のぞみ寮通信

のぞみ通信

2023/12/01

のぞみ通信 2023年11月30日 第285号

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題字 大望館3年 H.Jさん

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3年生から世代交代のバトンを受け継いだブロック委員会

 

 

「やる気スイッチの入れ方」 寮長 岩原 寅太郎

 「やる気スイッチ〜、君のはどこにあるんだろう〜♪」、「見つけてあげるよ〜、君だけのやる気スイッチ〜♪」。ある個別指導塾のCMで流れている歌のセリフです。放映エリアは全国ですので観たことがある人も多いと思います。この「やる気スイッチ」というフレーズに以前から妙に引き付けられるものを感じていたのですが、最近ではこれを多用するほどのお気に入りとなっています。

 なぜこのフレーズにそんなに引き付けられ、今では多用するようになったのか、それは「教育」という営みに、これが不可欠なのではないか、そんな風に考えるようになったからです。私自身の、また二人の息子の子育ての経験から、さらには20数年に亘る教師生活を振り返ってみて、今強くそう思うのです。

 本人の「やる気」が大事なのは当たり前のこと、「何を今さら…」と思われる方がおられるかもしれません。でも、これを生徒や子どもの内に起こさせるのはたやすいことではありません。簡単なようで難しいのです。

 「やる気スイッチ」が入れば人は独りで学んでいきます。教科の学習にとどまらず、生きていく上で大切なことを学びます。広い意味で「学ぶ」ことを体得した人は、「自分の人生を強く逞しく、しなやかに歩んでいく」ことができます。それは「自分の人生を自分らしく豊かに歩む」ことに繋がります。そして、これに勝る「幸せ」はないのではないでしょうか。私たち親や教師は子どもや生徒がそのように人生を紡いでいってくれることを願っているはずです。

 私は教師として生徒の前に立つ時、寮でも学校でもそうですが、生徒の内にいかにして「やる気スイッチ」を入れるか、これに考えを巡らせます。「やる気スイッチ」を入るべく策を凝らします。正直に言えば、スイッチをうまく入れられないことが今もって多いのですが、私の経験上、強制的に何かをさせてもそれが長続きすることはありません。ましてや、ペナルティを与えて行動変容を期待してもその効果は限定的です。

 「やる気スイッチ」は実際、脳の奥にあると言われています。「線条体」と呼ばれる部分です。人は嬉しいこと、気持ちいいことがあると、神経束からドーパミンという快楽物質が分泌されます。「線条体」はこのドーパミンをキャッチし、「この行動をしたことでいい気分になった」という情報として蓄えます。これが繰り返されることで「行動と快感」の結びつきが強化されていき、その結果として、何かをやろうと考えただけで「よし、やろう!」となるようです。つまり、脳を「いい気分」にしてあげることが大事だというわけです。

 では、脳を「いい気分」にするにはどうしたらよいか。一つは、達成感や充実感を味わわせることです。もう一つは、周囲の人による「言葉掛け」です。誉め言葉が主になりますが、これを適切な表現とタイミングで投げ掛けることです。そしてそのためには、まずもって、生徒に関心をもち、観察をしなければなりません。その上での「言葉掛け」です。

 「教育とは科学である」という人もいますが、神様のご計画にお委ねすることも必要です。年末、学期末を迎えるにあたり、改めて寮生たちの成長を願いながら、自身の振り返りの時をもちたいと思います。

 

 

 

寮生リレー ~世代交代をむかえて~

 

★のぞみ寮 新テーマ★ 「アイフル のぞみ寮に愛はあるんか」

 

ブロック委員長・めぐみ館ブロック長  N.S(2年・山形県)

 皆さんはどんな寮で暮らしたいですか。帰ってきたくなる寮、きれいな寮、悪口のない寮。どれもよく聞く言葉ですが、よく聞く言葉だからこそ、たくさんの人が望んでいることだと思います。でも、それを叶えることは簡単ではありません。敬和を選び、のぞみ寮を選んだ私達ですから、「くせ」が強いことは間違いなしです。どうしても、自分と合わない人がいるかもしれません。それでも、色が濃い人達がいるこののぞみ寮を住みたい寮にするために、『アイフル のぞみ寮に愛はあるんか』というテーマにしました。これから一年間、このテーマのもと、愛にあふれた寮を目指していきます。

