自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2023/11/07
【聖書:コリントの信徒への手紙二 3章 2~3節】
「わたしたちの推薦状は、あなたがた自身です。それは、わたしたちの心に書かれており、すべて人から知られ、読まれています。あなたがたは、キリストがわたしたちを用いてお書きになった手紙として公にされています。墨ではなく生ける神の霊によって、石の板ではなく人の心の板に、書きつけられた手紙です。」
今日は1時限目に、このチャペルでモスはつみ先生の記念会が行われます。
はつみ先生は敬和学園のために大きな働きをされた方です。
先生は3年前にアメリカでお亡くなりになりましたが、娘のめぐみさんが来日されるのを機会に敬和学園で記念会を開くことになりました。
はつみ先生が、東京から新潟に来られたのは、1956年、お連れ合いのジョン・モス先生が宣教師として新潟に着任されたときです。
お二人は新潟県のキリスト教会を支えるとともに、キリスト教学校を作るための活動を始められました。
先生ご夫妻は、日本国内だけではなくアメリカやドイツの教会にも働きかけて、学校設立への協力を得ます。
そして、1968年4月、敬和学園は開校します。それはモス先生ご夫妻の新潟着任から12年後のことでした。
開校とともに、ジョン・モス先生は副校長として、また、はつみ先生は事務長として学校経営にあたられます。
事務長の後、はつみ先生は長く教員として、英語の授業と進路指導を担当されました。
特に敬和の進路指導の基礎を作ってくださったのは先生です。
先生の全国のキリスト教関係者とのつながりを活かして、多くの大学から指定校推薦をいただくことができました。
今も敬和からは、多くの生徒がキリスト教大学に指定校推薦を利用して進学しています。
また11回生、23回生、学年主任としてクラス担任も経験されました。
生徒だけではなく、多くの教師を育ててくださいました。
キリストの香りを、先生は、接するすべての人に感じさせてくれる方でした。
先生の薫陶を受けた多くの教員が、その後、敬和のキリスト教教育をリードする役割を果たします。
特に女性教員にとっては、その精神的な柱と呼べる存在でした。
今も敬和の女性教員が生き生きと働いているのは、はつみ先生の影響です。
1993年3月に退職し、ジョン・モス先生とともに、アメリカに行かれるまで、25年間、敬和のために尽力されました。
先生ご夫妻のお働きによって、敬和のキリスト教教育の土台が築かれたのです。
私が敬和に就職した年のある日曜日、先生ご夫妻は、栃尾教会を訪問されました。
先生は、新米教師の私を誘ってくださいました。
教会では、ジョン・モス先生が礼拝のお話をされました。
礼拝の後、23回生のはつみ先生が担任しているクラスの生徒の保護者が家に招待してくださいました。
ご家族は先生ご夫妻をあたたかく迎えられました。
先生ご夫妻に対するご家族の信頼と感謝の思いに私は感動しました。
そして、こんなにあたたかい関係を生徒の家族と教師が築ける学校が他にあるだろうか、と驚くとともに、敬和に就職できたことを私は心からうれしく思いました。
また最近、気が付いたことがあります。
モス先生ご夫妻の存在は、生徒に男女の理想的なあり方を教えてくれていた、ということです。
私が敬和に就職して感じたのは、敬和生は男女の仲が良いなあ、ということでした。
当時はまだ、他の学校では、名簿も男子と女子は別々で、男子が先で、女子が後でした。
男女差別が学校のなかに、まだ残っている時代でした。
しかし、敬和は違っていました。
名簿も男女関係なく50音順でした。
その他の面でも、創立以来、男女平等は徹底されていました。
私など、地方の男子校出身でしたから、男女が楽しく学校生活を送っている敬和生が、外国の学校の生徒のように見えました。
今もおぼえていますが、初めて声楽部のコスモスコンサートを聞きに行ったとき、男女が照れることなく、自然に互いに協力して舞台を作り上げる様子を見て、本当に素敵な高校生たちだ、と心から思いました。
このように、男女平等を実現し、男女の仲が良かったのは、もちろんキリスト教の影響が大きいと思います。
しかし、それだけではなかったのです。
敬和には男女のあり方を教えてくれる、生きたモデルがおられたのです。
それがモス先生ご夫妻でした。
モス先生ご夫妻は、生徒たちに男女のあるべき姿を示してくださっていたのです。
愛をもって互いを尊敬し、ともに目的をもって生きるご夫妻の姿がそれを教えてくれていたのです。
敬和生の男女のありかたにも、自然とその影響が表れていたのです。
今回、私は記念会の準備をしながら、そのことに気が付きました。
それは敬和学園が、これからも大切にするべき良い伝統です。
今日の聖書です。
「わたしたちの推薦状は、あなたがた自身です。それは、わたしたちの心に書かれており、すべて人から知られ、読まれています。」
私たち自身は神様からの推薦状で、その手紙の内容は私たちの心に書かれている、というのです。
手紙とは人に読んでもらうためのものです。
自分の中に留めておいてはいけない。それは人に届けられなければなりません。
だから、私たちは勇気をもって、多くの人の中に出て行き、自分の信じることを語り、行動できる人にならなければなりません。
それこそが私たち一人ひとりに与えられた使命だからです。
そのように、今日の聖書は私たちに教えてくれます。
モスはつみ先生も神様から送られてきた推薦状です。
先生の心には神様からの手紙が記されていました。
その手紙には、たくさんの人を救い、そして命に導く言葉が記されていました。
愛する神様は、新潟の諸教会に、そして敬和学園にその手紙を届けてくださいました。
先生はこの敬和学園で、神様からの推薦状としての役割を、惜しみなく果たしてくださいました。
私たちは、その恵みと幸いに感謝して、これからの学園の歩みを刻むものでありたいと願います。
今朝の敬和