毎日の礼拝

毎日のお話

2024/04/11

青栁 希望(数学科)

【聖書:創世記 1章 31節】

 

 フランス語では昆虫の蝶と蛾をどちらも「Papillon」というそうです。つまりフランスでは,蝶と蛾を区別せずに,「Papillon」という名前の同じ昆虫として認識しているということになります。モノの名前はその人にとっての「世界の切り分け方」ひいては「世界の見え方」を決定づけます。言葉を学んでいく過程は,モノとモノの間の輪郭をくっきりさせていく作業であり,何かを学ぶということは世界の解像度を上げていくことと言えるかもしれません。
 もちろん自分と他者とでは世界をどのように見ているか,その認識に差が出てきます。それゆえ,齟齬や軋轢が生じることもあります。自分に見えている世界と他者に見えている世界は違うということを意識することで,私たちは寛容さをもって他者と接することができ,他者と共生することのよさを感じ,平和を実現する担い手として成長していくことができるのだと思います。
 最後に,この世界の創造主である神様には,世界がどのように見えているのか思いを馳せてみると,きっと神様には,この世界のすべてのモノがくっきりはっきりと区別されて見えているのではないかと思います。鳥や虫の一匹一匹,草花の一本一本,そして,私たち人間の一人ひとりにいたるまで,この世のすべてが神様に作られた大切な存在です。その一つひとつ,一人ひとりを区別して認識し,同時に一人ひとりを大切な存在として見守ってくださっているのだと思います。自分が大切な存在であるということを認識することは,ほかのどのような知識や教養を差し置いても最も重要な事であると思います。
 これから始まる敬和学園での学びを通じて,世界の解像度を上げ,他者と共生することのよさを感じ,人知を超えた存在に思いを馳せてほしいと願います。それこそが建学の精神である「敬神愛人」の実践につながっていくからです。