のぞみ寮通信

のぞみ通信

2010/11/24

のぞみ通信 No.166(11月24日)

<捨てられた石が>            寮長 信田 智

 

「家を建てる者の捨てた石、これが隅の親石となった」 マルコ12:10
この言葉は、石積みの家を建てる時、建築士がこれは必要のない石と判断して捨てた石が、実はその建築物の中で最も大切な石、なくてはならない石となったという事であるが、

これは、主イエスと当時の宗教的指導者達との関係を言い表している事柄なのである。
宗教的指導者達にとってイエスは、自分達の土台を脅かす危険な者であり、抹殺してしまいたい存在であった。そこで彼らはイエスを十字架に架け、無きものにしようとしたのである。しかし、この主イエスこそは、神の救いを完成するために最も大切な、無くてはならない存在となられるのである。

 
人間の価値を量る基準として、いくつかの価値観がある。
1、能力主義の価値観では、能力のある者が価値のある人間であり、能力の無い者は価値の無い人間であるとみなされてしまうのである。勉強のできる者、運動能力のある者、商売で成功した者、立身出世した者、大きな仕事をした者が価値のある人間であり、それ以外の者は、価値のない者として見捨てられてしまうのである。能力主義の価値観の中では、能力のあるものは優越感を持ち、鼻持ちならない存在となり、能力の無い者は劣等感を植え付けられ、傷つき苦しみ、自分のような者は生きている価値が無いのだと思い込み自らを傷つける者も出てくる。さらに、生まれながら重い知恵遅れの人々は、存在の意味さえ認められないで、闇から闇へ葬り去られて行く事さえあった。

 

2、ヒューマニズム(人道主義)の価値観では、すべての人間は、能力のある無しに関わらず、みな人間として等しい価値を持つのであり、人間としてふさわしく生きる保障がされなければならない。と謳いあげるのであるが、人間の罪がその実現を妨げて、素晴らしい思想を、絵に書いた餅にしてしまうのである。

 

3、イエスの価値観は、「家を建てる者の捨てた石、これが隅の親石となる」というもので、能力主義の価値観によって、価値無き者、社会の役に立たない者として切り捨てられた者こそ、実は社会にとってかけがえのない大切な存在であり、最も重要な、無くてはならない存在として用いられる。彼らが切り捨てられる様な社会になったら、社会全体が崩れてしまうのである。この価値観を絵に描いた餅としない力がある。それは、イエスの十字架と復活であり、「捨てられた石が隅の親石となる」出来事を引き起こし、私たちを創り変えてくれる。

 

 

 

 

 

<寮生リレー通信  (第 83 回)>

 
 10月18日~22日(金)までの1週間、のぞみ寮体験プログラムが行われました。1・2年生の男子生徒10名が参加をし、それぞれが寮で体験したこと・感じたこと・学んだことなど手記を寄せてくれました。

 

<光風館を体験した生徒>
O.S.(2年:Sクラス・中央区) 
 寮体験6日間を終えて感じたことは、寮生とのコミュニケーションが思っていたよりも上手く取れたということです。寮生のみんなが気を遣っていたかもしれないけど嬉しかったです。初めは寮生に話しかけると白い目で見られそうで怖かったけど、話しかけるとジョークも重ねて楽しく話すことができてチョー嬉しかったです。
 寮体験で印象深かったのは、みんなの私生活です。特にみんなの私生活が気になってから、寮体験に参加したと言ってもいいでしょう。みんなの生活を見ているとなかなか普通で、マンガを読んだり、ポータブルのゲームをやっていたりして、期待はずれでした。
 行事を準備してくれましたが、本心は面倒臭くてやりたくなかったのです。なんとなくやっていると、寮生のみんなが熱くなっていたので、俺もつられて熱くなっちゃいました。やっぱり寮生はすごいな~と思いました。最後に寮体験をやってみてよかったし、光風館に入って良かったし、寮生とも交流が深まってよかったです。感謝です。

 

 

 

 

K.R.(2年:Oクラス・村上市)
 僕はたった1週間だけだけど寮に入りました。親から離れて、いつも親にやってもらっている洗濯などを自分でやる事が面倒で、自分はどれだけ親に頼っているのか身に染みてわかりました。そんな何もわからない僕に寮生は、寮での生活を教えてくれました。いつもは全くやらない、掃除や洗濯をこなしている自分がいて少しだけびっくりしました。このことよりも僕は、寮の人たちとのコミュニケーションが取れるのかが不安でした。僕はコミュニケーションが大の苦手でした。そんな僕に体験1日目から、個性豊かな先輩や同学年の人が向こうからコミュニケーションを取ってもらい、なるべく人と関わりたくなかった自分が居たのですが、本当に1週間全然苦しくなく気楽に過ごせました。
 そんななか光風館の礼拝時に、先輩の話が「コミュニケーションが苦手」という内容で、僕の寮生活を少し変えてくれました。その内容は、その先輩が入寮した時にコミュニケーションを取ることが苦手で、いつも仲の良い友だちとつるんでいたら、人間関係が上手く行かなくなり、自分からほとんど話したことの無い人と関係を作ろうとしたが上手く行かなかった。仕方なく、元の友人と話してみたら、今度は仲良くなったそうです。この先輩は少し期間をあけるコミュニケーションの取り方があることを教えてくれました。
 僕はこの話を聞いてとても勉強になりました。そのお陰で、この1週間寮での生活が変わりました。面倒な事もあったけど、とても楽しかったです。

