のぞみ寮通信

のぞみ通信

2010/04/26

のぞみ通信 No.160(4月26日)

「平和があるように」              寮長 信田 智

 

 

 中学を出てすぐに親元を離れ、誰も知らない新潟にきて、しかも、高校の寮で集団生活、その上3年生2年生と同じ部屋。どれ一つとっても楽しい事より不安な事のほうが多いと思う。しかし君たちは、その不安に勝る何かを求めて、のぞみ寮に来てくれた。君達の勇気ある決断とチャレンジ精神は本当に素晴らしいものです。

 
 君達の先輩も、同じような不安を持って寮生活を始めたのですが、2年3年と経つうちに、寮の仲間が大切な家族となっていくのです。今年の3月に、のぞみ寮を巣立っていった先輩の思いを紹介しよう。「今までの自分を誰も知らないところだったら、きっとすべてがうまくいくはず。そう信じて疑わなかったが、実際にはうまくいかない事の連続でした。自分の気持ちがうまく伝わらない。皆の気持ちが分からない。しかし、それが自分中心でしか物事を見る事の出来なかったためであることに気付き、相手の話にしっかりと耳を傾けること、そして、自分自身と真正面から向き合う事を始めた。しかし、それでもうまくいかず、心が折れそうになった。
そんな時、私の話を聞いてくれた寮の友人によって、『受け入れられている』事を知らされ、肩の力が抜けていくのを感じた。すると、自分自身を前より優しく眺める事が出来るようになり、次第に人やものの見方が変わってきた。そして、自分と価値観や考え方が違う人との出会いが面白いものとなり、寮での生活が何十倍も楽しくなった。一人一人が、かけがえのない存在で、友達というより、もはや家族となっていった。」
と言う趣旨の事を話してくれた。

 
 保護者の方々も、まだまだ自分の手元において育てていきたいと思いつつ、「かわいい子には旅をさせろ」と言われた先人の教えを思い、愛するお子様を敬和学園に、そして、のぞみ寮に託してくださった事だと思います。私たちは、そのご期待に応えるような寮教育を展開していきたいと切に願っています。

 
 先ほど読んだ聖書(ヨハネ20:19―22)の箇所は、イエス・キリストの弟子達が、自分の青春をかけて従っていったイエス・キリストが十字架で処刑され、自分達の人生はどうなってしまうのか、自分達も同じように捕まって処刑されてしまうのではないかと恐れ、部屋の鍵を全部閉めてうずくまっていた。そこに、十字架で処刑されたはずのイエスが現れたものですから、弟子達はビックリ仰天したところです。
 しかし、弟子たちは「復活の主イエスを見た。」その驚くべき喜びに、一切の不安と恐れが取り除かれたのです。そして、主イエスは、「平和があるように」と言われ、神の息を吹きかけられて、彼らを新しい使命の場へとつかわされたのです。
恐れと、不安の時はある。しかし、寮生活における出会いの喜びは、それらを取り除いて、素晴らしい宝物を与えてくれる。君たちは神様に愛され、守られ、導かれているのです。主イエスは今も、「恐れるな、平和があるように」と語りかけ、見えない力を注いでいてくださる。のぞみ寮の家族の一員となって成長していこう。

(2010・4・6入寮礼拝より)

 

 

 

 

 

 

寮生リレー通信  (第 78 回)

 

 <めぐみ館>  
『お茶会』          S.S.(1年・新潟県秋葉区)
 私は、今回のお茶会に参加して、色々な人と仲良くなることができました。めぐみ館の人達とはより仲良くなれ、みぎわ館で全然知らなかった人ともゲームで楽しく名前を覚え、学校などで話す機会が増えてよかったです。
 入寮して5日目で、私には少し不安なことがありました。「一年生の仕事、ちゃんと覚えられるかな?先輩とうまくやっていけるかな?」と思っていましたが、お茶会での楽しい時間のおかげで、不安など忘れてしまいました。むしろ、これからの寮や学校生活がますます楽しみになり、どんなこともめぐみ館のみんなと頑張っていこうと思いました。
 まだまだ先輩たちに迷惑ばっかりかけてしまっていますが、大好きなめぐみ館のみんなと協力し、時にはお互いに悪いところは注意し合いながら、共に成長していけたらいいなと思います。

 

 

 

 

  <大望館>      
 『 伝統の寮対抗球技大会 』  K.S. (1年・兵庫県神戸市)
 僕は、4月6日にのぞみ寮での入寮礼拝を迎えた。周りは知らない人ばかりで、期待もあったけど、不安も多かった。大望館の1年生だけで話をする時間があったけど、全然話せなくて、「本当にこんなんで、楽しい寮生活を送れるんかなぁ?」と思っていました。
 でも、そんな不安はいりませんでした。みんなフレンドリーで毎日が楽しい。そんな中で球技大会があった。バレーボールはサーブの打ち合いになった。運動の得意な人も苦手な人も精一杯がんばっていた。ドッヂボールもがんばっていた。最後は自分が当てて勝てたのでとても嬉しかった。
 僕はこれから3年間、43回生のみんなでがんばって楽しい寮生活にしたいと思っている。

