自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2018/11/12
今年の4月の出来事です。
青森県の石黒署で一頭の嘱託警察犬が表彰されました。
警察犬の名前は「ひらり」 推定年齢8歳のメスです。
なぜ推定年齢かというとひらりは元捨て犬で正確なところはわからないからです。
高齢の男性が自宅から出て行方不明となったことに家族が気付きます。
その日の夕方、通報を受けた警察は署員による捜索に加え、警察犬の出動を要請しました。
ひらりは男性のにおいをたどり、捜索開始から約1時間後の午後6時すぎ、自宅近くの畑の中でしゃがみ込んでいる男性を見つけて、この男性は無事保護されました。
ひらりはもともと捨て犬で保護された後、動物愛護センターに送られました。
一時は殺処分も検討されたそうですが、県警嘱託警察犬指導手の岩本良二さんが引き取って育てたのです。
当初はやせており食事や散歩もままならなかったそうです。
岩本さんは丁寧にやさしくひらりをかわいがりました。
これが精神的なケアになりました。
毎日たくさんひらりを遊ばせました。
これは見方を変えると地道な訓練を続けたことになります。
ひらりは2016年に2度目の挑戦となる試験で警察犬に合格しました。
現在は警察犬としての働きの他に高齢者に寄り添うセラピー犬としてのボランティア活動も行っています。
捨てられた経験のあるひらりにとって人間は怖い存在だったに違いありません。
追いかけられ捕まえられた経験もあるでしょうし、人間の言葉がわからなくても殺処分が検討されていたときにはただならぬ気配を感じ、不安を感じていたと思うのです。
犬の訓練を職業にしてしまうほど犬のことが大好きな岩本さんに引き取られてひらりの運命は大きく変わりました。
飼い犬としてあたりまえの環境 つまり必要な分のえさを与えられ、安心できる環境と十分なケア、そしてたくさん遊んでもらうこと(訓練)が整ったときにひらりは本来持っている力を存分に発揮することができたのです。
ひらりは人なつこく、人と関わるのが大好きな犬です。
岩本さんに引き取られ安心して信頼して過ごすことができるようになって、ひらりは本来の性質を十分に表現することができるようになりました。
その結果警察犬になり、またセラピードッグとしても活躍するようになったのです。
私がひらりのことを知ったのは、ひらりが迷子の高齢者を助けるお手柄をたてて新聞に取り上げられたからです。
でも礼拝で皆さんに紹介しようと思ったのはひらりが役に立つ犬だからではありません。
世の中に役立つから素晴らしいのではないのです。
ひらりが持っている本来の力や性質を出せるように変化したのが素晴らしいと思うのです。
これは人間でも同じことが言えるのではないのでしょうか。
人間も自分のことを理解してくれる人と出会い、安心して信頼できる環境の中で成長していきます。
心が育っていきます。
心が成長すると自分のことだけでなく自分以外の人のことを考えることができるようになります。
周りに気遣いができるようになります。
気遣いをしてもらっていることに気づけるようになります。
その結果、世の中の役に立つ働きができることも多くなっていくのです。
皆さんの本来持っている力や性質を十分に表すことのできる学園生活でありますように。
もしかしたらその力や性質は一見するとマイナスに見えるようなことかもしれません。
でも大丈夫です。マイナスなのではなく一時期見方によってそう見えるだけのことです。
さあ、今週もがんばるぞ!と思っている人、そのまま突っ走ってください。
それがあなたのありようです。
月曜日がきてしまった。しんどいなあと思っている人、それがあなたのペースです。
スロースターターなだけかもしれません。ゆっくり歩み出してください。
今週の歩みも一人一人にふさわしい成長への歩みとなりますように。