毎日の礼拝

毎日のお話

2024/02/27

長倉 望(日本キリスト教団 新潟教会牧師)

【聖書:マルコによる福音書 6章 34-37節】

 

 5000人以上の人たちがたった5つのパンと二匹の魚で満たされた、という奇跡物語。荒唐無稽なおとぎ話でしょうか。先日、能登半島の被災支援から帰ってきた方から「能登でも5つのパンと二匹の魚の物語」がいろんなところで起こっていますよ」と教えていただきました。

 今日の物語が示すのは、弟子たちがそんなの無理だと叫んだように、一人の人が200デナリ(200万円くらい?)のパンを用意することが求められているわけではない、ということ。むしろ、自分が持っているものがとるに足らないと思われたとしても、それを分かち合おうとすることが大切だ、ということです。

 東日本大震災の時、ライフラインの供給停止状態の中で、カセットボンベとガスコンロを新潟に集めて、仙台まで運ぶことになりました。余震が続く中でしたが、「お宅にある3本セットのガスボンベのうち、一本でいいので分かち合ってください」とお願いしました。恐れの中で握りしめるガスボンベは「三本しかない」という“不安の象徴”です。でも、これを困っている人たちと分かち合おうと手放すとき、たった1本のボンベが、被災地では「これで温かいものが食べられる!」という“希望の光”となるのです。

 みんなが持っているものを少しずつ分かち合おうとしたとき、教会のホールはガスボンベで埋め尽くされました。