のぞみ寮通信

光風館

2015/05/08

光風館通信 第447号(4月30日)

< 大成功 >
 

 タイトルを見て「何が?」って思う人はいませんよね?当然、寮祭のことです。じゃ、何が成功で、何が失敗なのか?そんな話を書かせてもらおうと思います。

 そもそも、寮祭って何でやるんでしょうか?誰のためにやるんでしょうか?寮生が楽しむため?当然、それもあります。だから入ってきたばかりの一年生に出し物をやってもらって、それを見ながら楽しい時間を共有する。そんな意味がある事も確かです。でもそれがメインではありません。

 それだったら、わざわざ保護者に参加してもらう必要はありませんよね?保護者に参加してもらうのは、君たちの寮生活の一部を見てもらって感じてもらう為です。嫌だったかもしれませんが…だから、部屋にも入ってもらう必要もあるんですね。保護者に部屋に入ってもらうアナウンスをした時に、「その空気を吸ってください」とお願いしました。「臭いを嗅いでください」ではないです。その空間の空気を感じてほしいという願いなんですよ。そういう意味で、寮祭の主役は保護者なんです。そして、もう一つの主役は何といっても1年生です。

 寮祭の何よりの楽しみは(森口先生は「食べる事」ですけれど…)もう一つは、やっぱりお楽しみ会の出し物ですよね。成功?or失敗?のほとんどは、その出し物の出来によるんじゃないでしょうか。で、その判断基準が、どれだけウケることが出来たか?ストーリーの内容よりも笑いの質にあるんじゃないかと思います。

 さて、今年の笑いはどうだったでしょうか?ただしこれは男子寮に限ってのことですが…。でもって、これは演じる側にとっての話です。寮祭の出し物をなぜ、やるのか?この事を考えると、成功か?失敗か?本当の答えが出てくるはずです。ガチガチに緊張していた19名の新しい仲間たち。いつの間にか、笑顔がたくさんになっていませんか?よそよそしかった48回生の横の繋がりもいつの間にか普通の交わりになっていませんか?これは、間違いなく準備を一緒にしてきたという力が、働いているに違いありません。そして、その指導を一生懸命してきた2年生も、先輩を演じることなく出来てきているんじゃないでしょうか?だから、寮祭なんですよ。

 そして何より、色んな個性があるひとり一人の寮生が演じる役を、温かい目で時には笑い、無理矢理にでも盛り上げ、声を掛け、受け止めている君たちの姿に保護者の方たちは心を打たれていたようです。その姿を見せることが出来た今回の寮祭は大成功。その一言に尽きますね。(澤野)

 

 

 

< “ゆらゆら”から“ひとつ”へ > 

 寮祭、お疲れ様でした。みんな、本当によく頑張りました。1年生は寮祭の練習を通して、これから共に生活する仲間と出会い、大勢の前ではっちゃけられる新しい自分に出会ったのではないでしょうか?当日みんなが楽しんでいる姿を見て、保護者の方々は安心したことでしょう。2年生は台本作成などの準備段階から大変だったことでしょう。だけど出し物の練習風景を見たら、「俺、口出しする必要ないなぁ」と感じたのです。それは2年生がしっかりと指揮を取り、去年よりもおもしろいモノを創り出そうとする姿勢を感じたからです。あのワイワイ・ガヤガヤしている雰囲気こそ、今回の大成功に繋がったのだと思います。3年生は当日、食べる時間を削りフードコーナーを担当してくれてありがとう。与えられた役割を楽しみながら仕事している姿、貫禄がありました。自分が全力を注ぎ、誰かを楽しませる。みんなが楽しんでいる姿を見て、自分自身も喜びを感じる。これからの人生で大切にしてほしい想いの一つです。

 今年の寮祭テーマは“ひとつ”でした。『寮生ひとり一人がひとつの館をつくり、4つの館が集まってのぞみ寮がひとつとなる。寮祭での仲間との出会いを通して、これからの寮生活でひとつひとつの存在である自分・仲間を大切にしてほしい』と、のぞみ寮礼拝委員会で話し合われました。

