のぞみ寮通信

みぎわ館

2021/03/30

みぎわ館 175号《恵に溢れた場所でした》

 私がのぞみ寮で過ごして12年が経過しました。今年度末をもって私はのぞみ寮を退職いたします。あっという間でした。この間、たくさんののぞみ寮生たち、そして保護者の方々との出会いが与えられました。すべての方々との出会いがあり、交わりがあり、今の私が在ります。素晴らしい時を心から感謝いたします。ありがとうございました。

 

 思い返せば14年前、教育現場で働きたいと大学時代からの夢を追い、当時働いていた会社を辞める決心をしました。地元関西で働き場を求めていた私がふとしたきっかけで敬和学園が寮務教師を募集していることを知りました。新潟に行くつもりはないが後学のために、「寮務教師とは一体どんなものか?」を知るために見学に来たことが、私が敬和に触れた最初でした。私の知る「高校」とは全く違う空気感のキャンパスや子どもたちと出会い、心が振るわされました。特に見ず知らずの私を輪に入れ、一人にさせず、温かく迎え入れてくれたのぞみ寮生たちの在り方に感激しました。寮の夕礼拝に参加させてもらい、のぞみ寮生がのぞみ寮で仲間と共にいかに生きているのかを語る様に心打たれ涙しました。のぞみ寮生とのたった数時間の交わりを通して、私は初めてやって来た新潟にある敬和で、のぞみ寮生たちと共に生きてみたいと強く思わされたのです。その願いが叶い、そして気づけば12年も過ごさせていただくことができていました。

 

 のぞみ寮に着任したとき、当時の小西校長から「敬和に来ることを自分で選んだと思ってるやろ?でも自分で選んだんちゃうで。神様が選んだんやで。」と言われたことがあります。今はその言葉の意味がよくわかります。私はのぞみ寮で過ごした12年間はうまくいかなかったことばかりの毎日でした。でもそのうまくいかないことばかりだからこそ、共に働く教職員の方々がいつも力になってくれました。寮の先生方は私の第二の家族のように許し励まし寄り添い続けてくれました。そして何より、のぞみ寮生たちが私を許し、愛し、認めてくれました。私の足りなさこそが私をみんなと繋ぎ、みんなの輪の中に私が身を置ける賜物であったことに気づかされました。弱さこそ賜物、このことに気づかせるために神様は私を敬和学園に導き、たくさんの出会いを与えてくださったのだと思います。寮生の自分探しを少しでも手伝えれば……そう考えていた私がみんなに支えられて一緒にどっぷり自分探しをさせてもらいました。そしてかけがえのない人たちと山ほど出会ってくることができました。ありがとうございました。

 

 のぞみ寮は真に恵みに溢れた場所でした。神様が必要だと思ったことを様々な形で与えられます。それは時に苦しく、乗り越えられないように感じます。でも、みんながいるから大丈夫なのだと私は今、過ぎた日々を振り返り確信しています。15歳で親元を離れて懸命にのぞみ寮で生きる寮生たちに神様が用意してくださっているものはきっと想像を超える素晴らしいものであるに違いありません。それは人知を超えたものであるので、理解できない道をたどることもしばしばですが、どうぞ祈って、仲間を信じて、近くにいる大人を頼り、離れても祈り続ける家族の存在を力に変えて力強く歩んでいってください。離れても、いつも、どこでもみんなのことをお祈りしています。みんな、大好きだよ!!!

 

 12年間、ありがとうございました。

森口みち子

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