自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2022/05/16
校長 小田中 肇
【聖書:マルコによる福音書8章36節】
「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。」
2,3年生は今日から、1年生は明日から定期テストが始まります。
それぞれの学年にとって大切なものですから、しっかりと取り組んでください。
今日は勉強することの意味について述べた「世界の名言」をいくつか紹介したいと思います。
「魚を与えれば1日食べていける。魚の取り方を教えれば、一生食べていける。」(管仲、中国、紀元前700年頃)
中国の賢者である管仲という人の言葉です。
魚を与えられても、食べてしまえばおしまいです。
しかし魚の取り方を教われば、その技によって一生、魚を取ることができて食べていける、
だから生きていくための技術を若い頃に身につけることが大切だというのです。
今、聞いても全く古さを感じさせません。
毎日の勉強も、皆さんが将来一生食べて行くための何かの技術を身につけるために必要なのです。
「教師は扉を開けてくれるが、中に入るのはあなた自身だ。」(紀元前250年頃、中国の格言)
教師はあなたを扉の前まで連れてきて扉を開けてくれるが、教師ができるのはそこまでです。
あなた自分自身が自分の力で中に入らなければならない、というのです。
勉強も同じです。自分自身が「やろう」、という気持ちになることが大切です。
同じような格言に次のようなものがあります。
「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない。」
どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
自分自身がどう生きたいか、それを最終的に決めるのは自分自身です。親でも教師でもありません。
そして決めたならば、勇気を出して、新しい一歩を踏み出さなければなりません。
「勝利した時よりも敗北した時のほうがはるかに多くのことを学べる。」(アフリカの格言。1650年頃)
成功よりも、人間は失敗から多く学ぶことができる、という意味です。
もちろん失敗は楽しい経験ではありません。
しかし失敗をとおして人は成長することができます。
失敗の大切さを訴える名言は他にもたくさんあります。
「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことだ。」(アメリカの実業家ヘンリー・フォード)
「成功を祝うのはいいが、それよりも大切なのは失敗から教訓を得ることだ。」(マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ)
「主を畏(おそ)れることは知恵の初め。」(旧約聖書・箴言)
主とは、神様のことです。
「主を畏れる」とは、どういう意味でしょうか。
よくわからない時、私は逆の状況を考えてみることにしています。
つまり神への畏れをなくしたとき、人はどうなるか、ということです。
そのとき人は、人を恐れるようになります。
どういう人を恐れるのでしょうか。自分より力のある人、権力者を恐れます。
そして権力者の顔色を見て、最悪の場合、その人の言いなりとなり、奴隷になってしまいます。
また神を畏れないとは、この世に恐れるものは存在しない、と考えることです。
神がいないならば何をやっても怖くない、どんな悪いことをしても他人にばれなければいい、という考えにつながります。
このような考え方の行き着くところが、どういう状態かは想像つくと思います。人間不信、社会の破滅です。
神を畏れることを忘れた人間の知恵は、世界に平和と幸福をもたらすことはありません。
ですから神を畏れること、それがすべての学びの初めになければならないのです。
最後にもう一つ紹介します。
「世界を手に入れて、魂を失うな。叡智(えいち)は金銀より尊い。」(ボブ・マーリー、1980年)
ボブ・マーリーはジャマイカのシンガーソングライター、ミュージシャンでレゲエ音楽の先駆者の一人です。
この言葉は「ザイオン・トレイン」という曲の歌詞の一節です。
この歌詞は聖書の言葉の影響を受けて生まれました。今日の聖書箇所です。
「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。」
自分の命、自分の魂は何物にも代えることのできないものです。だから決してそれを失ってはいけない、とボブ・マーリーは歌います。
魂を失うとは人間としての尊厳を失うことです。
彼は人種差別に反対しました。なぜなら人種差別は相手の人間としての尊厳を否定するものだからです。
「叡智は金銀よりも尊い。」
叡智とはものごとの本質を見通す知恵のことです。
魂を失わないこと、叡智を身に付けること、両者は無関係ではありません。
人は魂を失うことなく、命の道、愛の道を歩むときに、金銀にもまさる叡智が授けられるのです。
私たちもそのような道を歩む者でありたいと願います。
今日はいくつかの名言を紹介しました。印象に残る言葉はあったでしょうか。
皆さんの日々の学習を少しでも励ますものとなれば幸いです。
それでは、今週の定期テストにしっかり取り組んでください。