 今回、「みんな、楽しかった?出し物も無事に終わって良かったね」で終わらず、君たちから大切なことを教えてもらい、感動させられました。それは寮祭礼拝の中で歌った風味堂の“ゆらゆら”です。毎晩の各館礼拝後にあった歌練習の雰囲気は、とても素敵でした。男子高校生48人の野太い声が光風館ホールに響き渡り、練習後にはあちらこちらで“ゆら〜ゆら〜ゆら〜”と口ずさんでいる、かわいらしい光風生たち。また当日、寮祭礼拝で光風生が肩を組んで歌っている姿は、胸を打つものがありました。その当日の光景を見て、感動した保護者は絶対に多かったはずです。

 これからの寮生活で大切にしてほしいこと。それはタイトルにある『“ゆらゆら”から“ひとつ”へ』という想いを持つこと。悩み・不安・悲しみを抱えている仲間と共に“ゆらゆら”してほしいのです。それは一緒に心が不安定になることや物理的に身体を揺らすことではありません。私が伝えたい“ゆらゆら”は、その仲間の想いに寄り添い、頼ったり頼られたり、励まされたり励ましたりする、お互いを支え合うことが出来る“ゆらゆら”です。しんどい時には言葉で伝えて、そこに共感すること。それはのぞみ寮生同士だからこそ出来ることであり、私が君たちに求めている関係性なのです。また、仲間の想いに寄り添う時、大切に持っていてほしいのは「焦らずに一緒にゆっくり行こうよ」という想い。その想いを持って仲間と出会い、関わり合って、お互いを支え合う経験をしてほしいと願います。そして、その経験から光風館・のぞみ寮が“ひとつ”になっていくことを感じるはずです。さぁ、これからも“ゆらゆら”行こうか!(片岡)

 

 

< “街の空気を吸いたかったんです” > 

 以前、礼拝後に報告した通り、今年度から週末の食事予定が厳しくなりました。集計した後の変更は特別な理由以外、受け付けないということです。のぞみ寮では毎週水曜日に週末予定表を記入します。昨年度は前日や当日になってから「これから街に遊びに行くので、食事を変更してください」と申し出る寮生、放送で呼び出しても来ない寮生(…というか男子寮生)が多かったのです。 

 当日の急な変更が出てしまうと、食事が余り過ぎてしまい廃棄せざるを得ません。残飯を出さないように、今年度からは基本的に食事変更はしないこと、水曜日までに部活動の練習・試合予定を聞いて把握することを徹底していくように呼びかけています。しっかり守ってくださいね。

 ついこの間、春休み開寮日の夕食時、ある光風生が友愛館で点呼している私のところへ走ってきて言いました。『今日と明日だけ部活動がオフなんです。申し訳ないですけど、明日の食事変更をしてもらえませんか?ここ数日、学校合宿でしんどかったので、街へ遊びに行きたいんです…。』

 私は彼が一足早く帰寮して、サッカー部の練習や学校に合宿して頑張る姿を知っていました。「今週末の予定なら把握出来るけど…長期休暇中、1週間分の食事予定を把握することは、さすがにきついよなぁ。それに彼はあんなに頑張っていたから…今回は大目に見てあげようかなぁ」と思い、特別に許可しました。彼は『やった〜!ありがとうございます!明日、何しようかなぁ〜そうだ、いろいろ買い物してこよう!』と、テンション上がりまくりでした。

 そして翌日の昼過ぎ、私は2階教師宅から光風館へ入ったところ、目の前の部屋に彼のサンダルがあったのです。「……あれ?昨日、食事変更をして街へ遊びに行ったはずじゃないのか?この時間、寮にいるっておかしくないか?」と思い、部屋の中を覗きました。そしたら、彼がベッドで漫画を読んでいたのです。「昨日、街へ遊びに行くって言っていたけど…どうした?」と聞いたら、『えっ、あっ、……はい。そうなんですけど、実は…』と、彼は答えます。その彼の口から出る事実に、私は腹を抱えて笑うしかありませんでした。