 

 

 
K.R.(2年:Oクラス・中央区)
 家を離れて寮で1週間生活した感想は、とても楽しい生活でした。楽しい事だけじゃないだろうけど、寮の人は先輩後輩の関係を通り越してみんなフレンドリーで、メチャクチャくだらない話ができました。洗濯も自分1人でやる事なんて滅多になくてなかなか良かった。通学生として普段の1週間よりも、寮にいた1週間の長さが違い、1日がとても長く感じました。とっても新鮮なことばかりで、いつも通っていた学校が初めて登校したように感じました。
 夜遅くまでみんなと話をして、ワイワイ、ガヤガヤしてあまり寝れなくても、朝には眠いと思わなかった。毎晩遅くまでしゃべって思ったことは、学校の時の顔と寮の時の顔が違い、学校で見慣れている顔は寮でこんな感じなんだろうと思っていたら、気が狂ったようなところを見て、ビックリしたというか悲しくなったと言うか…、自分もそんな感じになった気がしました。K君とW君の背中の中に入って、スゲー寝心地が良いと感じてしまった。一晩その状態で過ごしてしまったし、自分は学校でも背中の中に入ろうとして怒られてしまった。みんなで食べたお菓子と夜食のカップ麺は格別の味でした。行事も楽しかったし、寮にオバケが出る話を聞いてちびりそうだった。マッサージが上手いってNに言われた。
 1週間めちゃめちゃ楽しかったです。

 

 

 

 

S.S.(2年:Cクラス・西蒲区)
 寮体験を通して感じたことは、家と全然違うということです。俺は1年生の時も寮体験をして、その時はただ単に規律が厳しいことや多いことなどにしか頭が回らず、あまり楽しめませんでした。しかし、今年の寮体験では、1年生の時とは違う色々なものが見えてきました。今回は、光風館で体験することになりました。光風館は、大望館と少し違う規則や礼拝のやり方など、最初の方はなかなか慣れなかったですが、光風館のアットホームな雰囲気に落ち着いて、寮生活を満喫することができました。
 前回の大望館では、特定の友人としか話さなかったけど、今回光風館では、色々な人と話ができ、少しは交友が深まりました。今日で寮体験も終わり、また学校生活に戻りますが、光風館で学んだことを忘れないようにしたいです。
 ありがとうございました。

 

 

 

 

K.S.(1年:Iクラス・東区)
 僕は寮体験をして色々なことを学びました。この寮生活は、親元を離れて自分で生活をすること、友達との生活で自分を強くできること、先輩や友達と一緒に生きていくということなど、多くのことを考えさせられました。僕も寮に入ったら、自分を鍛えられるか心配ですが、頑張ってみようと思います。
 僕は寮へ入り、自分の未来のためにも一生懸命がんばりますので、光風館の皆さん宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

<大望館で寮体験をした生徒>
N.R.(2年:Oクラス・秋葉区)
 今回寮体験をしてみて、僕は前年度よりも楽しかったです。僕は、昨年も寮体験に参加したのですが、始まって2、3日後に風邪をひいてしまったので、あまり楽しめなく残念でした。今回は本当に充実したもので楽しかったです。
 体験してみて、良かったと感じたところをあげてみます。大望館の風呂とベッドは良いと思いました。みんなが仲良く協力しながら自分達の生活をしているので、自立しているような点で魅力的に感じました。食事の時間が決まっていて、規則正しく生活が送れるところは健康的に感じました。通学生の僕にとって、朝の登校で時間に余裕があることは素晴らしく思います。寮でやったレクレーションでは、みんなが団結して行い、みんなが必死で面白かったです。
 この寮体験で寮生活の良さや楽しさが分かって良かったです。今回本当に貴重な体験をさせてもらい、ありがとうございました。今回体験したことを今後の学校生活に活かしていこうと思いました。

 

 

 

 

Y.S.(2年:Aクラス・北区)
 寮体験を通して思ったことは、寮ってすごく大変なんだなと思いました。僕が入ったのは大望館です。大望は規則が厳しいとか言われていたので、最初は光風館がいいなぁと思っていました。けど、体験してみて一週間だけだけどすごく楽しかったです。後輩や先輩たちもいい人ばかりでしゃべりやすく、大勢の人と関わることができました。
 僕が大変だと思ったことは、学校でも礼拝があるのに夜また館でも礼拝があることです。あと夕飯や朝ごはんの時間が決まっているので、僕はすごく面倒臭く感じました。寮体験でいいなぁと思ったことは、毎日修学旅行みたいな感覚や友達の家に泊まりにいったような感覚がするので、新鮮な気分が良かったです。また、学校まで30秒くらいなんで、登校の準備とかをゆったりできるのですごく良かったです。僕が泊まった部屋は、普段使われていないらしい部屋で、大望館の先生に「オバケがでるぞ」と言われて、それが冗談と分かるまでは怖くてなかなか寝付けませんでした。
 家にもう少し、経済的な余裕があったら僕は、寮に入りたいと思いました。また、来年もできればですが、もう一回寮体験をしたいと思いました。

