のぞみ寮通信

光風館

2010/01/31

光風館通信 第248号(1月31日)

< 断髪を決断させたものとは… >

 

 

 光風館の皆はさぞかし驚いたのではないでしょうか。何がって?S.Y.くん(3年)のヘアスタイルのことです。だって、S.Y.くんといえば、髪の毛には相当なこだわりをもった人物ですし、現に、過去にサイドだけ極端に短く刈るといった若干奇抜な(おっと、失礼!)ヘアをしたことがあったぐらいですから、スポーツ刈りにするなんて誰も予想しなかったことでした。

 
 あれは、先週のことでした。寮務室にフラリと現れたSくんは、「頭を刈ろうと思うんですけど、やってくれますか?」って急に言ってきたんです。先に書いた通りのことから、私は何かの聞き間違いかと思って聞き直すと、彼はバリカンを指差して「これで刈って欲しいんですけど・・・」と答えるのです。ちょっと、躊躇しているようなそぶりもありましたが、でも、目は真剣そのものであり、すでに気持ちは固まっているように見えました。
 私たち二人のすぐ傍にいて、この会話を聞いていたKくん(2年)は、「え~・・・、Yさん、止めましょうよ~。絶対、止めた方がいいッスよ」と言っていました。しばらくしてから、そのKくんが寮務室を出ていくと、Sくんは「じゃあ・・・、お願いします」と言いました。その言葉を聞いた私は、おもむろにバリカンを手に取り、後頭部の方から一気に刈り上げ始めました。彼が、毎朝毎晩、いやいや日中いつも気にかけていた、愛しさを感じるほど大切にしていた髪の毛はバサバサと下へ落ちていきました。
 仕上がりは、本人と私の予想に反して、まずまずでした(「バーバ・イワハラ」の腕がいいこともあるんだけどね!)。Yくんの頭の形がいいこともあるのか、結構、スポーツ刈りが似合っていました。しかし、周囲は大騒ぎになりました。何しろ、普段一緒にいることの多いYくんやKくん、Mくんでさえも、彼がそのようなヘアスタイルにすることを知らされていなかったのですから、もう周りはビックリ仰天です(デジカメをもってきてNewSくんを写していた人もいたね)。

 
 私は思うのです。「こういうことがあってもいいんじゃないか」って。Sくんがバッサリと髪を切ろうと決意したそこには何か特別な理由があったのかも知れません。もしかしたら無かったのかも知れません。それは分かりません(敢えて聞きもしなかったんだけどね)。でも、特別でなくても、彼にそうさせるだけの何かがあったことは間違いありません(そうでなければ、あれだけこだわりをもっていた髪の毛をあんなに短くするわけがないものね)。「のぞみ寮」と「敬和」からの巣立ちを控えた今、彼はいろんなことを考えたはずです。楽しかったことや嬉しかったことを思い起こすこともあったでしょう。自分自身の成長も感じたことでしょう。その一方で、反省や後悔といった思いをもつこともあったのではないでしょうか。

 
自らが選んだ新しい道を歩み始めようとしている今まさにこの時、過去の自分に決別をし、新しい自分を創り上げていこう、そんな誓いの証として、あるいは通過儀礼的なものとして、この断髪を思いついたのではないか、私にはそう思えたのです。私が無言のうちにバリカンを手に取り、一気に彼の髪を刈り上げたのは、そういう理由からでした(だから、僕は敬意を表して、いつも以上に慎重かつ丁寧に、祐樹くんの頭を刈ったんだ)。何年か後、祐樹くんと再会した時に、彼がさらに大きく強く逞しく成長していてくれたら嬉しいなあ、そんな風にも思った出来事でした。

(岩原)

 

 

 

 

< 光風館2年生に問う!!>

 
 3年生が「自宅学習期間」に入りました。「のぞみ寮」の3年生もすでにそれぞれの実家へと戻りました(諸事情により何名かは残ってはいるけどね)。卒業関連の行事で戻ってくる2月末(3年生の帰寮日は2月28日だよ)まで約一ヵ月あります。3年生の皆には、「敬和」での高校生活と「のぞみ寮」での寮生活をじっくり振り返り、その作業を通して高校3年間を総括して欲しいと思いますし(3年生の皆、文章化するとハッキリしてくるものだよ。「光風館文集」の原稿提出、忘れないでね!!)、それと同時に、新しい進路に向かうための準備に多くの時間を割いて欲しいと思います(どんな物事でも、特に「最初」と「最後」が肝心だからね)。

