のぞみ寮通信

のぞみ通信

2023/07/04

のぞみ通信 2023年6月30日 第282号

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題字 大望館3年 H.Jさん

 

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躍動感あふれるダンスの発表

 

フェスティバルを終えて」  寮長 岩原 寅太郎

 フェスティバルを成功裏に終えることができました。練習・準備期間から本番当日までを通して、さまざまな場面で「のぞみ寮生」の活躍が見られたこと、嬉しく思うのと同時に誇らしく感じました。「敬和」の歴代の校長は、表現の違いは多少あるものの、概ねこのようなことを言っています。「『敬和』は思い出づくりのためにフェスティバルをするのではない。 『生きる力』を養うために行っているのだ」と。

 数年前、高校の先生を対象とした研修会に参加した時のことです。テーマは「新しい学びの方法」についてでした。講師を担当されたのは京都大学に在職20年の先生でした。「新しい学びの方法」の「旗振り役」を担っておられたその先生は講演の冒頭でこう話されました。「今、京大生は企業の採用試験で約半分が落とされている。受ければどこでも入れた昭和の頃とは明らかに違ってきている。もちろん、非常に優秀な学生が多いので、SPI(Synthetic Personality Inventory:多くの企業の採用選考に用いられている適正検査)には難なく合格するが、面接で不合格となるケースが多い。そして、一旦採用されても離停職率が 30~50% に達している」と。

 その講師の先生は「今の学校教育が『個の学習』に偏り過ぎている」ことを問題点に挙げていました。また、京大生は「個の力」としては非常に高いものを有しているが、「協働する力」の部分で劣っている、そんな分析もしていました。今の時代や社会は先行きが不透明で、将来の予測が困難です。なかなか一筋縄ではいかない状況があります。それゆえ、企業 は「課題解決」に向けて意欲的に、それも「協働する力」を使ってチームで前向きに取り組める、そんな人材を欲していると言います。「個の力」から「協働する力」、また、これに派生して「インプット型」から「アウトプット型」への教育の転換、「新しい学びの方法」が 必要だと、研修はそう締め括られていました。

 実は「敬和」は、今の時代と社会が求めている「(新しい)学びの方法」をだいぶ前から実践してきました。その象徴的な教育活動がフェスティバルです。生徒たちが「主体的」に 取り組めるよう設計されているのです。「教員の手」が入れば、もう少し効率よく準備でき、また完成度の高い発表に仕上がることでしょう。でもそれを敢えてしません。この行事には 失敗と衝突が付き物です。「喜怒哀楽」の感情を含んだ、その経験と学びが「課題解決する力」、「協働する力」、「アウトプットする力」を確実に育むのです。「のぞみ寮生」がこの行事を境にさらに大きく成長を遂げてくれるよう期待しています。

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オープンスクール前日、友愛館掃除をするのぞみ寮生

 

 

 

寮生リレー  ~フェスティバルを終えて~

 

「本気でやる」 I.T(3年・新潟県)

 僕は、今年のフェスティバルで雲仙連合の男子総合チーフを務めさせてもらいました。僕が今年のフェスティバルで総合チーフに立候補した理由は二つあります。一つ目は総合チーフへの憧れがあったからです。僕は、高校一年生の時のはじめてのフェスティバルで、キラキラと輝いている総合チーフに憧れを抱いたのです。二つ目は物事にたいして真剣に取り組みたいと思ったからです。僕は、この二年間行事などを本気で取り組んだことがありませんでした。心のどこかで「本気でやっているのが恥ずかしい」と思っていました。でも最後のフェスティバルだから一度本気で物事に取り組みたい、そう思いました。そして、男子総合チーフになることができました。

 しかし、僕は大事な時期に2週間も学校、寮から離れることになってしまいました。総合チーフがいないことで雲仙連合のみんなにはとても迷惑をかけてしまいました。僕がいない間それぞれのチーフのみんなが頑張ってくれていました。みんなが頑張っている中「自分も本気で頑張らないと」と思い、戻ってから必死で頑張りました。

