のぞみ寮通信

大望館

2021/05/17

大望館通信 第293号 「寮祭の礼拝〜神様から与えられた楽しみ〜」

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 先日、礼拝が終わり大望館の玄関には人だかりが……。気になって見に行くと玄関にあるホワイトボードに、こんな数式とコメントが書かれていました。

 「以下の計算式を求めよ。『 1 1 5 8 = 10 』ただし+・−・×・÷・( )は何度使ってもよい」

 数学科青栁希望先生の授業で出された宿題だったようです。その答えを導くために、掃除の時間になっても自習時間が始まっても、お互いに知恵を出し合う姿やひとりでじっくりと考え込む姿がありました。そんな中、「わかった!出来た!」と声を上げたN・Y君(3年)は満面の笑みでした。彼に答えを教えてもらおうとしたり、逆に「絶対に自分で解きたい」とその場を離れたりする大望生。その計算式に取り組む姿勢がみんなちがって、みんないい。その光景を見て、穏やかで温かな雰囲気を感じ、私は心が満たされました。これは学びの中でひらめく喜びであり、共に学ぶ楽しさなのかと肌で実感することが出来ました。そのような機会と大切な気付きを与えてくださった青栁先生に感謝します。

 

 

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 その青栁先生が寮祭1日目の礼拝でお話をしてくださいました。コロナ対策を徹底している寮生の頑張りを労い、置かれた状況で楽しみを見つけるため、積極的に教養を身につけていくことを勧められ、ご自身のいろんな経験から語ってくださいました。「学校生活・寮生活は教養の宝庫。人と交わる楽しみが最も大切であり、いろんな人と出会い、親しくなることによって、励まされたり慰められたり元気をもらったりする。これは間違いなく神様から与えられた楽しみである」という言葉がとても印象的でした。

 寮祭の礼拝が始まったのはちょうど10年前、2011年でした。東日本大震災が起きて、寮生の中でいろんな想いが駆け巡りました。「このつらい状況の中で私たちだけ楽しい時間を過ごしていいのか。ただ単に寮祭を楽しんで終わらせるのではなく、心落ち着かせて礼拝の時間を持ちたい。被災して悲しむ人のために祈りを合わせていこう」という願いから寮祭の礼拝が始まり、現在に至っています。世界に目を向ければ、コロナウイルスによって様々な混乱があります。感染拡大によって愛する人を亡くし悲しむ人々がいて、私たちも目に見えない恐怖に怯える日々を送っています。そのような状況を憶え、悲しむ人々のために祈りを合わせること。これが敬和学園のぞみ寮生には出来るのです。震災を憶えて礼拝が始まった10年前から今日まで、寮祭の礼拝はその祈りと想いを繋いできました。改めて、今回もこうして礼拝の時間を持てたことに感謝します。この礼拝をきっかけに、のぞみ寮生には日常生活で仲間との出会いに感謝し、ここ敬和学園での楽しみを見つけてほしいと心から願っています。