月刊敬和新聞

2009年1月号より「わたしも今日からメジャーリーガー -洗礼は神さまとのメジャー契約-」

小西二巳夫(校長)

米国プロ野球 日本人大リーガー
 今日本のプロ野球から米国の大リーグに行く選手がどんどん増えています。その是非をめぐっていろいろな意見がありますが、実力のある選手からすれば大リーグで活躍したいというのは夢でしょうし、それがかなうとなれば、行きたくなるのは当然でしょう。最近は大リーグといわず正式名称メジャーリーグベースボールを縮めてメジャー(より正しい発音に近づけるためにはメージャーと明記すべきでしょうが)と呼ぶのが一般的になってきました。メジャーリーグが身近になってきた一つの表れとして漫画「MAJOR(メジャー)」も人気があります。主人公はプロ野球選手を父に持つ本田吾郎が、父の死を乗り越えてメジャーチーム、ホーネッツ(敬和学園のジャズバンドの愛称と同じ)で活躍するというストーリーです。形容詞メジャーの意味は「大きい方の」であり、反対語はマイナー(MINOR)です。

クリスチャンはマイナー?
 敬和学園に学校見学に来てくれた教会関係者の子どもたちに対して、わたしがしばしば使うセリフがあります。たとえば牧師さんの息子である彼が、自分の父親がキリスト教の伝道者であること、そして家が教会であることに肯定できているかといえば、そうでないことの方が多いと思います。キリスト教にあまり理解のない地域や学校の中で、それこそクリスチャンであることにマイナーな思いを持たされてきた子どもたちは少なくありません。その彼にわたしは言います。「敬和にきたらなあ、クリスチャンはメジャーやで、マイナーと違うで。お父ちゃんの仕事のすばらしさがわかるで・・・。」実際キリスト教にマイナーな思いを持たされて入学してきた子どもたちは、敬和学園という現実の中でその意識から解放されていきます。それは毎朝の全校礼拝をはじめとする学校と寮生活の中で、「神様。祈る。感謝する。支えられて。生かされて」という言葉に日常的に接することになるからです。

新潟地区の教会のサポート
 特に寮生は日常生活の中にキリスト教があります。各館での毎晩の礼拝、そして日曜日の夜の全体礼拝、金曜日の早天祈祷会を通して神という存在と向き合うことになります。多くの寮生が日曜日の教会の礼拝に出かけて行きます。新潟市内の日本キリスト教団の教会には経済的、精神的にずいぶんお世話になっています。敬和学園から新潟交通のバスを使って市内の中心部まで行くには片道510円かかります。往復1,000円は高校生にとって大金です。そのバス代を負担してくださっている教会があります。昼ごはんも食べさせてもらえます。日曜日の教会の礼拝に出させてもらうおかげで、礼拝後からの数時間を、寮生は週に一度の楽しみである「街の空気」をお金の心配をすることなく味わさせてもらえるのです。日曜日に教会に行くことを誰に気兼ねすることもないのです。気分は正にメジャーです。

今年度の洗礼者は17名
 キリスト教が当たり前に存在し、それがメジャーな雰囲気の学校と寮の中で、自分の人生をクリスチャンとして生きていきたいと考える子どもたちが出てきます。調べてみましたら、今年四月のイースターからクリスマスまでの間に日本キリスト教団をはじめとする教会で洗礼を受けた子どもたちが17名います。この数字は相当多いといえます。この中には敬和学園で初めてキリスト教に触れたという子どもたちがいます。そして、クリスチャンの家庭で育ちながら、キリスト教を真正面から受け入れることをためらってきた子どもたちがいます。洗礼を受ける決意は、マイナー(少数者)がメジャーとされる敬和学園において、その子どもが本来もっている信仰が成長したことによるものです。ある子どもの洗礼式に臨んで、私は彼に言いました。「洗礼はなあ、神さまとのメジャー契約やで、それを忘れんと、堂々と生きていってや」。