お知らせ

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2024/02/19

今週の校長の話(2024.2.19) 「小さい子どもに導かれて」

【聖書:イザヤ書 11章 6節】

「狼は小羊と共に宿り 豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に育ち 小さい子供がそれらを導く。」

 

3年生が自宅学習期間に入り、早くも3週目を迎えます。

そして、来週、金曜日が、いよいよ「3年生を送る会」当日です。

今週からハレルヤ練習も本格化します。

去年の讃美歌発表会では1,2年生、共に素晴らしい合唱を披露してくれました。

皆さんは歌える学年と言われています。自信をもって練習に励んでください。

学年の出し物も大変だと思います。

卒業する3年生を思い、心のこもったものに仕上げてください。

各学年にとって、この期間は大きな節目の時です。

3年生を送る会、学年末テスト、そして4月には新入生を迎えます。

一日一日を大切に過ごしてください。

 

さて、この4か月間、イスラエルのガザにおける戦争の報道が続いています。

戦争のきっかけは、イスラム組織ハマスのイスラエルへの攻撃でした。

村々を襲い、銃を乱射し、1,400人を殺害。子供や高齢者を含む240人以上を人質として連れ去りました。

決して許されない、残酷なテロ行為です。

 

それに対して、イスラエルはハマスに戦争を宣言。

ハマスが支配しているパレスチナ自治区ガザ地区に容赦ない攻撃を始めました。

イスラエルの攻撃はすさまじく、この4か月間で2万8000人以上が亡くなりました。

国連をはじめ国際社会も、イスラエルの過剰ともいえる報復攻撃に、イスラエルを非難する声が大きくなっていますが、イスラエルは攻撃を緩める様子はありません。

この戦争で、特にいたましいのは、犠牲者の4割が子どもたちだ、ということです。

既に1万人以上の子どもたちが亡くなりました。

子どもたちに、この戦争の責任はまったくありません。

それなのに、罪のない多くの子どもたちが犠牲になっているのです。

 

皆さんは、マルティン・ルーサー・キング牧師という名前を聞いたことがあるでしょうか。

キング牧師は、20世紀アメリカの黒人への人種差別に対して、非暴力によって戦った牧師です。

その活動を公民権運動と言いますが、1960年代、それはアメリカ全土に広がり、アメリカの歴史を変えました。

キング牧師はその運動の指導者です。

今日、歌った讃美歌「勝利をのぞみ」は、このとき人びとに歌われた曲です。

アフリカ大陸から、奴隷として連れてこられたアメリカの黒人は300年以上にわたって差別されてきました。

その差別をなくすための運動でしたが、一部の白人から激しい抵抗を受けました。

キング牧師自身、1968年、白人男性によって銃撃されて亡くなります。39歳でした。

 

また、キング牧師の亡くなる5年前の1963年には、次のようないたましい事件が起きました。

アラバマ州バーミングハムの第16番通りバプテスト教会が、礼拝中にクーラック・クランという白人至上主義者の団体によって爆破されたのです。

それによって礼拝に出席していた4人の黒人の少女が亡くなります。

この少女たちの告別式において、キング牧師が哀悼の辞を述べました。

それは次のような言葉で始まります。

「私たちは今日の午後、静まりかえった聖堂に集い、この美しい神の子供たちに思いを込めて最後の言葉を述べようとしている。

この少女たちは、ほんの何年か前に歴史の舞台に登場し、神の特別なはからいの中でそれぞれに素晴らしい役割を演じた。

今その幕が下り、舞台の袖から退場し、彼女たちのこの世でのドラマが終わろうとしている。

彼女たちは、その故郷である永遠の御国に戻って行かなければならない。」

 

また、キング牧師は彼女たちの死について次のように述べます。

「彼女たちが死んだのは無駄ではない。神は今もなお悪から善を導き出す道を備えておられる。

歴史は、繰り返し繰り返し、不条理な苦難は、贖罪(しょくざい)の力を持つことを証明している。」

 

少し難しいですが、「不条理な苦難は、贖罪の力を持つ」とは、どういう意味でしょうか。

不条理とは理屈に合わない、とうことです。

贖罪とは、犠牲や代償をささげることによって罪を償うことです。

つまり、4人の少女たちの死には、世の罪を償う力がある、と言うのです。

なぜなら、彼女たちは自分自身の罪ではなく、誰かの罪の身代わりになって亡くなったからだ、

そのことは歴史が繰り返し、繰り返し証明している、とキング牧師は言います。

 

キング牧師は続けます。

「この少女たちの死によって私たちの住む南部全体が、人間が人間をさげすむ未開な道から、平和と兄弟愛に満ちた品位ある道へと導かれるに違いない。」

 

私はこの少女たちの死と、今、ガザの地で亡くなっている多くの子どもたちの死を重ねてしまいます。

ガザだけではありません。戦争ではいつも多くの子どもたちが犠牲になります。

日本でも、かつて広島、長崎に原爆が投下され多くの罪のない子供たちが犠牲になりました。

これらの子どもたちは、自分たちの死をとおして何を伝えようとしているのでしょうか。

大人たちがその行動を悔い改めることです。

戦いをやめ、一日も早く平和を実現することです。

キング牧師が語ったように、平和と兄弟愛に満ちた品位ある道を歩むことです。

子どもたちの死を無駄にしないために、私たちもこのメッセージを胸に刻まなければなりません。

 

今日の聖書です。

これは、預言者イザヤが見た平和な世界の幻です。

狼は小羊と共に宿り、豹(ひょう)は子山羊と共に伏すというのです。

弱肉強食の現実世界ではありえない光景です。

そして、子牛は若獅子(ライオンの子ども)と共に育ち、小さい子供がそれらを導く。

平和な世界に私たちを導くのは、小さい子どもたちだ、とイザヤは言います。

戦争によって亡くなった子どもたちの平和への願いが、ここに表現されているように思います。

 

この子どもたちは、イエス・キリストをさし示しています。

イエスはその生涯において、罪のない、無垢な心をもって、この世の悪と戦いました。

悪は悪によっては滅ぼされません。

悪は、善によってのみ、滅ぼされるのです。

イエスも他の人の罪の身代わりになって亡くなりました。

イエスは、神の小羊として、その十字架の死をとおして私たちの罪を贖(あがな)ってくださったからです。

イエス・キリストが「世の救い主」と呼ばれるのはそのためです。

私たちも、イエス・キリストに、そして小さい子どもたちに導かれて、平和を実現する者でありたいと願います。

 

20240219morning

今朝の敬和