のぞみ寮通信

めぐみ館

2014/06/30

めぐみ通信 (2014年6月30日)

まるで「くノ一」!?

 6月24日(火)に大掃除を行いました。毎日お世話になっているめぐみ館をピカピカにしようと整美委員長を筆頭にみんなで協力して取り組んでいる姿にはいつも感心します。今回はお部屋掃除でした。埃がかからないように布団を二つにたたんで、その上に新聞紙で覆い、机の上は物をどけて隅々までふけるようにと掃除の前にも準備をします。その手慣れた事。2・3年生の段取の良さは納得ですが、1年生までも2・3年生に続いてさっさとやっているのには驚きました。

 どんな様子でみんなが大掃除をしているのだろう…と様子を見に行った遠藤先生。帰って来た遠藤先生は大興奮!「みんなすごいんです!ピヨッ、ピヨッと、サササっと登ってパパパっとやって、タタタって降りて来るんですよ~!」とのこと…。なに?どういうこと?と興奮収まるのを待ってよくよく聞いてみました。大掃除はベッドサイドの本棚の上や机やクローゼットの上までも拭き掃除をして埃を撃退します。その「上」を掃除するのに、まるで忍者の如く身軽にサッと登るのだそうです。そしてパパパと埃を手際よく払い、拭き掃除をし、そしてタタタっと駆け下りて来るのだそうです。その身のこなしに感激した遠藤先生。「めぐみ館はくノ一の集まりみたいだねぇ。」と二人で感心していました(笑)。

 感心する話はもう一つ。大掃除の翌日、自由時間も半分画家ぎた頃、二人の3年生が何やら誇らしげな顔をして降りてきました。「先生、見て下さい!」と。二人が抱えていたのはめぐみ館の壁掛け式の大きなホワイトボードです。「汚れているなぁと気になっていたから洗ってきました!ちょっと使い勝手も考えて、レイアウトも変えてみたんです!キレイになったでしょう!?」と。すっご~い!大掃除の日でもなく、もちろんペナルティーなんかでもなく、何だか汚れているなぁと気が付いて、自由時間を使って洗ってみようと動いてくれたのです。まるで新品のようなピカピカ加減。すごいです。こんな風に心を動かしてくれるなんて、本当にすごいです。

 私がめぐみ館に入るようになって驚いたことの一つに、めぐみ館の自治力の素晴らしさがあります。季節ごとに館内の飾り付けを、「私、こういうことするの好きなんで…」という気持ちでしてくれていたり、みんなに声を掛け合ってラジオ体操クラブを始めていたり、制服の着方をもう少し考えましょうよ、フレッシュ系女子を目指しましょうよとビラを作ってくれたり、礼拝集合の点呼は委員長たちでやってくれていたり…。挙げるときりがありません。その一つ一つにいつも「心」が働いていることを感じさせられています。嫌々ではなく、こんな風にした方がみんなが過ごしやすいのではないか…といつもめぐみ館全体の事を一番に考えて動いてくれているのです。すごいなぁと思います。今回の、大掃除をみんなが楽しんで気持ちよくするみんなも、思い立ってホワイトボードを洗ってくれる2人も、その行動もですが、何よりもその心の在り方に感心し、感激しました。こんな風に先輩達が見本として素晴らしいものをみせてくれるから、みんながみんなの輪の中で互いにしっかり育ちあっていくのだなぁと改めて教えられました。めぐみっ子、ステキだなぁ~!(森口)

 

 

 

人生のターニング・ポイント(寮全体礼拝のお話より)

 大学4年生の頃、ちょうど教育実習が終わった時期のことです。元々「教師になりたい」という夢を持っていましたが、「もっと自分にはやりたいことがあるはず!教師だけじゃなくて、いろいろ目を向けるべきじゃないか」とふと思うことがあり、一度「教師になりたい」という夢を諦めてしまいました。と言うより、捨ててしまいました。じゃあ、何をしたいのか。何も思い浮かびませんでした。周りは就職活動の最中で忙しそうにしていましたが、私はただ淡々と、1日1日を過ごしていました。自分に対する嫌悪感、周りと比べての焦りで、余計に「自分は何をして生きたいのか」という問いから逃げたくなり、ぼーっとする時間が増えました。

 そんな時、知り合いのお好み焼き屋さんの女性店長から電話がきました。「今度地域のケーブルテレビのカラオケ大会に出るんだけど、一緒に歌わない?」とのこと。一応「テレビ」ではありましたが、そのカラオケ大会の参加者のほとんどは「スナック経営者のママとそのお客さん」という、何だか変な大会でした。ですが、何もやりたいことの無かった私にとってはチャンスかもしれない、と思い、参加させてもらうことにしました。

 店長は歌がとても上手で、よくお店でも様々なバンドを招いてライブのようなことをするなど、笑顔の明るいとても素敵な方でした。店長との練習はとても楽しく、幸せな時間でした。たとえ練習でも、心を込めて歌う。たとえ歌手が書いた歌詞でも、自分の言葉のように歌う。店長のそんな芯のあるひたむきな姿勢に心を打たれました。

 ただ、歌う曲はいつも同じで、AIの「Story」がお店でのライブでも必ず歌われ、誘われたカラオケ大会でも、その曲を歌うとのことでした。「なぜこの曲を選んだんですか?」と素朴に思ったことを質問すると、店長は自身の今までの人生について話してくれました。店長は現在50代。大切な方を事故で亡くし、今の店長からは想像も出来ないほど落ち込み、生きる意味さえ分からなくなった時期があったそうです。そんな時に出会ったのが「Story」でした。「歌詞に励まされ、また周りの人にも励まされながら、やっとここまで来れた。だから今度は自分がこの歌で人を励ましたり、小さな力でも助けたりできる人になりたい、と思って歌を始めた。だからこそ、自分の心を伝えるために、今でもずっと歌っているんだ。」と仰っていました。その言葉に私は、「似た理由で大学でも歌う道を選択したんだったな。やっぱり、私も1番は心から歌うことをしたかったんだ。」という自分の感情を思い出すことができました。

 カラオケ大会当日、演歌やデュエットソングに交じってJ-popを歌うのは、とても場違いな感じはしましたが、店長の言葉と歌声を信じて心を込めて歌わせて頂き、なんと優勝してしまいました。見事、花束とトロフィーを戴いて、ど真ん中で集合写真を撮らせて頂きました。やっぱり少し笑える大会でしたが、間違いなくこの経験と店長との出会いによって、人生観が変わり、自分と素直に向き合えるようになりました。歌手になろうかと本気で考えたこともありましたが、それ以上に私にはやっぱり「教師になりたい」という思いが強く残っていました。結果、今ではこのように教員として働かせて頂いていますが、毎日が本当に充実しています。「人との出会いは自分との出会いにつながる」と気付けた経験があったからこそ、と思って、日々感謝の気持ちを持って生活しています。ぜひ皆さんもこの敬和という場で、のぞみ寮という場で、たくさんの人との出会い、心をわくわくさせることと出会い、楽しんで生活してもらいたいと思います。(遠藤)