 

 

 

 

 <光風館>

『先輩になって』  H.S.(2年・新潟県十日町)
 私は今年、高校生活において、はじめて「先輩」という立場になりました。その立場になって思ったことをいくつか書いてみたいと思います。
 まず「自覚」についてです。今までは、私は先輩方に守られ、引っ張ってもらっていました。でも、これからは、「それをやるのは自分たちなんだ」という自覚をもたなければならないと思います。次に「責任感」についてです。これからは自分だけの責任でなく、後輩の責任も取らなければなりません。このことを考えて、自分に「責任」の重さをもっともっと感じなければならないと思います。最後は「分かち合うこと」についてです。入寮してきたばかりの後輩たちは、まだ緊張が続き不安を感じているはずです。私自身も一年生の時はそうでした。だからこそ、楽しいことや嬉しいことはもちろんですが、苦しいこと、悲しいこと、辛いことも分かち合うことが大事だと思います。
 考えてみれば、中学時代の私は、男子の先輩と会話したことがありませんでした。そんな状態でしたから、私は男子寮に入ることに不安と恐怖を感じていました。「先輩にいじめられるのではないか・・・」とか「暴行されるのではないか・・・」と考えると、「やっぱり寮は止めたほうがいいんじゃないか」と思っていました。三年ぶりぐらいに男子の先輩と会話をして私の緊張はピークに達していました。でもその緊張は、寮に入ってから徐々にほぐれていきました。なぜなら、先輩たちはとても優しく、面白い人ばかりだったからです。いろんな相談にも、嫌な顔せず乗ってくれました。今では、楽しいことも辛いことも、嬉しいことも悲しいこともいろんなことを共に分かち合いながら、ごく普通に会話できるようになりました。
 私は、「自覚」、「責任」、「分かち合い」の三つのことを、先輩として大事にしていきたいと思います。私自身がそうであったように、後輩たちが光風館に入ったことを誇りにおもえるように、先輩としての役割と責任をしっかりと果たしていきたいと思います。

 

 

 

 

 <みぎわ館>

『実行委員としての対面式』 T.S.(3年・神奈川県奏野市)
2年前の4月1日に私達41回生は入寮し、その翌日に何も分からないまま対面式に出席し、1人前へ出て、多くの先輩達が見ている中、緊張しながら自己紹介をしました。その日から早2年が経ち、私は行事委員として対面式の運営に携わることになりました。
1年生を誘導しながら2年前の私と照らし合わせたりしていました。物怖じせず自己紹介をする43回生をみながら、「大物が多いなぁ!」と感じつつ、私達行事委員一同は対面式が無事終わりホッとしました。
最終学年となり、寮生活もあとわずか。寮行事も私達には全て「ラスト」がついてしまいます。みなさんの思い出作りに、私達行事委員5人、精一杯貢献していきたいと思います。みなさん、ぜひ積極的に行事に参加してください。皆さんと一緒に、41回生にとって残り1年の寮生活、最高のものにしていきたいです!

 

 

 

 

 

 

<43回生代表挨拶>

『生活』   T.J.(大望館1年:神奈川県相模原市)
 まず最初に、僕は寮生活に対して不安と期待があります。不安というのは、知っている人がほとんどいない場所でどのようにやっていけるのかということです。僕はまわりの人には人見知りではないと思われている所がありますが、実際は昔から人見知りで親や兄の後ろに隠れているような感じの子供でした。それは今でもあまり変わらず、初めて会う人とは必ず敬語で話したりしています。ですから、この寮生活の中で、それが悪い方に出るかもしれないと心配です。今までは、ずっと同じところで暮らしていてまわりの人のことはよくわかっており、中学校でも元々友達だった人や前から知っていた人が多かったので大丈夫だったのですが、これからは新しい場所で新しいに人と出会い、新しい人間関係ができていきます。その中でうまくやっていけるのか少し不安です。
期待というのは、その新しい場所で新しい自分を見つけられる気がするので、すごく楽しみでもあり不安でもあります。そしてずっと信頼していけるような人と出会えるかもしれないということです。その中では色々問題とかもあるかもしれませんが、それに負けずに頑張っていきたいと思っています。
たくさん迷惑とかかけることがあると思いますが、これからよろしくお願いします。そして両親に、これまでありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。

(2010年4月6日 入寮礼拝)

 

 

 

 

<入寮によせて>
K.I. 様(みぎわ館保護者)