 そしてフェスティバル当日。雲仙連合の総合順位は4位でした。総合優勝はできませんでしたが、自分自身本気でフェスティバルに取り組めたこと、最後まで諦めなかったこと、それは雲仙連合のみんなが一緒になって本気になってくれたおかげでした。本当に感謝しています。ありがとう。

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1日目のエンディングで笑顔を見せるI君

 

 

 

「ダンスチーフとしてフェスティバルを終えて」  K.H(3年・群馬県)

 1年生の時から夢見ていた。ダンスチーフになって1位を取るという夢。3年生になり、ダンスチーフにはなれたけど2位という結果。下唇を強く噛むほど悔しかった一方で、なぜか嬉しかった。このメンバーで踊れたこと、ダンスに関心の無い人も含めたくさんの方々に作品を見てもらえたこと、作品をエキスパートに直々に評価してもらえたことが嬉しかった。でも正直に言えば、1位という称号をメンバーと共有したかった。1位を取るまでが夢だったから。

 ある連合のダンスが始まって、2、3秒で「これは1位だ」と思ってしまったことが何よりも悔しかった。自分よりも良い作品だと思った悔しさと、自分自身の作品を信じきれなかったという悔しさ。この2つがあまりに大きく、今は悔しいという感情のほうが強い。それでも、あの1か月と当日を思い出してネガティブな感情だけが支配していないのは、メンバーに恵まれ、もう一人のダンスチーフと協力し、笑顔で発表を終えられたからなのだろうか。ある後輩にはダンスチーフという夢を与えることができた。また、ダンスチーフとして一番すべき事を成せたからなのだろうか。まだ、何度も反芻しながらゆっくりとフェスティバルを消化している。消化し吸収できた時、初めてフェスティバルの全体像や他者の頑張りが見え、自分のしたことに満足したりできるのかもしれない。だから今は、これで良かったのかまだ分からない。ただ、確かなことは、あの1か月間で私は大きく成長し、たくさんの経験の得たという事だ。

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連合の仲間と共にダンス練習に励むKさん

 

 

 

「部屋からのフェスティバル」  H.Y(3年・新潟県)

 私は今年、演劇部門とフェス本部に入り、何か月も前からフェスティバルの準備をしてきました。しかし、当日の少し前から体調が悪くなり、検査をした結果コロナに感染していました。

 私の最後のフェスティバルは、寮の部屋から眺めるだけになってしまいました。本当に頑張ってきたのに最後にこんなことになり凄く悔しい思いでした。それでもせめて応援してフェスにできるだけ参加しようと、窓からみんなを応援していました。しばらくすると、同じくコロナでフェスティバルに出られずにいたA君が、応援するために寮に戻ってきました。私は彼と一緒に大声で応援しました。するとグラウンドで頑張っていた友人達が私達に気づき、手を振り名前を呼んでくれました。その時、少しは参加できているのかなと、少し救われた気持ちになりました。そしてエンディングになると、最後に全校生が私達に手を振ってくれました。とても嬉しく感動しました。

 後から話を聞くと本部員が私の顔写真をいろんな所に貼ったり、エンディングで名前を呼んでくれたりと、私達のためにいろんなことをしてくれていました。

 私は、自分がコロナだと知った時は最悪のフェスティバルになったと絶望しました。しかし、実際はとても思い出になった楽しいフェスティバルでした。私はこのフェスティバルで仲間の大切さと人の温かさを感じることができました。私も困っている人がいた時は、私が助けられたように、人を助けるようにしていきたいです。

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遠くから声援を送るH君

 

 

 

「いろんなこと、するぞ!」  T.A(2年・新潟県)