 皆さんには、自分なりの寮の楽しみ方はありますか?時々めぐみ館では、礼拝のお話で「めぐみのお気に入りスポット」や「寮の楽しみ方」を紹介する人がいます。ベランダで黄昏れてみたり、プロジェクターで映画を観たり、一人ひとりの「寮を楽しむコツ」を聞くことはとてもわくわくします。私は、友愛館に行く時に空を見たり、テレビの番組をチェックしたりすることが密かな楽しみです。みなさんの中の、「寮のここは結構好きだなあ」という秘めた気持ちを周りにシェアし、寮を小さな愛であふれさせることが私の目標です。そして寮の改善点も周りにシェアできることも欠かせません。愛をもって接し合うことができれば、寮をより心地良い場所にするために必要な言葉も掛け合える関係になると思います。

 私達は、人生でたった3年間しか味わえない高校生活を、ここのぞみ寮で暮らしています。これは誰もがもっている選択ではないし、決断して入寮した私達は結構変わっていると思います。望んで入寮したわけではない人もいるかもしれません。でも、せっかくの3年間です。ついつい寮の不便な所ばかりに目が向いてしまう日々の中でも楽しさを見出させてしまう、そんな私達になりたいです。

 

 

 

★めぐみ館 新テーマ★  「めぐみのWA」

 

 続けてめぐみ館のテーマについて紹介します。

 めぐみ館の新しい館テーマは、『めぐみのWA』です。この「WA」には様々な漢字を入れることで、色々な意味に変身させることができます。輪っかの「輪」を入れると、学年を超えた繋がりをさらに深めていきたいという意味を込めることができますし、会話の「話」を入れると、くだらないことも真剣なことも語り合えるめぐみ館にしていきたいという意味になります。世代交代にあたって私達55回生が大事にしていきたいことは、合併を経験した世代だということです。めぐみ館の良さやみぎわ館の良さ、そして合併後の良さそれぞれが引き立つ館を、これからの1年間で目指していきたいです。世代交代を迎えたことで、以前に増して「めぐみ館のこれから」について話す機会が与えられています。意見がすれ違うこともあります。しかし、みんなの中にある「めぐみ館を住みやすい場所に」という思いは同じだということを忘れずに55回生らしい生き生きとしためぐみ館にしていきます。

 半年前まで話したことがない人もいた私達が、今、同じ空間の中で暮らしていることが時折不思議に感じます。寮じゃなかったら3年間一言も交わさなかった人もいるかもしれません。寮に入って合併もして、出会いが増えたことを楽しみながら、「めぐみのWA」が広がっていくように歩んでいきます。

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めぐみ館ポスター制作の様子

 

 

 

★大望館 新テーマ★  蛙化現象~完璧を求めない~

 

大望館ブロック長 K.K(2年・新潟県)

 大望館の新テーマは『蛙化現象~完璧を求めない~』です。皆さんは蛙化現象という言葉を知っていますか。蛙化現象というのは、自分が好意を抱いている人や交際相手の嫌な面を見た時に幻滅してしまうことです。このように、蛙化現象という言葉はマイナスの意味があるように思うと思います。

 では、なぜこのようなマイナスの意味がある言葉を館テーマにしたかというと、敬和学園は一人ひとりの個性が豊かだと思ったからです。特にのぞみ寮の男子寮は、個性が豊かだと思います。なので、自分らしく生きようという意味でこの館テーマにしました。最近は蛙化現象などの言葉が流行って周りの目を気にして生きていかなければならないことが多いと思います。そんな時だからこそ、自分たちの長所、個性を伸ばしていこうと思います。

 館テーマを作成する際などで、色塗りをする時があります。その際、下書きをするにあたってどうしてもミスをしてしまう時があります。普通ミスをしたら「あーあ」など、マイナスの言葉が出がちです。それに対し、のぞみ寮では「それも個性だね」と言って、間違った部分をみんなで笑います。これはとても凄いことだと思いす。個性が豊かというだけでここまで温かくなるのかと驚きました。僕たちは、そんなのぞみ寮、または男子寮の一員として、この館テーマ「失敗してもいいじゃないか、完璧を求めるな」をモットーに頑張っていきます。

