毎日の礼拝

毎日のお話

2024/04/27

森山 陽太(スクールカウンセラー)

【聖書:ヤコブの手紙 5章 7節】

「兄弟たち、主が来れられるときまで忍耐しなさい。農夫は、秋の雨と春の雨が降るまで忍耐しながら、大地の尊い実りを待つのです。」

 

 私はスクールカウンセラーの森山陽太と申します。一階保健室の隣にある相談室におります。敬和のカウンセラーは常勤ですので、毎日います。

 敬和の相談室は基本的には予約をして、来るという流れになっています。予約がなく空いている時は、相談にのる事もできます。予約は先生にお願いしたり、保健室の佐柄先生にお願いしたり、保護者にお願いしたり、自分でとることもできます。授業中の利用については、欠席扱いになりますので、ご理解ください。放課後も予約を取ることはできます。保護者の方の相談もお受けいたします。

 春が終わろうとしています。春は気温も暖かくなり、世界が色づき心おどらせる季節であると同時に、春愁という春に愁いとかく言葉があるように、なんとなくわびしく気持ちがふさぐ季節でもあります。高校生の皆さんはまさに青春の真っただ中で、人生の春を謳歌していることでしょうが、そこにも華々しい楽しく良いことばかりではなく、わびしさや愁い、悲しみも含めた春を体感していることと思います。

 春は気候の変化に体に負担がかかりやすく、知らず知らずに疲れが溜まりやすい時期です。また新学期という、新しいことが多く、そのために忙しい時期でもあります。今日は寮祭もあり、忙しい中で準備を進めてきたことでしょう。このような疲れと、うまく休めなさの中で、人がふと春にわびしく、もの悲しく、春の夕暮れや散る桜のはかなさや、春の終わりを味わうようなことを愁うと表現した、この秀逸さを私はすごいなと思います。疲れているではあまりに暗く重い気がするんです。悲しいでもそう。それだけではない。春愁。ぴったりだと思います。疲れている皆さんは春を愁いてください。これは忙しい春のせいなんですから。

 私たちは急激な変化にあまり強く作ってもらっていませんが、じわじわと変わっていく変化にはかなり順応できます。朝晩と日中の寒暖の差は急激な変化ですのでついていくことが出来ませんが、朝晩を考えている以上に温かくする、湯船につかる、寝る時間を多くするなど、急いで夏のようにしないなどの対応で、徐々に慣れていくことが出来ます。私たちは自然を忘れてしまったので、自然をちゃんと思い出さないと、簡単にしっぺ返しを食らいます。急がず徐々にがキーワードです。

 体調が悪くなる人や、イライラしたり悲しくなったりすることもあります。おそらく生活の変化についていこうと頑張っている証拠です。ストレスという言葉がありますが、それは苦痛なことに対する言葉ではなく、変化に対して適応しようとする努力に対する言葉です。人間関係でストレスを感じている人は、うまくいかなくて困っているから苦しいと感じるのと同じです。新生活のストレスは、いったん変化をやめ一呼吸を置いて、適度に距離を置いて、考えたり工夫したりすることが必要だというサインです。誰かに相談するのもいいと思います。私たちは自分の背中が見えないように、心の状態も見えません。だからこそ大事にした方がいいですし、見えないなら他の人に見てもらえばいい。難しいのは、背中なら他の人に見てもらえますが、心は他の人にも見えないので、イメージするしかないことです。簡単なことではないです。簡単なことではないから人は精神の問題になった時に、簡単に何かのせいとか、気のせいとか、怠けているとか何かに押し付けたくなります。人は楽な方に流されます。たとえ自分にとって悪い方向でも。だから、ちゃんと考え感じた方がいい。ただ一人でするのは難しいので、他の人と一緒にする方がいいし、話し合うことでイメージがつかめます。それでも誰かに心を開くことがそもそも難しいし簡単ではないですね。そういうお手伝いを私はしたいです。一人一人の個性に合う方法を見つけることは、簡単ではないですが、その分誰とも違う自分だけのものを見つける興味深いものもあります。

 今日が終われば二連休、そのさきには五連休が待っています。ゆっくりと春の愁いを感じ、疲れを癒し、夏に向けての英気を養いましょう。皆さんの個性を探す旅はまだ始まったばかりです。最後に最近テレビに出なくなった私の好きな芸人の言葉を送ります。「方法は三つある。一つ目は正しいやり方。二つ目は間違ったやり方。三つ目はお前のやり方」どうぞ自分なりの生き方を探してください。益々のご活躍をお祈りいたします。