 朝ご飯を食べてオシャレして、片道50分・運賃530円かかる市バスに乗った。彼はおそらくバスの中でも、音楽を聴いてルンルン気分だったことでしょう。しかし、降車する直前に財布を見たら、驚愕の事実に気付きます。帰りのバス代と数百円しかない…。目的地の万代シティで降車し、何かを買うお金も無くフラフラして、お腹が空いたからすき家で食事。そして、そのままバスに乗り、昼過ぎには寮に帰って来たというのです。最後に一言。『街の空気を吸いたかったんです。』

 のぞみ寮生みんなが経験している通り、寮生活は不便・不自由です。敬和学園がある太夫浜は自然豊かで、街のような便利さが無いのは確かです。でも、ほのぼのとした時間が流れていることも良いことだと思うけどね。今まで経験したことない集団生活の中で食事・礼拝・掃除・自習と決められた時間があるし、一人きりになる空間がなくストレスを感じることもあるでしょう。寮生活のストレスを街へ遊びに行くことで気分転換・リフレッシュすることは大切なこと。だけど、せめて財布の中身を確認して計画的に出掛けようね。もし、帰り道のお金さえも無かったら、どうしていたのだろうか?彼のことだから歩いて、寮まで帰って来そうだけど…。

 失敗したことをそのまま終わらせず、そこに意味を見出して肯定する姿、あっぱれです。さすが“伝説の漢”最有力候補です。これからどんな伝説を築くか、期待しています。  (片岡)

 

 

 

< 礼拝のお話 >

U.J (2年) 

 僕は、小学校から中学3年まで陸上部に入っていました。陸上はずっと一人で行う競技でしたが…敬和へ入学した僕は、ラグビー部に入部しました。ラグビーは15人で行う競技です。一人だけの力では絶対に勝てません。様々な個性を持っている人と、協力して点を入れる・トライするという一つの目標を目指します。僕がそれに気付いたのは、夏頃の試合です。初めて僕がトライした時、「おっしゃー、やったぜー!」と、思っていたのですが…思い返してみると、トライ出来そうな距離まで持って行ったのは、自分ではないし、その道を作ったのもチームメイトで、僕は自分の仕事をしただけでした。それぞれが自分の仕事をしっかり行い、手に入れたワントライでした。

 僕はラグビーから団体行動の大切さを知り、目に見えて心も筋肉も成長しました。特に、筋肉に至っては、入学当時60kgだった体重が今では70㎏近いです。身長が伸びたり、太ったりしたのではないので筋肉が成長したとしか考えられません。

 寮生活も同じだと思うのです。寮では、自分に出来ることを探し回り、協力して生活していかなくてはなりません。まさに、光風館のテーマでもある「One For光風」ですね。1年生は、まだ自分のことで精一杯という人がほとんどだと思います。2・3年生も出来る限りサポートをしていきますが…一緒にいる時間が一番長いのは同じ学年の仲間です。だから、余裕の出てきた人は周りの仲間のサポートをして、協力し合ってください。それが今、一年生に出来る仕事です。そして、お互いに協力していくうちに、必ず『自分成長したなー』と思うことがあります。実際に、僕たちの中に、そう思っている人が何人もいます。ですので、みんな自分が出来ることを全力で頑張ってください。

 

K.K (2年)

 今日お話しすることは、先日の柔道場であったお話です。その日は丸山先生という外部コーチが来ていて、技の中身について話してくれました。『技の中身を理解しろ』と言われて、僕は意味が分かりませんでした。しかし、丸山先生はこう言いました。『技の中身を理解しないと人を投げることは出来ない。人間だって、その人の中身を理解しないと仲良くなるのは難しい。』

 僕は話を聴いて、その通りだと思いました。確かに、技などをする時の体重移動や足の位置などの中身を理解しないと、技は掛かりにくくなります。ほかにも人付き合いでは、その人の感情・意思・人柄などの中身を理解しないと、仲良くなるのは難しいはずです。

 最近は、TwitterやLINEなどで見知らぬ人と友達になることがあるそうです。しかし、それではその人の中身をあまり理解することが出来ないはずです。だから僕は面と向かって話して、その人の中身を理解し合った友達が良いと思います。みなさんも友達の中身を理解しては、どうでしょうか?その人の新しい一面が見ることが出来たり、もっと仲良くなれたりするかもしれません。