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大望館55回生テーマ発表

 

 

 

★礼拝委員会 新テーマ★  つながり、育つ

 

礼拝委員長 F.M(2年・神奈川県)

 皆さんの中には、一回でも「今日はすごく疲れたし、眠たいし、礼拝は面倒くさい。」という会話をした人がいるかもしれません。しかし、その会話は、敬和を卒業した後もするでしょうか。

 若者がいない教会に通っていた私にとって、10代の私達が、今ここに集っていることは普通のことではありません。礼拝に対して、皆さん様々な考えがあると思いますが、礼拝やお祈り、「神様」という存在が生活の中に当たり前に入っているこの環境を大切にしたいと考えました。よって、礼拝委員会のテーマは『つながり、育つ』です。

【ヨハネによる福音書15章5節】 

わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。

人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。

 この聖句は神様とのつながりを大切にすることを伝えています。敬和では神と人、そして人と人のつながりを礼拝で大事にしていると考えています。一日の中で唯一、みんなと顔を合わせる礼拝は、今日一日を思い返す時間です。また、「あの子、元気ないな」と気づく時間でも良いと思います。

 人とつながり、神とつながる。寮生活が少しでも豊かなものになれば良いと思います。日々の礼拝でのメッセージが、種となって一人ひとりの心で育って欲しいと思っています。

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「お祈り」をして委員会を始める礼拝委員会

 

 

 

★生活規律委員会 新テーマ★

ライフアイドル~完璧で究極のライフスタイル~」

 

生活規律委員長 M.K(2年・新潟県)

 生活規律委員会のテーマは、『ライフアイドル~完璧で究極のライフスタイル』です。気づいている方もいると思いますが、このテーマは「推しの子」の主題歌であるYOASOBIの「アイドル」という曲をモチーフに作っています。このテーマは、のぞみ寮で暮らす一人ひとりが「生活のアイドル」のような存在になれるように、健康的な生活習慣を確立させ、それぞれの館のルールを守って楽しく過ごして欲しいという思いが込められています。

 ライフスタイルが固定できず不規則な生活をしている、ルールが守れない、それぞれ生活の中で課題があると思います。それを、「まあいいや」と放っておくのではなく、アイドルのようにキラキラ元気に過ごせるよう、少し意識を変えてみて欲しいと思います。みんなでライフアイドルになれるように頑張りましょう。

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ポスター制作をする生活規律委員会

 

 

 

★行事委員会 新テーマ★

みんなで探さない?Happiness hidden in every life

 

行事委員長 T.K(2年・新潟県)

 皆さんにとって行事とはどのようなものでしょうか。私は、みんなとの親睦を深めるための手段であり、みんなで楽しむものであると思います。レクリエーションに参加することによって、他者の良さや知らなかった一面を知ることもできると思います。

 そこで行事委員会のテーマは『みんなで探さない?Happiness hidden in every life』です。行事の中で、幸せや他者の良いところを見つけて欲しいという思いを込めました。ポスターには様々な道を描きました。色んなことがあるけれど、大きな幸せを見つける為に、行事を通して少しずつでも良いから日常に隠れている幸せを見つけて欲しいと思います。先輩後輩関係なく関わり、話ができる。そんな機会を1年間たくさんつくっていきたいと考えています。行事には皆さんの存在が必要不可欠です。これからの様々な行事に、皆さんが参加してくださると嬉しいです。

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ハロウィンパーティの企画を考える行事委員会

 

 

 

★整美委員会 新テーマ★  今日も明日もキレイをずっと

 

整美委員長 H.A(2年・新潟県)

 整美委員会のテーマは『今日も明日もキレイをずっと』です。

 皆さんはどんな気持ちで掃除を行っていますか。掃除が生活習慣になっていると思う人もいれば、中には注意されるのが嫌だからやる、またはやらされているという人もいると思います。私達整美委員は、「やらなきゃ」が「やろう」に変わっていって欲しいと思っています。そうすることで、館全体の空気が綺麗になり、過ごしやすくなっていきます。目で見えるところが汚いと気分は悪くなります。しかし、綺麗だと気持ちはすっきりするはずです。自分達の意識で綺麗にすることを続けることで、自分自身の気持ちは前向きになり、今までとは少し違う日々を過ごすことができるのではないでしょうか。

