お知らせ

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2023/10/23

今週の校長の話(2023.10.23)「敬和の学び」

【聖書:マタイによる福音書 4章 4節】

人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。

 

 

暑かった夏が終わり、やっと秋が来たと思ったら、ここ10日ほどは肌寒い日が続き、もうすぐ冬がくるような気配です。

今年はインフルエンザが早い時期から流行するそうなので、季節の変わり目、体調管理には気を配ってください。

 

この2週間ほど、私は様々なところで敬和の卒業生と会う機会が与えられました。

10月7日(土)にはホームカミングデーが開催され、卒業生と旧教職員、合わせて50名以上が来校しました。

今年は「2」のつく回生が対象で2回生、12回生、22回生、32回生、42回生が参加しました。

これは、卒業生が10年毎に敬和で再会することを目的に行われています。

 

参加者は先ず友愛館で、なつかしいランチを回生ごとの席で食べます。

今年のメニューはナポリタンでした。

高校生の頃、食べたものと同じレシピで作られたものです。

私は2回生の方々3名と一緒に食べましたが、とても喜ばれていました。

3人のうちのお一人は、わざわざ金沢から来られたそうです。

食事の席は、どの回生もとても盛り上がっていて、「このまま解散してもいいくらいだね、」などと話していました。

 

食事の後は、チャペルで礼拝です。

私がお話を担当しましたが、皆さん、熱心に耳を傾けてくださいました。

礼拝のあとは、既に退職された先生方による授業です。

3つのクラスに分かれて、それぞれ授業を受けました。

授業の後は、回生ごとにホームルームを行いました。

そこでは、当時の学年の先生からのお話や卒業生が近況などを報告し合いました。

参加者の年齢は30歳から70歳までとさまざまでしたが、久しぶりに母校を訪れ、友達や先生と再会し、学園が大きな喜びに包まれる一日となりました。

皆さんにも、卒業後、30歳、40歳、…になる節目の年にホームカミングデーの案内が届くと思います。ぜひ参加してみてください。

 

9月、10月には「敬和の会」が各地で開催されます。

私は、新潟県外の敬和の会に参加させていただいています。

参加されるのは、在校生の保護者、卒業生、敬和への入学を考えている中学生などです。

いつも寮生の皆さんには、この会のためにすてきなビデオレターを作っていただいています。

プログラムの中で、このビデオレターが一番、盛り上がります。

協力してくれた寮生には、この場を借りてお礼、申し上げます。

 

会の中では、参加者からひと言、お話をしていただきますが、卒業生の言葉にはいつも励まされます。

少し紹介します。

2年前に卒業し、現在、東京の大学に通っている方です。

自分は今、教員になることを目指し、大学で教育と英語を勉強している。

授業では、生徒、一人ひとりの個性を引き出すための教育について学んでいるけれど、敬和の3年間を振り返ったときに、敬和の教育のなかにそのヒントがたくさんあることに気づかされる。

一人ひとりの存在を大切にする敬和で過ごせたことは自分の自慢でもある。

自分は、進路選択に本当に苦労した。悩んで、今の大学に進学したが、その時間が自分には必要なものだったと思う。

他の人が、受験勉強に費やした時間を、自分は「自分と向き合うために使った」と思えるからだ。

この経験が今の自分にとって自信になっている。

このようなお話でした。

 

次は卒業生の保護者(母親)ですが、ご本人も敬和の卒業生です。

娘さんのお話です。

娘さんは在校生の時は文化委員長として、毎朝、礼拝のとき前に立たれていました。

娘は東京の大学に進学し、大学では首席をとるために勉強に励んでいた。

ところが大学3年生のときに病気にかかり、入院することになった。

それは、命にかかわる重い病気だった。

闘病生活を送り、幸い病気は治ったが、首席をとることはできなかった。

大学卒業後、看護師になるために専門学校に入学した。

大学で逃した首席をとるために、一生懸命勉強し、見事、首席で卒業することができた。

今は、自分が入院していた病院で看護師として働いている。

しかも、自分の主治医だった先生のもとで働いている。

自分が経験したのと同じ病気で苦しむ方々のために看護師として働いている。

仕事は激務だが、本人はやりがいを感じているようだ、とのことでした。

このようなお話です。

 

先週は芸術鑑賞会がありました。

本校、卒業生のオペラを聞くことができました。

23回生、宮嶋明香さんと27回生、笛田博昭さんです。

歌とお話で楽しいひと時を過ごすことができました。

二人ともそれぞれ、あれだけの歌唱力を身につけるには、どれほどの努力が必要だったか、そのことがしのばれます。

音楽に真剣に向き合い、一筋に音楽の道を歩んで来られたことが歌声から伝わってきました。

 

笛田博昭さんは、毎年、正月にNHKで生放送される、ニューイヤー・オペラ・コンサートにも出演しています。

おそらく、テノール歌手としては、日本でNo1. の実力の持ち主でしょう。

高校時代、笛田さんはバスケットボール部に所属していました。

背が高く、体もがっちりしていて、バスケットが大好きだったと言います。

それまで音楽とは縁のない彼が、歌に興味をもったのは、たまたま音楽Ⅱの授業で、世界的に有名なテノール歌手のDVDを見てからです。

高校2年の9月でした。

その後、彼はそのテノール歌手の真似を始めました。

楽しくなって、どんどん真似しているうちに、「これはすごい、」ということがみんなに知られるようになりました。

彼のお話にもありましたが、男子寮の屋上から女子寮に向かって歌っていたのもその頃のことです。

担任は土屋先生という方でしたが、クラスの生徒に呼ばれて聞きに行って、あまりにすごいので驚いたそうです。

高校卒業後、名古屋芸術大学に進学し、厳しい練習に励み、首席で卒業します。

その後、世界的テノール歌手へと成長しました。

 

今日の聖書です。イエスが悪魔から誘惑を受ける場面です。

イエスは40日と40夜、荒野で断食した後、空腹を覚えられます。

するとサタンが来てイエスに言います。

「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」

その時、イエスが答えた言葉が今日の聖書です。

「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。」

 

パンとは食べ物です。お腹が空いたとき一番欲しいのは食べ物です。

ところが、イエスは、人はパンだけで生きるものではない、と言います。

パンなど必要ない、と言っているのではありません。

イエスは、人々がパンを得るために、どれほど苦しい労働に耐えているかを知っていました。

しかし、それでもなお、「人はパンだけで生きるものではない。」と言います。

 

今日は4名の卒業生のお話をしましたが、なぜかこの聖書箇所が思い浮かびました。

3年間を敬和で学んだ彼らには、自分に本当に必要なものが分かっているように思えます。

神様の言葉=御言葉を求めて生きて行くことです。

それは目には見えないし、耳に聞こえるものではないかもしれません。

しかし、それを求める生き方が、人間に「品性」をもたらします。

彼らの生き方にもそれを感じました。

私たちも、その恵みをおぼえて今日の一日、ともに歩む者でありたいと願います。

 

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今朝の敬和