毎日の礼拝

校長のお話

2008/09/01

2008後期始業礼拝

聖書: ヤコブの手紙1章19~21節
今日から敬和学園の2008年度の後期が始まります。
こうして皆さんと再びこの場所、この時間に会うことができたことをまず神さまに感謝いたします。
皆さんにとってこの夏休み有意義な時になりましたか。
暑い日差しの中、休まないで部活に励んだ人がいます。ひたすら勉強に励んだ人、労作やボランティア活動に汗を流した人、ひたすら何もしないで休養した人、そして敬和学園の夏の様々なプログラムに取り組んだ人がいます。
同じ夏休みでもそれぞれすごし方は違うとあらためて思わされます。
それぞれ違う場所違う時間の過ごし方をしたみなさんの夏休みに、北京で開催されたオリンピックは、関心を持つ持たないに関係なく入り込んでいたのではないでしょうか。
私はオリンピックが始まる前から、様々な形で報道だれる開催国の中国の姿勢に、相当白けた気持ちになっていましたので、それほど見ようとは思っていませんでしたが、それでも個々にがんばっている選手の姿を見ると、ついついあつくなりました。
特にわたしがすごいなあとおもったのは、ソフトボールです。
日本の女子ソフトボールは強いのですが、それでもこの数年間アメリカチームにはどうしても勝つことができませんでした。
実際今回のオリンピックでも予選ではコールド負け、決勝トーナメントでも勝てませんでしたが、最後の最後にそのアメリカに勝って優勝、金メダルを取りました。
実力が相当上のアメリカチームに勝つために、相手を研究し、そして激しい練習を繰り返してきたとのことでした。
そういう相手に勝つためのトレーニングと同時に、日本チーム3年間続けてきたことがあります。
それは相手ではなく、言うなれば自分につた目の、自分に負けないためのトレーニングです。
ブレイントレーニングという脳を鍛える、あるいはメンタルトレーニング、心を強くする訓練に力を入れたそうです。
それを指導したのが西田文郎さんという日本のメンタルトレーニングの第一人者でした。
その西田さんがなぜ、日本チームが最後の最後にアメリカチームに勝つことができたのかを話していました。
西田さんが3年間日本の選手に求めたことは、脳を素直にすることでした。
西田さんによれば、ここ一番の勝負に勝つためには、脳を素直にすることだそうです。脳を素直にすることが人間の究極のエネルギーになるとのことです。
ここというときに素直な気持ちになれるようにすることによって、エネルギーが湧き上がってくるということです。
しかもいくらがんばっても、そのがんばりが自分だけのためにしているときの脳は素直な状態ではないそうです。
確かに素直になるということはできそうでなかなかできません。
自分ひとりの力では素直になれないその自分を素直にするために、忘れてはならないのが、周りの人への感謝の気持ちとそれにもう一つ、この頑張りが自分だけのためではない、勝つこと、金メダルを取ることが自分のためだけでなく、多くの人の励ましになる、という使命感だそうです。
西田さんはそういう素直な気持ちに日本の選手がなれるように3年間多くの時間を使って指導してきたとのことです。
その結果が金メダルにつながったわけです。
素直になるということは敬和学園が教育の中でずっと大切にしてきたことでもあります。
たまたま敬和新聞の8月号に「素直になる」ということについて書きました。
それから先週23日にあったオープンスクールで、来てくれた中学生と保護者の人にも「素直になる」ということについて話をしました。
敬和学園に入学してくる人の多くが自分を変えたい、変わりたいという願いをもっています。
変わりたいとは別の人間になるということではなく、成長したいということですし、周りの人に受け入れてもらえるような人に、認めてもらえるような人になりたいということです。
人間はどうなったときに変わっていくのでしょうか。
どうなれば成長できるのでしょうか。
わたしがみなさんの中の一人と言葉を交わす時に、すれ違う時に、ああこの人は成長したなあと感じるときがあります。
それはその人の言葉や姿に素直さを感じるときです。
しかも実に不思議なもので、私が誰に素直さを感じるかといいましたら、それはある意味申し訳ないのですが、41回生よりは39回生です。
3年生の言葉やふるまいの中に素直さを感じることが多いのです。
23日のオープンスクールでは、わたしの話に合わせて8分のビデオを作りました。
中身は敬和生の表情だけを集めたものです。
最初の部分で、一人の人が1年生の最初の入学礼拝で見せた表情と3年生の終わりの卒業礼拝で見せている表情を交互に出しました。
入学礼拝でわたしと握手をする時の無表情さが3年後の卒業礼拝ではじつにやわらかな素直な表情に変わっています。
3年の敬和生活を通して、その人の素直さが引き出されたわけです。
それをソフトボールチーム流に言えば、敬和学園で3年間のメンタルトレーニングを受けてきたということです。
敬和生の脳はどういう形で、じぶんだけのためだけにがんばるのではなく、周囲への感謝や使命感を持てるように訓練されてきたのでしょうか。
それはまず何よりも建学の精神「敬神愛人」があるということです。
神のために、隣人のために生きようということが大切にされていることです。
そして具体的なメンタルトレーニングの場所と時間はこの全校礼拝です。
毎朝の全校礼拝がみなさんの脳を素直にする時間になっているということです。
この全校礼拝が一人ひとりの成長の場になっているということです。
後期も毎朝の礼拝を中心に歩んで生きましょう。
礼拝を大切にする、それが究極のエネルギーである素直さを引き出し、成長の力になるということを、後期を始めるにあたり、しっかり心に刻みましょう。