のぞみ寮通信

のぞみ通信

2023/07/21

今週ののぞみ寮(20号)「食洗機のトラブル」

【聖句:ルカによる福音書 17章 21節】

「『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」

 

 全国的に猛暑日が続く、ある日の夕食時の出来事でした。「調理師さん、トラブル発生!食洗機が壊れました!」「今、洗った食器をもう一度、手で洗い直さないといけないかも!」私たち寮務教師と調理師さんとの会話に、食当(食事当番の略)に入っていた男子寮生の表情が曇り始めました。食洗機から洗剤がこぼれていたので調べてみると、洗剤を注入する管が切れていたことが故障の原因でした。「あともう少しで洗い終えるところだったのに」と肩を落とし、第一槽に全ての食器を戻す、汗だくの男子寮生。翌日の朝、夕食分と朝食分の食器を手洗いすることが決まりました。初めての経験なので「どうやって全ての食器を洗えばいいのか?明日の登校時間、間に合うのだろうか?」と彼らに不安が募りました。

 そして、翌朝。私たち寮務教師もドキドキしながら友愛館へ行くと、昨晩第一槽に置いたはずの食器が綺麗さっぱりと無くなっていました。調理師さんへ尋ねてみると、このような言葉が返ってきました。「寮生のみんなは登校準備で忙しいだろうから、私たちで洗っておいたよ。いつも学校生活も寮生活も頑張っている子たちだから、大変だろうと思ってさぁ。私たちは慣れているから大丈夫!」その言葉を聞いて「これが本当の朝飯前ってことか」と思いながら、調理師さんの寮生に対する深い愛情に感動しました。このことを知った彼らも一気に明るい表情になっていました。

 実際、どのように洗ったのかと言うと「のぞみ寮オールドスタイル食当」です。友愛館が完成して食洗機を導入する前、「のぞみホール(現在は旧ランチホールと呼ばれています)」で実践されていた方法です。第一槽の5人は食器を手洗いし、第二槽の2人は洗い残しがないかチェックして、第三槽の2人はすすぎとカゴに並べて乾燥機へ入れていく、約20年前まで実践されていたスタイルです。洗い終えた後、「貴重な経験が出来て良かったです!」と清々しい表情をしていた、彼らでした。本当によく頑張ってくれました!

 人生にトラブルは付きものです。しかし、トラブルは悪いことではありません。トラブルがあるから気付くこともあります。いつもと違うことが起こったから、調理師さんの深い愛情を改めて感じることが出来ました。先輩・後輩が共に力を合わせて食当をやりきった達成感もありました。ほかの寮生も気遣って早く食べ終わってくれましたし、いつもより「ありがとうございます!」と元気良く声を掛けてくれました。いつもよりもきつい状況を楽しみながら取り組んでいた彼らは、他者のために尽くす姿勢を示してくれました。これこそが「のぞみ寮教育が目指している生徒の姿」です。

 夏休み直前、のぞみ寮がずっと大切にしてきたことに改めて気付いた出来事でした。(片岡)

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