐみ館】「Go Straight!~曲がりくねってもよくない?~」

 I.W(めぐみ館2年・北海道)

 どんなめぐみ館にしたいのか。

 みんなの顔と顔を向かい合わせて、その話し合いはゆるりと始まりました。「みんなはどんなめぐみ館にしたい?」と聞き、一人ひとり順番に答えてもらいました。「私はずっとある先輩に憧れていて、私もそんなカッコいい、キラキラした先輩みたいになりたい!だから館テーマはキラキラしているのがいい!」「私は一人じゃなくて、学年だけでもなくて、“みんな”で何かあたたかい雰囲気だとかを作り出して、みんなで歩んで行きたい」。どれも、めぐみの2年生が、敬和学園で、めぐみ館で過ごし、出会った誰かから何かを感じ取り生まれた言葉のようでした。どの意見もその人を表しているようで、なんだか新鮮でした。

 そして、だんだんと夜が更けて、「自分たちらしく、目標に向かって道を歩いていきたい」という想いに沿ったテーマはないかと考えていました。すると、Iさんが、何か閃いたのか、目をかっと開き、指をさして、「Go Straight!」と叫びました。「Go Straight」とは、「まっすぐ行く」という意味です。しかし、Tさんはそれに反対します。「曲がりくねってもよくない?」そして、Yさんがくっつけます。「Go Straight!~曲がりくねってもよくない?~で、よくない?」一同は言いました。「おお~!」

 そこで生まれたのが、この館テーマです。え?適当じゃん。そう思うでしょう。しかし、めぐみ館53回生は本気です。このメンバーがいたからこそ作り出すことができた、出会いの中で生まれた館テーマです。

 帰りたい館にしたい、様々な目標に向かって、まっすぐひたむきに歩んで行きたいという思いと、道草をしながら、自由に曲がりくねった道を歩んで行きたいという、どちらの道も大事にして歩んで行こうというものです。誰かの意見を否定し合うのではなく、曲がりくねりながら、めぐみっ子らしく進んで行きたいです。

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めぐみ館 ミーティング

 

 

 

〜寮務教師の一言〜
男子寮 山﨑 飛鳥
「親心を持って」

 私ごとですが、9月に長男が産まれました。日々の育児に妻と共に、悪戦苦闘しております。

 初めは、我が子の夜泣きに悩まされ、眠たい日々が続いていました。覚悟はしていたつもりでしたが、想像を遥かに上回ってきました。本当に心の底から、世の中のお母様、お父様には、頭が上がらない思いでいっぱいです。ですが、ものすごく眠いんですけど、我が子の顔を見ると癒され、疲れもどこかへ行ってしまいます。不思議なものです。

 そして、改めて、皆様の本当に大切なお子様をお預かりさせていただいているのだと、再び肝に銘じる機会ともなっています。

 親心を持って、また親とは違った存在として、のぞみ寮生と共に今後も歩ませていただけることに感謝しています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。