のぞみ寮通信

のぞみ通信

2011/02/22

のぞみ通信 No.168(2月22日)

<受 容>                         寮長 信田 智

 

 一般的に、私たちが思い浮かべる愛は、情熱的であり、感情的であり、ロマンティックで心地良い感覚的なものである。この愛によって、私たちの内にエネルギーが溢れ、大いなる力が与えられる。しかし、もう一面でこの愛は、愛する二人だけの世界に入ってしまい、視野が狭くなり、周りが見えなくなってしまう事がある。恋人同士でも、周りが見えなくなり、傍若無人に振舞う事がある。  
また、親が子供を溺愛し、一方的に愛情を注ぐ、子供もその親の愛に何とか応えようと努力する。子離れできない親、親離れできない子供を生み出すこともある。時に、それは親の自己満足であったり、愛の押し売りであったりする。「お母さんがこんなに愛しているのに、この子は何も分ってくれない。」と言うことになり、思うように行かないと、可愛さ余って憎さ100倍、なんて言うことにもなりかねない。あるいは、子供にとって、親の押し売りの愛がうっとうしくなり、押えてきた思いが爆発し、親子の断絶を生んだりもする。
 ある人が、「愛は感情か技術か、」と問題提起している。愛は感情的、感覚的な心地良さをもたらすものであるが、心を開いて他者の必要に目と心を向ける事をしなければ、自己満足に終わってしまう。愛することは、相手を知ることであり、理解する事である。そのためには知的、意思的、継続的努力が必要となる。相手の必要を知ることもせず、理解することもなしに、いくら愛を注いでも、それは愛の押し売りになり、時にはうっとうしいものとなってしまう。
 同じ自分の子供でも、親と子の相性もある。たとえば、私のことで言うならば、二人の息子のうち、一人は、その一挙手一投足が私の嫌なところを見ているようで、たまらなくなり、意識するとしないとに関わらず、出来れば避けたい気持ちになった事がある。他のところでどんなに愛情を注いだとしても、当然子供は親に拒否されているように感じ、精神的に満たされない思いになっていく。そのことに気付いて、親がしっかり受容してやらない限り子供の心の安定は難しい。
 弱さも、破れも、時には相性の悪さも、全部ひっくるめて、「大切な我が子」として、しっかり受け止め、関わって行く事が大切である。そうすれば子供の不安定さは落ち着き、安定を保つようになるでしょう。寮の教師たちもまた、委ねられた子供たちと親身になって関わり、彼らの内にある真実な願いを聞き取るための、智慧を身に付ける努力をしている。「愛は感情であり、技術である。」感性を磨き、忍耐して意思的に努力し、愛する技術を磨いて、寮生との間に確かな愛と信頼の関係を築いていきたいと願っている。
 
 
 
 

寮生リレー通信  (第 85 回)
 

みぎわ館

『私の将来の夢』   
S.Y.(:2年生 新潟県新潟市)

私の将来の夢は、介護福祉士として老人福祉の世界で、人のために働く仕事に就くことです。その理由は2つあります、一つは私の母が介護の仕事をしているという事、もう一つは家族のためになる仕事がしたいと考えたからです。私には幼いころからかわいがってもらった曾祖母がいます。今までの恩返しを曾祖母にしたいと考えています。私の曾祖母は今年で95歳になりました。曾祖母は寝たきりに近い状態が続いていて、私はとても心配です。そばで私が介護してあげられたら…と思う事がよくあります。また、家族が年を取った時、祖父母や両親の介護も自分でしたいと思っています。それは祖父母孝行・親孝行にもつながりますし、私を生み育ててくれたお礼もしたいからです。私が元気で今を生きられているのは、家族の大きな愛情と支えがあるからです。私が大人になった時、これまでの感謝の気持ちを込めて、介護をしたいと思い、介護福祉士を目指しています。夢をかなえるためには、しっかり勉強もしなくてはいけませんが、頑張っていきたいと思います。夢は見るものではなく、叶えるものですから!
 
 
 
 

大望館   
『スキー教室を終えて』
S.T.(:1年 神奈川県足柄上郡)

