のぞみ寮通信

めぐみ館

2011/03/05

めぐみ通信 (2011年3月5日)

 「41回生の送る会」を終え、ぽっかりと心に、穴が開いてしまいました。何かにつけて激しく論を交わした41回生。今思うと、何故だろう、懐かしい・・・。
 家庭では、スムーズだった事、当たり前に善意が守られていた事が、いちいち確認したり、見守りと称して時間だけがイタズラに過ぎていくような日々を送っている気分に嫌気が指して、「先生!あの人、全然学年の気持ち理解していない!先生ならカウンセリングして、この混乱を収めてくれたらどうですか!!」「こんな寮、大嫌い!」「先生なら、生徒の子どもっぽさを受け止めてよ!」などなど・・・
 私も、大人になったとは言え、その生徒の言葉に悩みました。正解を編み出すには、先導するビジョンや、言葉が不可欠です。私の力量にも、やはり課題は山積みなのは、自分でも理解しているつもりではあるのですよ。
 そんな想い出にふけってめぐみ館に帰って来ると、玄関先に「めぐみ館に飾ってしばらく楽しんでください。」とメッセージを添えて花が置いてありました。名前が残念ながらありませんでしたが、綺麗な花がぽっかりと空いた心に寄り添ってくれました。

(榎本かな)
 

 
 
 
 

<41回生の卒寮前夜に・・・エピソード編>
 

 自宅学習期間を終え、後日に「卒業」を控えて帰ってきた41回生その日の晩のことでした。涙ぐみながら、事務室に入ってきたHさん。「どうしたの!!!」尋常ではない様子でした。どうやら、大学の入学手続きの写真を撮らなくてはいけなかったのを、勘違いしていたらしく、実家のご両親に電話で叱られていたと言うのです。
 「実家にいた時は、多いときは、1日3回洗濯したり、家の仕事を率先してやっていたのに。まるで、ただ遊んでいただけ!と遅くに帰ってくるお父さんに怒鳴られたのは、合点がいかない!証明写真のことは、母親にも書類を見てもらっていたので、自分だけが悪いと怒られるなんて!!」と言う言い分。そうかそうか。取り合えず、涙顔では、写真も取れないので、落ち着かせてパシャリ。(何で、今頃?ホント大丈夫ですか?と心の声)急いで写真をメールで送ってみてもらうと、今度は・・・。「着ている服装がちょっとねえ。」とお母様からのリクエスト。落ち着いていたのに、再び、涙。「まあ、落ち着いて、何かあるの?」・・・彼女は、ワイシャツに着替えてきました。(あるのね。まあ、それなら、やっぱり、証明写真ですから、こちらの方が、良いのでは!?)気分を切り替え、パシャリ。メールを見てもらって、確認の電話。
 ご機嫌がよろしくないのは、本人だけではなかったのです。電話口の向こうのお父様に「全く、恥ずかしい!!」と激怒されて、受話器を置くガシャンと言う音。とうとう、張り詰めていた本人は、大泣き。親子だからこそ、真剣以上に、感情的にもなりやすい。でも、他人様だと、そこまで向き合ってくれない。写真を撮り終え、事務室から、帰って行く彼女は、「写真ありがとうございました。ご迷惑おかけしました。」と一礼。この姿勢は、きっと、お父様の教育の成果だなあ、と感じさせられました。
寮の中は、こんなやり取りが日常茶飯事。この出来事を載せるに当たって、確認を取らせていただきましたので、ご紹介させていただけましたが、珍しいことではありません。後輩達も、何やら不穏な空気はすぐに察知して、遠巻きで見守っていました。(こうやって見る経験が、「自分は失敗しないように」と言う気分になっているようです。)
 このHさんが、我を忘れて愚痴り、涙していたにも関わらず、最後にお礼とお詫びを言えているのを見て、正直「大丈夫?危なっかしいなあ」と、心配しかけた私でしたが、少しだけ安心する事が出来ました・・・。元気で羽ばたたいて!行ってらっしゃい!

