自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
2021/12/09
スパゲティミートソース・生野菜サラダ・牛乳・マフィン
(関係のない話から、)知名度抜群の童話『三匹の子豚』の主人公は誰だろう?狼は悪役として、家を吹き飛ばされ避難しただけの豚①と豚②から見たとき、やはり豚③が主人公として輝くのが一般的な視点であろう。これに異議を唱えたのが先日敬和で行われた社会科特別授業の実行委員生徒達である。
ホームレス問題を主題とする今回の特別授業のオープニングを考える中で生徒の中から、「三匹の子豚」が家を吹き飛ばされ逃げ込んだ先で、もし豚③に入室を断られたら、彼らはホームレスになったのでは…というアイディアが出た。豚③を悪役にして、ホームレスになった豚と狼が協力する話にしようという発想だ。
どんなシーンやセリフを盛り込みたいか、担当生徒達から矢継ぎ早に飛び出すアイディアを脚本担当の生徒が聖徳太子のように聞き入れ、それを一冊の脚本の形にまとめ上げた。十数分の寸劇に懸ける熱量にも圧倒されたが、彼らはさらに次の次元にまで『三匹の子豚(外伝)』を磨き上げる。遂には豚③を「一緒に過ごす仲間」を失った最も不幸な役として捉え、悪役のいない物語を同級生の熱視線集まる中で上演した。現実の社会問題から、主役も悪役も相対化される側面を描き出したのである。
さて、今日の敬和ランチの主人公は誰だろう?満場一致の「ミートソーススパゲティ」?じゃあその中で本当の主人公は「ミート」?それとも「スパゲティ」?10代の高校生達は前者一択かもしれない。だがミートが多すぎてはスパゲティに絡み切らずにこぼれ落ちて皿上に余ってしまうのだ。敬和にこのメニューのファンが多いのは、まさにその過不及ないバランス感覚に基づいているのである。かくいう私も。
ごちそうさまでした。
(A・H)