のぞみ寮通信

めぐみ館

2009/10/06

めぐみ通信 9月28日

<寮務教師の冥利に尽きる?!>


 自由時間におそうめんを作ったその場に、カンチューハイが持ち込まれていました。その一本で場を盛り上げたのです。これがこの度のめぐみ館の2学年謹慎騒動の大きな一端となってしまいました。


その「そうめんの会」は、偏食気味の生徒が食べられるものを作って皆で食を楽しもうと言うのが事の発端です。このこと自体はステキな友情物語なわけで、私自身ほのぼのとした気分でのん気に?!見守っていました。

 
この友だち作りの動きの背景には、40回生が中心となって啓蒙した「携帯電話を持たない」、「問題解決を携帯電話、ネットに逃げ込む事をしない」と言う動きも多少なりとも関係があるように思います。2年前、携帯電話を持ち込んでいた生徒達は口々にこう話してくれます。

 
「寮や、友達関係の不満は、リアルなコミュニケーションで関係修復を試行錯誤をせず、メールで愚痴る、ブログで気持ちを吐き出すというバーチャルな世界で解決していた事がほとんどだった」。あたらず触らずの空気が流れていたのでしょう。

 
40回生の礼拝の話しでの呼びかけや、働きかけのお陰で、めぐみ館では大きな精神的な成長として携帯電話を手放せた生活が築けました。しかし、次なる課題としてリアルにコミュニケーションを取ろうとしたとき、素のままでは、テンションが長続きしないと言う不安を感じていたのです。

 

謹慎にあった生徒は、ネット依存、偏食等の課題を持ちながら、1年余りの寮生活を通しての回復していた姿を見せてくれていた生徒たちです。
謹慎した生徒達の反省には、「どうやってこの高校生活でコミュニケーションをとろうか」と言う彼女達の心の叫び、手探り、課題が潜んでいた事が伺われました。
今回、彼女たちは、何を学んだのでしょう。

 
謹慎したある生徒の反省文です。
「今までのままではいけない。こうなったら向き合おう。同じ空気を吸いたくないと目の前から遠ざけてたけど、これからは面と向かってみよう」と。
こうして謹慎と言う生みの苦しみ、トンネルを抜けて、心からの決意が生まれました。喜ばしい事に、この心の成長は、41回生全体に訪れています。
しかしこの成果がすぐに見られた訳ではありません。

 
9月に入り、しっかりと、ミーティングを作っていくと言う決意をしていたにも関わらず、ミーティングはグダグダした雰囲気から始まり、どうなる事かと心配し、また胸も痛みました。しかし、彼女たちの決意を信じ、見守っていた時です。そのだらしない雰囲気を彼女たちはだまって通りすぎませんでした。今までだまっていた者が発言し、質問し、忌憚の無い意見交換が始まったのです。その事で、やり取りする覚悟が芽生え、ゆっくりですが、41回生のコミュニケーション作りはスタートしています。
そして、見守っていた40回生が微笑んで、こんな事を言ってくれました。
「2年生、がんばってるね。良かったね」
当たり前の事をしている2年生だけれども、負から出発し、やらなかったことが出来るようになっている2年生。その2年生の心の動きから生まれた成長を感じた3年生は、認め、褒めるという一回り大きな存在感をこの簡単な言葉で表してくれました。この大きな心の在り方はさすが3年生ですね!!
2年生の今回の大きなピンチは一人ひとりの決意とご家庭のご協力、多くの先生たちのご助言で乗り越えられました。この事から、謹慎にあった生徒たち、そしてめぐみ館の一人ひとりは、競争社会では培われない、目に見えない宝が注がれ、受け取っていることでしょう。

 
この成果、成長の近況としましては、朝寝坊常習者が、早起きして「ラジオ体操」を皆に呼びかけ始めたり、勉強の仕方もわからない生徒が、毎晩毎朝必死になって勉強し始めたり、発言をせず、いつもミーティングでは外野にいた生徒が自分の才能を発揮すべく、建設的な意見を積極的に発言するようになっていたり、、、。
日々新しい成長は「成長させてくださるのは神」と、生徒たちの中に芽吹いている想像を絶する賜物を目にする時に、実感させられます。
この喜びは寮務教師の冥利に尽きると言っても言い過ぎではありません!

(榎本かな)

 

 

 

<2年生、お菓子作りパーティ開催!!>

 

 ミーティングで、横のつながりについて考える2年生。
「考えてみれば、2年の皆が顔を合わせられるのって、朝食と夕食くらいじゃない。」
「すれ違いもしなくて、あの子と一言も話せなかったなーって日もあるし。」
「まとめ合宿の時に白玉フルーツポンチを皆で作ったの楽しかったね。」
“一緒に生活していたって、顔を揃えられる時間は、少ないんだ”ということに改めて気付かされました。時折開かれる学年ミーティングの時間もその一つですが、そこでは気持ちに力が入るから、求めているものとは質が違うとのこと。話し合いの結果、一緒にお菓子を作って食べよう!ということになりました。

 

 
作るお菓子は、『ムーンライト』。女子寮伝統のお菓子で、めぐみ館・みぎわ館独自のレシピが先輩から後輩へ引き継がれています。めぐみ館に来たばかりの頃の私は、その謎めいた名に、どんな食べ物なのか想像を膨らませていました。そんな時、3年生のK.M.さんから「どうぞ」と差し出された一口の『ムーンライト』。食べさせてくれるなんてと、ドキドキしながら口にしました。「この美味しいシャリシャリは何?!」「森永の“ムーンライト”クッキーと牛乳とアイスです。」「そういうことかぁ!シャリシャリの正体は、牛乳だったのか!」

 
さて、2年生のお菓子作りパーティーの日が来ました。礼拝後、めぐみホールでせっせと3種類の『ムーンライト』を作りました。冷凍庫で固めている間に、ミーティングを行いました。1時間後、出来上がった『ムーンライト』に、それぞれが持ち寄ったお菓子とお茶が加わり、立派なパーティーが始まりました。教育実習生の小林先生もいらしてくださって、より楽しい時間となりました。

 
私が一人でいる時間、誰かが一人でいる時間、私が誰かといる時間、皆といる時間。どれも大切です。人との距離のとり方や、時間の使い方って難しいけれど、寮生活を送る中で、バランスよく過ごせるコツが掴めるといいなぁと思います。
今回のお菓子パーティに至るまで、一人でいたい気持ちの強かった人と、みんなといたい気持ちの強かった人とで意見が分かれたこともありました。時間をやりくりし、実行できたということは、どちらの気持ちも大切に出来たということではないでしょうか。我慢した、或いは、無理した・頑張ったという人もいるかもしれません。一人でいたいところを、皆といる時間を大切にしてくれたのだな、と嬉しく思います。
つながりは目には見えないけれど、皆の様子から感じさせてもらっています。たくさんの方が支え、見守ってくださっていることに感謝して、ゆっくりしっかり成長していきましょう。

(冨井)

 

 

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