1年生は、2月2日~4日まで2泊3日のスキー教室に行ってきました。先輩方から、一番楽しい宿泊行事だと言われ、気持ちが高ぶる中2月2日を迎えました。
前日までに荷物の準備を終え、バスに向かいました。バスは途中、阿賀野川SAで休憩を取り無事に宿舎に到着しました。道路脇の雪の高さがバスと同じまたはバス以上だったので、神奈川出身の僕は非常に驚きました。到着してからは、開校式などを行い、食事をし、その後部屋に移動しました。そして、班ごとにレッスンが始まり、とうとう始まるんだなと思いました。毎年のように、スキーをしている僕には、また自分のレベルが上がるのが楽しみでした。初日は、上級は慣らしから、中級は班分けから、初級は基礎から、初心は基本的な事からやりました。上級の自分は、初日の3時間弱のレッスンを楽しく終えました。夜には、ミーティングでレッスン中に自分の滑りをビデオに撮っていたので、それを見ました。今まで、自分の滑りなんか見たことがなかったので、見ていて少し驚く所もありました。夜は、部屋のみんなで、話をしたりして次の日に備え早く寝ました。
2日目も、初日と、同じように、レッスンが始まりました。初日と2日目は、天候に恵まれて、気持ちよく、滑ることが出来ました。夜には、学年アワーという事で、ナイタースキーをしました。時間が1時間くらいしかありませんでしたが、レッスン中のメンバーではない人とも一緒に滑る事が出来ました。こんな感じでとうとう3日目を迎えました。3日目は、今までの総仕上げといったような感じでした。この3日間で人間的にも成長出来たし、楽しめ、新しい友達をも作る事が出来ました。たったの3日間でしたが、充実した日を過ごせました。
 
 
 
 

めぐみ館 
『作り上げていくもの』
I.M.(1年:新潟県上越市) 

 めぐみ館で初めて参加した三送会は、寮の行事の中で1番大切で思い出に残る行事だったと思います。三送会は、その時に楽しむのも大切ですが、準備期間の取り組みによって出来が変わるものだと思いました。めぐみ館では、三送会の2週間くらい前から2年生が考えて下さった出し物をみんなで練習してきました。出し物は歌を歌いましたが、ただの歌ではなく、3年生1人1人の個性を示した歌と、卒業していく3年生に伝えたい気持ちをそのまま歌詞に現しているような歌の2曲を練習しました。
 何回も聞いたり、自主練をしたり、表現方法を変えたりと、何回も修正して、素晴らしいものを作り上げられました。
本番では、1,2年生の出し物に笑ったり、涙ぐんだりしていた3年生の方がいました。この時に今まで過ごしてきた3年生との思い出が浮かび上がり、泣きそうになりました。1,2年生の出し物終了後、3年生の方々が、1年生の時の寮祭の劇をして下さいました。みんなで笑って楽しんだこと、とても心に残っています。
 この三送会は、ただ当日盛り上がるだけでは、何の意味もありません。みんなで行った準備、先輩達への感謝の心があったから、楽しくて大切で思い出に残る三送会になったと思います。出会いや、別れ、協力、時にはケンカをしながらみんなで作り上げていく行事は、寮生を一番成長させてくれる時だと思います。
 
 
 
 

光風館
『鍋パーティーで深まった絆』 
W.K.(:2年生 新潟県柏崎市)

1年生がスキー教室にいっている間、私たち2年生はみんなで鍋パーティーをしました。
鍋パーティーをする前の日はみんなとても楽しみにしていました。1年生も3年生もいない2年生だけという寂しい人数でしたが、私たちは友愛館でガヤガヤと楽しく鍋を囲みました。食材の味もとてもおいしくすぐに鍋の材料はなくなってしまいました。でも、男子は女子のあまりの分まで食べることになり、みんな吐く寸前まで食べました。鍋パーティーでは、各館それぞれ鍋奉行が鍋を仕切ってくれました。光風館は寅さんが仕切ってくれて、僕らは黙々と食べることだけに専念しました。最後に雑炊を作ろうとしましたが、みんなうどんでおなかがいっぱいになってしまいました。でも、S藤K太君が「光風のやつらはみんな全部食わないと男じゃねえ!」的なことを言って、完食するまで帰らせてくれませんでした。死ぬかと思いました。もうこの冬は鍋を食べなくていいなぁと思いました。でも、世の中には食べられなくて困っている人たちもいると思うと、目の前の鍋を食べなければいけないと思いました。ひとつの鍋を囲むことによって光風館生の絆が一層深まったので、鍋パーティーはとても良いイベントになったと思います。
 
 
 
 
 

<スタッフから一言>                 
3年生が自宅学習期間に入り、1・2年生だけの寮生活がスタートした2月。1年生のスキー教室に2年生のセクシャリティ教育、節分の恵方巻に鍋パーティー、バレンタインデーに部屋替え、映画鑑賞会とイベントづくしの日々を楽しみつつ、来年度へ向けた歩みを始めています。
 ぐっと人数が減ったのぞみ寮の寂しさが、これまで当たり前に在った3年生の温かさを気づかせてくれます。また、空き部屋のある寮の静けさは、一人一人の意識を高めてくれているようです。2年生は、“最上級生となる現在の自分たちのあり方はこれで良いのか”問い直しています。1年生は、後輩を迎えるにあたって、2年生からアドバイスをもらいながら、自分たちが学んできたことを振り返っています。
 来たる2月28日、それぞれの場所でそれぞれの時を過ごし、変化・成長した1・2・3年生が、一人も欠けることなく寮修了礼拝を迎えられることを願っています。

女子寮担任 冨井 愛