自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2023/07/20
【聖書:創世記 2章 1~2節】
天地万物は完成された。第7の日に、神はご自分の仕事を完成され、第7の日に、神はご自分の仕事を離れ、安息なさった。
今日は前期の終業日で、いよいよ明日からは夏休みです。
こうして終業日を迎えることができること嬉しく思います。
終業にあたり4月からの3か月間で自分にできたこと、やり遂げられたことを、ぜひ数えてみてください。
どんな小さなことでも構いません。
何か必ずあるはずです。
1年生は初めてのことばかりで特に大変だったと思います。
勉強や友達づくりも大変だったでしょう。
しかし、日を追うごとに自分が成長していることを実感できた3か月間だったのではないでしょうか。
特にフェスティバルを終えてからは、1年生も敬和生らしい表情になってきました。
入学した頃の中学生の雰囲気をまとった皆さんではありません。
すっかり、高校生らしくなりました。
その成長を私も嬉しく思います。
そして、秋には修養会があります。
1年生にとって初めて実行委員会を中心に、自分たちでつくり上げる行事です。
これからのさらなる成長に期待します。
2年生はクラス替えがありました。新しいクラスに慣れることは大変だったと思います。
そして2年生という学年はなかなか難しい学年です。
1年と3年に挟まれて、目標が設定しにくいのも2年生です。
しかし、そういう状態のときこそが人間の成長にとって重要です。
植物でいえば、地に深く根を張る時期といえます。
この時期、植物は花を咲かせることはありません。
しかし、将来、大きな花を咲かし豊かな実を実らせるために必要な時間です。
それは忍耐の時とも言えます。
2学年という学年をどのように過ごすかで3年生になってからの自分たちが決まります。
それぞれが目標をもって、明日のために努力してください。
その努力が報われる日は必ず来ます。
そして秋からは、いよいよ世代交代が始まります。
2年生が学校の中心になります。
2年生のさらなる成長に期待したいと思います。
3年生はすばらしいフェスティバルを作ってくれました。
4年ぶりの完全な形でのフェスティバルです。
アフターコロナという新時代にふさわしいものになりました。
1日目は楽しいオープニングに始まり、演劇と合唱、どちらもクオリティの高いものでした。
2日目は、各連合の個性豊かなダンスを観たり、みんながグラウンドで、思いっきり声を出して応援したり、笑ったり、楽しい時間をすごすことができました。
天候にも恵まれた素晴らしい2日間でした。
今年は新しい取り組みとして、エンディングに全校でのハイタッチが行われました。
色とりどりの連合Tシャツを着た皆さんが、グラウンドいっぱいに広がり、音楽に合わせて走りながらハイタッチする様子は感動的でした。
グラウンドからは生命への賛歌が響いてくるようでした。
このフェスティバルは1,2年生の胸にも刻まれたはずです。
3年生は、それぞれ自分の役割を果たすことができました。
これから3年生は、進路に向けて取り組まなければなりません。
言うまでもなく、この夏休みは進路実現にとって重要な時期です。
それぞれ自分の課題から逃げることなく、精一杯の努力をして欲しいと思います。
さて、皆さんはアンラーニング (unlearning) という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ラーニングは学ぶ、学習するという意味です。
アンは否定を意味する接頭辞です。
辞書には、「学んだことを意識的に忘れること」とあります。
今日は、あるキリスト教学校の広報誌(女子学院広報2023年7月号)に掲載されていたお話を紹介したいと思います。
夏休みの過ごし方を考えるうえで参考になるからです。
思想家の鶴見俊輔さんという方が16歳でアメリカに留学します。
17歳の夏休み、ニューヨークの日本図書館で働いているときに、ヘレン・ケラーが手話の通訳とともにその図書館をたずねてきました。
ヘレン・ケラーは目と耳と話すことが不自由な方です。
日本の小学校の教科書にも出てくる人なので、知っている人も多いと思います。
ヘレン・ケラーは鶴見さんに話しかけて、鶴見さんがハーバード大学の学生だと答えると、自分はそのとなりのラドクリフ女子大に行った、そこでたくさんのことを「まなんだ」。しかし、それからあとたくさん「まなびほぐし」をしなければならなかった、と言います。
ヘレン・ケラーは、「まなびほぐし」という言葉をアンラーニング(unlearning)という単語で表現しました。
「まなびほぐし」。聞きなれない言葉です。これはどういう意味でしょうか。
例えば既製品のセーターを買ってきたとします。
ところが自分の体型に少し合わない。
そこで、もう一度、もとの毛糸に戻してから、自分の体型にあわせて編みなおすことを想像してみてください。
鶴見さんはそれが「まなびほぐし = unlearning」だ、と言います。
学校で学んだことを、いったんほぐし、そしてもう一度、自分に合うように編みなおしてみることです。
鶴見さんは言います。「それは、忘れるという意味ではないと思う。まなびほぐさなければ人生を生きる知恵にはならないということだね。」
「学校で学ぶ知識は必要だ。しかし覚えただけでは役に立たない。それをまなびほぐしたものが血となり肉となる。」
皆さんも4月からの3か月間、様々な授業から多くを学んだことでしょう。
そして学校行事や部活度などの経験からも学んだことがたくさんあったと思います。
しかし、それらの学びを、単なる知識や思い出で終わらせてはいけません。
それらの学びや経験を、人生を生きるための知恵としなければなりません。そのためには「まなびほぐし」が必要なのです。
そして、しばらく学校を離れてみるのもよいことだと思います。
今日の聖書です。
天地創造の場面です。神様は6日かけて天地万物、この世界を完成されます。
そして、7日目には休まれた、と記されています。
聖書は7日目を安息の日とさだめ、聖なる日としました。
それが日曜日の由来です。
人間にも何もしてはいけない、休みが必要なのかもしれません。
そのとき、人間の心の中では、それまで経験されたことが、まなびほぐされ、新たに生きるための知恵に変換されているかもしれないからです。
それは神様が与えてくださる大きな恵みです。
それでは楽しい夏休みをすごしてください。
新学期、元気な皆さんに会えることを楽しみにしています。