(榎本)
 

 
 
 
 

<週末の寮の特権!?>
 

 ある日の週末、館内にいるのはほんの数名。19時30分点呼に行き、今日は少なくて寂しいなぁと思っていたら、なんと、榎本先生の計らいでホットケーキパーティが賑やかに開かれていました。
 ホットプレートを囲んでルンルン、今にも歌い出しそうな一年生。「キャー!やったー!」と叫んで駆け込んで来る二年生。市販のホットケーキミックスを使わないタネ作りに、「私の家のホットケーキは、最後に卵白を泡立てたメレンゲを入れるの!そうするとフワッフワになるんだよ!すっごくおいしいの!」とオリジナルレシピを教えてくれる人もいれば、「小麦粉から作るってどうやるの?やってみたーい!」とタネ作りを引き受けてくれる人、「行きまーす!」とタネを流し入れてくれる人、「私、ひっくり返す!」とプツプツして来るホットケーキをじっと見つめる人と様々でした。
 出来上がったところから、あれよあれよと言う間にお腹に入っていくホットケーキ!夕ご飯をしっかり食べた後なのに・・・すごいです!「もう無理・・・。」と言いながら、焼き上がるホットケーキにしっかり手が伸びてしまうようです。美味しい証拠ですね。また、お腹が一杯になったらゴロゴロしてしまいそうなものですが、さすが寮生!スッと立ち上がり、自分が使った食器を洗いにいく潔さったら見事です。
 皆でわいわいパーティができるのも寮生の特権。“週末、寮に残っていて良かった”と思う瞬間の一つかもしれません。来週はいよいよテスト一週間前(今年度最後!)に入ります。自分に与えられた課題にしっかり取り組みましょう!

(冨井)
 


 
 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

<礼拝のお話>
 

2年 K.C.

今日は、バレンタインですね。皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか。私は、チョコレートを食べました。せっかくバレンタインと言う話のネタがあったので、私の過去のバレンタインエピソードでも話そうかと思ったのですが、いくら思い返しても何もなかったので、今回はバレンタインに因んで「思いやり」について朝の掃除編をお話したいと思います。
皆さんは朝の掃除で、廊下掃除にあたったことはありますか?私は最近になるまでやったことがなく、どちらかと言うと、用具室掃除側の人間でした。廊下掃除の大変さを知らなかった私は、用具室掃除で出た取りきれない細かいホコリをあたり前のように廊下にぶちまけていました。当時、廊下掃除で、私のせいで整美のチェックがついてしまった人には、今となっては申し訳ない気持ちで一杯です。どうも済みませんでした。しかしそんな私にも、つい最近廊下を掃除する機会がめぐってきました。今思えば、これはカイのおぼし召しだったのかも知れません。
初めての廊下掃除で、私はかつて無い経験をしました。はいてもはいても風で戻ってくるほこりども。地味に邪魔なゴミ箱などの障害物。挙句の果てには、モップからホコリが出てくるという致命的な現象。廊下掃除は思っていた以上に過酷でした。一生懸命頑張っても毎回ついてしまうチェックの数々に苛立ちを覚え始めてきた頃、私は、もはや「用具室掃除の人が廊下にホコリをぶちまけてるんじゃねーか」と言う気持ちを持ち始めました。そう考え出したら腹が立ち始めて、廊下掃除やっても意味ねーじゃんとすら思うようになっていました。しかし、そこで私はある事に気付きました。よくお話を聞いていた人はもうお気づきにだと思いますが、そうです。その腹正しい行為を私は、自分が用具室掃除だった時、毎回当たり前のようにやっていたのです。その時初めて自分がしていた事のはしたなさに気付きました。そして、私が用具室掃除だった時、廊下掃除のだった人たちに申し訳ない気持ちで一杯になり、断食を考えた事もありました。できませんでした。しかし、その時、深く反省した私は、もう用具室掃除になっても、ホコリをぶちまけない事を自分の胸に誓いました。
 
月日は経ち、私は9室で、用具室掃除をやっています。ぶちまける事をやめると誓った私は、ぶちまけなくてもチェックが付かないまでに成長し、今となっては用具室掃除のプロフェッショナルだと思い込む毎日です。しかし、最近調子が悪いです。話が少しそれましたが、私がつまり何を言いたかったのかと言うと、朝の掃除には「思いやり」が付き物だという事です。それぞれの掃除場所がお互いを思いやる事が、掃除の活性化、又はチェックの現象に繋がってゆくのではないかと私は思います。廊下掃除や、用具室掃除の日、学校から帰って来た時、二階のホワイトボードにチェックが付いていないと地味にテンションが上がりますよね。私は喜びを隠せません。そんな小さな喜びが、毎日たくさんの人にふりそそげば、世界は平和になると思いませんか。
この「思いやり」というものは、朝の掃除意外にも必要なものだと思います。これから先、みんなが気持ちよく寮生活を送るためにも、1人1人がお互いを思いやり、共存していく事が大切なのではないでしょうか。このお話を聞いて、1人でも多くの人が「思いやり」について考えを深めてくれたら嬉しいです。