 2年生になり、「今年はいろんなことをするぞ!」と思い、フェスティバルではダンス部門に入りました。ダンスをやったことの無いド素人が入っても大丈夫なのか、と思いつつ練習に参加しました。

 振りは覚えることができても体は動かず、ひたすら同じ所を何回も人に聞きました。「ダンスをやっている人は体のつくりが違うのかも」という疑問をもつくらい、自分の動きとは違っていた気がします。友達に教えてもらい、先輩には「角度はここ!」と、細かい部分を教えてもらったおかげで、なんとか形になり、本番で踊ることができました。後ろの位置から自分の連合のダンスを踊りながら見ることができて、どれだけ揃っているかを実感できて楽しかったです。

 話は少し変わりますが、私は写真部に所属しています。フェスティバルの写真を部活で撮れば、生徒目線の写真を撮ることができ、部の活動にもなるのではと思い本部長に話をしたところ、了承を得ることができ、準備期間の写真を撮ることになりました。学校のホームページとオープニングのスライドショーで使うことになりました。写真の提出日に急いで撮りに行きました。ダンス、アート、衣装、本部と様々な部門に突然行き、「撮って良いですか?」と尋ねると、どの部門のどの人も快く許可をくださったので、たくさんの写真が撮れました。それらの写真は、思った以上に、いろんなところで使われていたので、とても嬉しく思いました。

 喋ったことのある人、無い人、関係なく協力してもらい、充実したフェスティバルになりました。

 

女子寮フェスティバル前夜 実習生の先生方と一緒に

 

 

 

「フェスティバルで学べたこと」  T.R(1年・新潟県)

 誰もが知るフェスティバル。私はダンス部門に入り約1か月の準備期間を経て大切なことを1つ知りました。ダンス部門に入ったきっかけは、3年生が部屋で話していたことでした。フェスティバルのことで話していた3年生は私に「フェスはダンス部門に入ると、全然関わることない通生の先輩と関われるからやってみてもいいんじゃない?」と、まだ何も決めていなくて悩んでいた私に勧めてくださいました。

 それからオーディションに合格し、いよいよ本番までの練習が始まりました。周りの人たちがとても上手なのでプレッシャーを感じながらも、わからないところは3年生から優しく教えてもらい、1か月練習をしているとダンスも上達し先輩とも仲良くなることが出来て本当に嬉しかったです。

 この期間を経て知ったことは、関わったことのない人でも、少しずつ話していけば、仲が深まり関わり合いを増やしていくことが出来る、ということです。このフェスティバルで学んだ、大きくて大切な経験を活かして、来年、再来年もまだ知らない人たちと沢山関わっていきたいと思いました。

 

 

 

 

~寮務教師の一言~

「繋がる恵みを『思う』」  女子寮 小菅 真子

 4名の教育実習生をのぞみ寮に迎えました。4年前の3月、コロナの感染に怯えはじめたあの時に送り出したのぞみ寮の卒業生たちです。なつかしく、うれしい再会でした。また、実習生と過ごせるひとときは、毎晩、笑い声に包まれ寮生たちにとっても楽しみな時間でした。和やかに交わる姿を見守りながら、私はそんな関わりが出来る繋がりをとてもうらやましく思いました。

 フェスティバルでも、多くの卒業生との再会がありました。「敬和」の繋がりで、祈りと励ましで支え合える幸せを思います。そう思いながら生活できることは大きな喜びです。平和を願い、誠実に一つひとつの出来事に感謝して歩んでいく事をあらためて心に刻んでいます。

 

 

 

★のぞみ寮全国物産展 献金報告

 6月10日(土)のフェスティバル2日目に、「のぞみ寮全国物産展」を開催致しました。全国各地からご当地ならではの品が並び、昨年に引き続き大盛況となりました。たくさんの献品の御協力、心から感謝申し上げます。今年の売り上げは、181,000円となりました。収益は、のぞみ寮のために用いられます。

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2023年度 のぞみ寮物産展