 綺麗を保つためには、私達整美委員だけでなく、みなさん一人ひとりの力が必要です。これから1年間、様々な活動を通して、皆さんの中に少しでも「誰かではなく自分がやろう」という気持ちをもってくれる人が増えたら嬉しいです。

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寮生と友愛館の掃除をする整美委員会

 

 

 

★食事委員会 新テーマ★

食好き ~毎日、好きを増やしていこう~

 

食事委員長 F.A(2年・岡山県)

 私たち食事委員会は、皆さんに毎日の食事の時間を楽しんでもらうとともに、好きな食べ物を増やし、苦手な食べ物を減らすことで、日ごろの残飯の量を減らしてほしいと考えています。テーマは、『食好き~毎日、好きを増やしていこう~』と決めました。皆さん「今日好き」という番組をご存じでしょうか。「今日好き」とは初対面の高校生が2泊3日の時間をかけ、本気で恋をするという内容です。人間に対して“愛”や“好き・嫌い”があるように、食べ物に対しても“愛”や“好き・嫌い”があると思います。どんなに嫌いな人がいたとしても、時間をかけて話をしているうちに好きになったり、関わることでいつのまにか嫌いではなくなったりすることがあると思います。これは、食べ物に対しても同じようなことが言えると思います。どんなに嫌いな食べ物でも時間をかけて食べようと努力することで、いつのまにか食べられるようになり、好きになることもあります。

 「嫌いだからたべない」という考えは捨てて、食卓を共に囲むのぞみ寮生活の中で「好きを増やしてほしい」です。

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食事委員会テーマ発表

 

 

 

★リサイクル委員会 新テーマ★  STOP!環境汚染!

 

リサイクル委員長 M.M(2年・新潟県)

 皆さんが何気なく飲んでいるペットボトルやお菓子のゴミは、世界の海にどれくらい流れ込んでいると思いますか。ニュースなどでよく聞く海洋プラスチックですが、なんと合計で1億5000万トン、そこへ年間800万トンが新たに流入しているそうです。ちなみに800万トンを別の重さで表すと、ジェット機5万機相当だそうです。大量のゴミは放置され、様々な悪影響を及ぼしています。

 そこで、私達リサイクル委員会のテーマは『STOP!環境汚染!』です。このテーマは一人ひとりが環境のことについて考え、今できることをして欲しいという願いが込められています。

 面倒だからという理由でゴミを分別せずに捨てていませんか。持続可能な社会をつくっていくために、まずはリサイクルを始めていきましょう。

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リサイクル委員会のテーマについて話をするMさん

 

 

 

 

「礼拝のお話より」

「人間は何のために生きているのか」 T.Y(2年・新潟県)

 人間は誰でも不安や恐怖を克服して安心を得るために生きていると私は考えます。例えば、名声を手に入れたり人を支配したり、金儲けをすることも安心するため。結婚したり友人をつくったりすることや人の為に役立ちたい、愛と平和のためにと行動することも、安心を求めるためだと思います。

 私は、世界中の人、全ての生物が日々安心して過ごしていれば、それだけで安心します。現在、世界の至る所で争いが起きています。そういった人達に、私達ができることがあるならば、幸せにしてあげたいです。最後に、私は皆さんに楽しい人生を送ってもらいたいと思っています。

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大望館で仲間と一緒に過ごすTくん

 

 

 

「寮務教師の一言」

「のぞみ寮の冬 学びと祝福の季節」 男子寮 山﨑 飛鳥

 11月はインフルエンザが流行しましたが、現在は今季最後のテストに向けて、のぞみ寮生たちは一生懸命勉強しています。

 テスト終了後、寮クリスマスや讃美歌発表会など、冬の楽しい行事が待っています。のぞみ寮生たちの努力とこれからの活動を、ぜひ応援していただければと思います。

 寒い季節が続きますが、これらの行事を通して、互いに愛と思いやりを分かち合い、神の恵みを感じることができる時となることを心から願っております。