 
 さて、光風館2年生の皆、実質的にはもう最上級生になったんですよ。その自覚はありますか?光風館の新しい時代が幕を開けたんですよ。その意識をもっていますか?光風館2年生、特にリーダー集団である「光風館運営委員」のメンバーに、私は今、大きな不満をもっています。何についてか…。詳しくはブロック長の木原くんと大野くんに話してありますので二人から聞いてください。でも、3年生が巣立ちの準備でこの光風館からいなくなってしまった今、光風館の新しい時代が始まった今、これだけはハッキリ言わせてもらいます。
 君たち2年生は「光風館の歴史、『のぞみ寮』の歴史に名が残る、そんな学年集団にしたい」そう話していました。今の光風館2年生の個々の能力や資質、あるいは学年集団としての結束力を考えると、それは、あながち「夢物語」ではなく、現実味を帯びた話かもしれない、私はそう期待していました。
 でも、現段階にあっては、その高みに到達することはとても難しいように思います。今現在の光風館の様子、2年生の現状を見ればそれは明らかです。歴史に名が残るような集団、あるいは個人というのは、何かに特別秀でていなければなりません。何かの偉業を成し遂げていなければなりません。そうでなければ、人の記憶に留まることはなく、当然ながら歴史にも名が残ることはないからです。

 
 今週、1年生が「スキー教室」に2泊3日の予定で出掛けます。2年生だけになります。一昨年度から始めたリーダーズ・トレーニングを今年も行います。その際に、今後どのような光風館にしていきたいのか、「のぞみ寮」の歴史に残る学年集団にしたい、そう引き続き思っているのか、それを改めて聞きます。それまでに、光風館2年生それぞれが、自分の気持ちや考えを整理しておいてください。

(岩原)

 

 

 

 

< 礼拝のお話し >

 
U.K.(3年)
 みなさん、こんばんは。今日は、最後のお話になりますので、光風館の皆さんにメッセージを伝えたいと思います。
 まず、一年生。もうすぐ43回生の後輩たちが入寮してきます。教えられる立場から教える立場になります。ですから、今のうちにさまざまなことを教えられるようにしっかりと準備をしておいてください。その準備をするかしなかで、後輩たちの心証は変わってくると思います。上と下の学年の板ばさみになり大変だとは思いますが、ぜひ頑張ってください。
 次に二年生。私たち40回生がいなくなると、次は本当に皆さんが光風館のリーダーになって、力を発揮しなければなりません。既に今も光風館を引っ張っていくために、いろいろな努力をしてくれていますが、ぜひそれらを続けていってください。そして、40回生全員が力を合わせてさらにより良い光風館を創り上げていってください。期待しています。
 最後に三年生。今まで本当にありがとうございました。三年間、楽しかったこと、辛かったこと、いろいろありましたが、私がここまで寮生活をやり遂げることができたのは、40回生皆の温かい支えがあったからこそです。残りの寮生活はあと2週間ほどです。残り僅かの期間ですが、さらに思い出がつくれたらいいなあと思います。

 

 

 

 

K.Y.(3年)
 今日は、三年間を振り返ってみた話をしてみたいと思います。私の三年間は、一言で言うならば、「音楽」という言葉で表せると思います。一年生のとき、私はある先輩の一言がきっかけでドラムを始めました。私の場合、私の妹がすでに教会の奉仕でドラムを叩いていたので、妹に教えてもらうことも考えていたのですが、それは止めて、逆に妹を目標にして、ドラムを練習していこうとおもったのが、その一言を先輩に言われた日でした。別に一日一回必ず叩く、というわけではなかったので、人前に出れるくらいの腕前、技術を身に付けるにはすごく大変でした。
 私は、ひょんなことから「音楽Ⅱ」の授業の中で私がドラムを叩けることを知った荒木先生が、その年の讃美歌発表会のドラムに私を指名しました。今思えば、そのときが一番大変だったと思います。そのときは失敗してしまいましたが、三年生になってからフェスティヴァルの昼バンドでやったり、三年の讃美歌発表会でドラムをしていくうちに、いつの間にか自分が一年のときよりもものすごくドラムの腕が上達していることに気付きました。皆さんも何か一つでもいいので、今から何かを極めてみてはどうでしょうか。最後に、明日、「音楽Ⅱ」の卒業発表会が行われます。よかったら観にきてください。

 

 

 

M.S.(3年)
 みなさん、こんばんは。今日が最後のお話となりました。そこで、「何かをやり遂げる」ということについて話したいと思います。何かをやり遂げる、ということを聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。「無遅刻、無欠席をやり遂げる」や「部活をめげずにやり遂げる」などといったところでしょうか。では、簡単そうに見えて、実は難しいことといったら、何が思い浮かびますか。いろいろあると思いますが、私が思うに、一番難しいのは、寮生活を最後までやり遂げることだと思います。
 「それは簡単なことだろう」と思った人がいたならば、考えてみてください。いろいろな理由で退寮して通学生になったり、そのまま学校を去っていったりした人がいたはずです。今現在、あなたの隣にいる人だって、家庭の事情か何かで寮にいられなくなったりするかもしれないのです。人間関係のこじれで、通学生になってしまうかもしれないのです。ですから、寮生活をやり遂げるということは、本当に大変なことだと思います。だからこそ、寮生活をやり遂げた時の達成感というのは、とても大きいものになるんではないでしょうか。僕も、まもなく寮生活をやり遂げようとしています。皆さんが、寮生活を最後までやり遂げられるよう祈っています。