 

 

 

 

T.N.(2年:Hクラス・東区)
 僕は寮体験をしてみて、敬和に入学してから想像していた寮生活のイメージが全く変わりました。寮体験をする前は、寮は不便で面倒臭いというイメージでした。しかし、寮体験をしてみて、たしかに不便なところもあるけれど、僕にとっては想像以上に楽しい6日間でした。
 寮では自分のことは全て自分でやらなくてはいけなくて、部活で毎日使った練習着を洗って干す作業は、日頃の生活で親の苦労を知ることのできる良い経験が出来ました。その他に大望館は、11時以降になると電気の全てが落とされ、トイレ、階段以外はとても暗くて、部屋でゆっくりと眠れました。同じ部屋の1年生2人は、とても優しくて色々なことを教えてくれました。寮体験で得た経験を、僕はこれからも活かしていきたいです。

 

 

 

 

I.T.(1年:Iクラス・南区)
 普段、僕は家にいる時間の大半を自室で過ごしています。家事をすることはほとんどありませんでした。だから、今回の寮体験は少し不安でした。しかし、実際に体験して見ると、家事は掃除と洗濯くらいで安心しました。自由時間も思っていたより多く、僕は快適に過ごせました。
 また、水曜日は寮生全員で、木曜日は大望館の生徒でレクレーションをしました。水曜日のレクは、参加していないも同然の状態でしたが、木曜日はいつもより積極的に参加できたので良かったです。僕は人と関わるのはあまり得意ではありませんが、今回の入寮体験をきっかけに、できるだけ積極的に人と関わるようにしていきたいです。

 

 

 

 

I.T.(1年:Iクラス・西区)
 今日で最後になりました。僕にとってこの1週間は、長くも短くもない寮体験でした。実際に体験をして僕は、大勢の人達と合同で送る生活の中から、さまざまなことを学び、初めて知ることもありました。人と人との接し方や自分の足りないところを教えてもらい、これからの生活に役立つことを教えていただきました。みなさん、ありがとうございます。
 僕は、これから大望館に入るための準備をすることにします。最後に皆さんへ、この1週間ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

のぞみ寮体験プログラムを振り返って        寮務教師主任 帆刈 仰也

 

< 寮体験を通して 1+1=無限大 >
 通学生の寮体験プログラムは、今年で2年目を迎えることができました。昨年は新型インフルエンザの流行と時期が重なり、満足な1週間が遅れなかった生徒もいました。その生徒の中から2名が今年も応募してくれ、有意義な1週間を送れたことは私たちも嬉しく思います。参加数は2年生7名と1年生3名の男子生徒だけで、少し寂しい感じもありましたが10月24日の日曜日から入寮礼拝をもってスタートしました。
 初めは通学生も寮生もお互いに緊張していた様子でしたが、水曜日に寮全体で行事を行い、翌日は館ごとにレクレーションを行い、お互いの距離が縮まったようです。水曜日の行事は、行事委員が企画した「だるまさんがころんだ」と、籠を担いだ人が移動しながら球をいれる「玉入れ」を男女混合のチームに分かれて競い合いました。木曜日は、光風館がサッカーを行い、大望館はバスケットを行いました。どちらも体育館を使用し、寮生ならではの楽しみを通学生は体験しながら、寮に対するイメージが変化し、人間関係の構築を学んだようでした。
 嬉しいことに今回の参加者で、1年生の3名が入寮することになりました。これは本人の希望とご家族の寮教育に対する期待の表れがあるように感じています。彼らがこれから送る集団生活は楽しいことだけではないですが、生徒本人の成長と新しい自分と出会えることが、寮の使命と考えながら迎えたいと思います。
 寮体験を送っている通学生の様子を他の通学生が楽しそうに感じたようで、寮体験の参加希望を望む声が上がっています。反響をうけて寮では、年度内にもう一度企画したいと考えています。

 

 

 

 

~スタッフより一言~
受験シーズンとなり、毎週のように3年生は受験へと出かけていきます。進路先を決めるのも一苦労のようでしたが、願書の「自己アピール」を書ききるのが何より大変な作業のようです。おおよそ3年間の敬和生活、寮生活を振り返って自分がどんなに成長してきたのか、誇れるところはどこなのか。早朝から深夜まで、自由時間を削り、机に向かい、周りの友達と意見交換を行い…、『自分を振り返る』という事に多くの時間を使っていたように感じました。この振り返りが3年生それぞれにとって自信と誇りと更なる成長を与えてくれたのではないでしょうか。
また、3年間限定のこの寮生活も、残りわずかです。自分たちが悔いのないようにはもちろんですが、1・2年生たちの心に、ステキな足跡を刻んでくれることも願っています。

みぎわ館 森口 みち子