この度、43回生として入寮を許されました生徒の父兄の1人として、僭越ですが、ご挨拶させていただきます。
 敬和学園にお世話になりますのは二人目です。3年前40回生として次女が入学し、この春卒業しました。彼女の敬和生活は決して順風満帆ではありませんでした。2年生の時に、敬和も寮も嫌だと家から一歩も出なくなってしまったのです。新潟からたくさんの先生方が東京に来てくださいました。全国にたくさん高校はあるけど、これほどこの子のことを考えてくれる学校はないと確信しました。心を鬼にして、嫌がる次女を新潟に連れていきました。寮本部の壁越しに聞いた友人の声。敬和と離れていたので忘れていたけど、私には大切な友達がたくさんいたのだ、私も40回生として皆と一緒に卒業したい、と強く思ったそうです。彼女が無事に卒業できたのは、先生方とお友達のお陰だと思っています。
 妹が「敬和に行きたい」といった時に、次女は「敬和はいいことばかりじゃないよ。でも良い友達がたくさんできるよ」と言っていました。友達付き合いの得意でない次女の口から出た、「良い友達がたくさんできるよ」という言葉を聞いて、とても嬉しく思いました。
 卒業の折にみぎわ館の3年生のラストメッセージを集めた物を頂きました。そこには、友達も自分自身のことも、それぞれの長所も欠点も含めて大好きだよ!というメッセージがあふれていました。山あり谷あり笑いあり涙ありの3年間だったに違いありませんが、それを無事に乗り越えた喜びが伝わってきました。一人ひとりがとても輝いていて、この仲間の中で最後まで過ごせたことを感謝しました。
今日から43回生の敬和生活が始まります。43回生はどんな航海に出るのでしょうか?
 先日、小児精神科医の佐々木正美先生の講演会に行く機会がありました。その時、子供達が伸びるためには、色々な子供達が出会い、教え教えられることが必要ですと言われました。敬和学園にはその環境があり、そこに全国一と言っても過言でない先生方がいらっしゃるので、まさに鬼に金棒です。とは言うものの、育った環境も考え方も違う子供たち。ご迷惑をお掛けすることもあるかもしれません。初めての寮生活に期待と不安もあることと思います。
41回生・42回生の先輩方、どうぞよろしくお願いします。先生方、時には優しく、時には厳しくお導きください。
 それぞれの子供達の敬和生活が実りあるものになることを祈りつつ、簡単ではございますが、保護者代表の挨拶とさせていただきます。

(2010年4月6日 入寮礼拝)

 

 

 

 

 

<着任の挨拶>

三浦 啓(ミウラ ケイ・男子寮寮務教師)
 はじめまして。今年の春から寮務教師として敬和学園に“戻ってきました”三浦啓です。“戻ってきました”というのは、私自身高校時代をここ敬和学園で26回生として、大望館で過ごしました。私の妻も敬和学園の24回生としてめぐみ館で生活した経験があり、夫婦でまさか敬和に帰ってくることになるとは、と新潟に来るまで話をしていました。
 私は敬和に戻ってくるまで西宮にある日本基督教団甲東教会で伝道師として働いていましたが、母校の敬和で寮務教師として働く機会が与えられ、思い切って寮務教師として新潟で再出発をする決意をしました。これから寮務教師として務めていくにあたって、生徒に正面から向き合い、聖書の言葉に「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」(ローマの信徒への手紙12章15節)とあるように、生徒と“共に”時間を過ごす中で“共に”喜怒哀楽していきたいと思います。まだまだ未熟な私ですがどうぞよろしくお願いします。

        

 

 

 

<バザー献品のお願い>

来る6月12日(土)に行われますフェスティヴァル&バザーで、「のぞみ寮」は、今年も、全国から集まる寮生の保護者の皆様にご協力をいただいて、恒例の「全国物産コーナー」を出店致したいと計画しております。(収益金は「のぞみ寮生」のために還元されます)。つきましては、保護者の皆様には、献品のお心づもりをいただき、日が近くなりましたら献品の品々をお送り頂けますようお願い申し上げます。詳細は「のぞみ通信」5月号(次号)でお知らせいたします。 
  
日 時 : 2010年6月12日(土) 9:00開始      
品 物 : 全国各地の名産品(食料)、その他  
場 所 : 敬和学園内 体育館

 

 

 

 

 

 

 

<編集後記> 
今年度は素晴らしい幕開けとなりました。一人も欠ける事無く、のぞみ寮生が開寮礼拝に集うことができたのです。これは、最近の寮の歩みの中でも非常にまれな事です。41回生・42回生が積極的に寮生活に取り組む気持ちを持ち、43回生を迎える心の準備をして帰ってきてくれたことを、全員で喜び、誇りを持って新年度を迎えることができました。嬉しくてたまりません!そして、今年度が頼もしい年となることを確信することができました。
最高学年になって、顔つきが勇敢になった41回生、初めて先輩となり後輩ができた喜びを噛みしめている42回生、期待と不安いっぱいにのぞみ寮へやってきた43回生の計157名でのスタートです。この1年、寮生の様々な挑戦や成長を、傍で体感できる幸せを日々味わいながら、私も負けずに一緒に歩んでいきたいと思います。
今年度もどうぞよろしくお願いいたします!

みぎわ館担任 森口みち子