毎日の礼拝

校長のお話

2009/03/02

「旭山動物園」 

聖書: エフェソの信徒への手紙2章11節~13節
最近動物園に行ったことがありますか。
もし旭山動物園という人がいたら、なかなかの動物園通といえるかもしれません。
北海道の真ん中、旭川市に旭山動物園というのがあります。
今日本で一番人気の高い動物園です。
そして入場者も一番多い動物園です。
人気の高い旭山動物園ですが、特別人気がある、珍しい動物がいるわけではありません。
規模や設備はたいしたことありません。
「しょぼい」動物園です。
人気の秘密は、それはその動物の本来持っている力やすばらしさ、面白い行動をそのまま見ることができるようになっているからです。
陸の上では動きがヨチヨチ歩き、動きがのろいアザラシやペンギンが水の中ではものすごい速さでまるで飛んでいくように泳ぐ姿、あるいは垂直の泳ぐ様子をみることができます。
それがアザラシやペンギンの本当の姿です。
オランウータンは本来、樹の上で生活していて地上に降りてくることはありません。
それに飛び降りることができません。
その特徴をしっかりわかっているので、柵なしで3メートル上にいるオランウータンを直接見ることができます。
オランウータンも自分が上にいる限り、いくら人に見られていてもストレスはたまらないのだそうです。
旭山動物園のすばらしさは、その動物の持っている個性や特性をしっかり引き出していることにあります。
そして、旭山動物園にいるオランウータンやチンパンジーはよく笑うのだそうです。
みなさん動物の中で笑うことができるのは何か知っていますか。
それを生物分類上でいえばヒト科の生き物だけです。
カタカナでヒト科、オランウータン、チンパンジー、ゴリラはヒト科の生き物で、その中に人間がいます。
サルはヒト科でないので笑うことができません。
人間を含むヒト科の最大の特徴、自分の嬉しい、楽しいという感情を笑うということで表現できることです。
旭山動物園の園長の小菅さんがヒト科の笑いについて次のように言っています。
「チンパンジーは笑う。歯をむき出して笑う。オランウータンも笑う。でもサルは笑わない。だからしかめっつらをして生きているのは人間とはいえない。
勉強しているときも笑って勉強しよう。
ケンカをしたときも笑って分かれよう。
これはあたりまえのこと。
笑うのはヒトであることの証明だから。
ヒト科はみんな笑う」。
笑うことがヒト科の特長ですが、もう一つ大事な特徴があります。
それはヒト科の生き物は自分とは関係ない生き物に関心を持つということです。
昨年秋に野生に戻すために放鳥された佐渡島のトキは、今頃どうしているだろうかちどうなっただろうかと、ふっと気になることありませんか。
一羽が100キロ以上離れた関川村、それから数ヵ月後には上越市で確認されましたが、わたしは一羽だけこっちに来ても困るだろう、これからどうするうだろうと、とても気になりますが、そのトキとわたしは何の関係もないのです。
それにもかかわらず、それでもやっぱり気になるのです。
あるいはしばらく前から我が家の玄関先に住み着いている、織姫と名づけられたノラ猫が毎日用意してやるキャットフードを食べに来なかったら、織姫だいじょうぶかと、気になります。
このように、ヒト科の生き物は他の違いを持った生き物に関心を持つのですから、まして、人間同士が知らん顔している、関係ないと口をきかない、イジメで持って誰かを切り捨てること事態、本当は変なことなのです。
とくにヒトは自分と違いを持った他の生き物と一緒にいると楽しいのです。
見ているだけでニコニコして、そしてあれこれ気になるはずです。
自分との違い、それを個性といいますが、人それぞれ個性があって、それがお互い大切にされる、それが人間の本当の姿であるはずです。
敬和学園は一人ひとりに違いがある、その違いを大切にすることを前提に考える学校です。
そして一人ひとりの個性であふれているから、自然と学校が楽しく、笑いにあふれるのかもしれません。
ヒト科の生き物である人間が、本当の意味で成長するためには、笑うということ、そしていろいろなヒトとかかわることが大切です。
誰と関わるか、何と関わるということで、もっとも重要な存在がイエスさまです。
一見何の関係もないようにみえる2000年間に遠く小アジアに生きたイエスさまとわたしたちとの間にかかわりがあることに気づくことは、わたしたちが人間らしく生きていくために必要な気づきなのです。
イエス様が自分の罪ではなく、人間の罪、おろかさのために十字架にかかってくださったことを事実として受け入れることができるならば、間違いなくヒトとして成長できます。
平和な社会が築かれていきます。