今日のランチ

今日のランチ

2021/11/18

今日のランチ(2021.11.18)

バターロール・チキン香草焼・野菜ソテー・ほうれん草ポタージュ・牛乳・スイートポテト

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敬和ランチは今日、「ぺっとり」している。

 

ランチをレポートする身として、料理一品一品をどのオノマトペ――「さらさら」や「にやにや」などの擬音語・擬声語——で表現するかは苦悩の絶えない問題である。方言類も含めると4500を超えるオノマトペの中からこのおいしさを的確に表現するオノマトペを探し出し、そしてそのオノマトペから僕が感じている意味とまったく同じ意味を、読み手である皆さんが感じ取ってくれるだろうか、という疑念が残り続けるという苦悩だ。

 

実験してみよう。「ゴロゴロしている」、と言われて今皆さんが思い浮かべたのはベッドの上でスマホをいじりながら「ゴロゴロ」している姿だろうか。それとも雷の音光が「ゴロゴロ」と響き渡っている情景だろうか。怠惰と雷鳴とを誤読されるのも困るが、もっと困るのはポジティブな表現と思って使ったオノマトペを相手がネガティブに解釈してしまう瞬間である――男性陣は、女性に「これどう思う?」と問い詰められた瞬間のややこしさを思い出して頂きたい——。

 

皆さんには、以上の葛藤に悩みながらも今日のランチを「ふんわり」でも「べったり」でもなく「ぺっとり」と表現する僕の勇気と意図を汲んで頂きたいのだ。一口目、ほうれん草ポタージュの舌先に残るマイルドな、しかしほうれん草特有の苦み。二口目、チキン香草焼きを口に運んだ瞬間の驚き。皮バリバリ系ではなく、溢れ出ようとする肉汁を抱え込んだ衣が頬の落ちるほど柔らかいのだ。三口目、バターロールそれ自体がいくら「ふっくら」していようとも、添えられたマーガリンが触感を一変させる――しかしバターを塗る工程が省略できるように産まれた「バター」ロールにマーガリンを塗る贅沢さにはめまいがする——。デザートは梨の予定だったが急遽変更でスイートポテト。甘党の僕は、食後も「ぺっとり」と甘い幸福感を残してくれるこのスイーツに舌鼓を打った。

 

「ずっしり」した日もあれば「パリッ」として日もある。そして今日みたいに「ぺっとり」した日があるのもまた良いものである。

ごちそうさまでした。

 

(A・H)